バンクーバーマラソン

何といってもメインイベント

今回の旅行はレース出場がメインのつもりではなかった。観光と食事と買い物というオーソドックスな旅行の楽しみを存分に味わったついでのオプションくらいのつもりでいた。当然、レースに出場するための心の準備や、いつもの緊張感というものは全くない。1日の午後にバンクーバー入りしてから3日間、ひたすら食べまくっている。腹はパンパンに膨れ上がっている。

BCプレイス会場内
BCプレイス会場内

最低限の体調を整えて臨もうという、いつものような準備は到底できていない。時差に加えての長い夜のせいで、どうしても夜は遅くになってしまう。さらに7時スタートという珍しいレースのため、今日は朝4時に起きる必要があった。バンクーバー入りしてからの2日間の就寝時間に近い時間だ。前夜、早く寝たつもりが、今度は寝付けない。

観光旅行として満足できれば充分と思っていた旅であるけれども、毎日かなりの距離を歩き回って、もう大体の主要な観光ポイントには訪れた。碁盤上にきれいに区切られているダウンタウンはメインのロブソンストリートよりも、一本ずれた住宅街を抜けて行く方が喧騒がなくて緑が美しいと感じられるようにもなった。3連泊すると、観光はもう充分だと思えてきた頃でもあった。

そんなこんな、睡眠はろくにとれていない、体調は最悪、旅行のおまけのつもりでいた今回のレース。

それでもやはり、朝起きると気分が違ってくるのが不思議だ。まだ薄暗い早朝の時間にレース会場へ向かうとき、ここ3日には持てなかった胸のときめきを感じる。

ロブソンを一本外れた住宅街
ロブソンを一本外れた住宅街

スタート地点のBCプレイスに到着する。1万2千人を超す過去最多らしい参加者が集まってくる。いつものようにレースは大きなお祭りのようなイベント。その祭りの中にいられる高揚感、そして興奮。「やっぱりレースというのはいいね、最高だね」と思えてくる。なんだかんだいってもやっぱりメイン・イベント。


妻とFUN RUN

このレース、5歳刻みの年齢による部門別の表彰があって、例年、ツアーの中からの日本人の入賞者も出るという。周囲から「狙えるのでは?」「狙っては?」といわれて僕も、確かに海外レースで入賞できればすごいなと、ちょっと色気の出ないでもなかった。けれども、そう生易しいものでないことも充分過ぎるほど分かっている経験はあるし、今回は最初から決めていたとおりにハーフ部門に妻との同伴FUN RUN。

女性の参加が多い。日本の市民レースでなら女性が2割3割いれば十分に多いと思う数字だけれど、このバンクーバーマラソンでは女性の方が多いというのに驚く。昨年の大会の完走者数を見ると、フルで互角、ハーフでは男性の倍くらいだ。10代後半から20〜30歳代の若い女性が多いというのも日本とは違う点。決して“陸上”の経験があるわけでない友達同士がショッピングと同じ感覚で仲良くイベントに参加している、という感じ。そして、しっかり完走する。

レースの方、バンクーバー入りしてから当地としては珍しくずっと雨の降ることのない好天だったのが、最後に崩れて朝からの雨となってしまう。冷たい小雨で身体が冷える。

何でも数年前とはコースも変わっている、来年もまた再び以前のコースに近くなるらしいこのバンクーバーマラソン、今回のコースはBCプレイスをスタート/ゴールとするバンクーバー市街を一周するものとなっている。スタートして東のチャイナタウン、ギャスタウンを抜けてからスタンリーパークを逆時計回りにたどってイングリッシュ・ベイに抜け、そして再びBCプレイスにゴールする設定。「なんだなんだ!」結果的に僕らが歩き回った市街地をもう一度、走ることになった訳だ。スタンリーパークは海沿いにつくられた外周のシーウォール(散歩道)よりも林間の車道の方が、緑を楽しめることにも気付かされる。今日は特に雨に濡れているからこそ、余計に緑が美しかった。

周囲はほとんど女性ランナー
周囲はほとんど女性ランナー

いざとなれば無理をせず、途中棄権してもいいと思ったレース。でも、バンクーバー市街地を通り抜ける都会的な雰囲気の楽しさ、スタンリーパークやイングリッシュ・ベイの自然の美しさ、そしてゴールが近付くにつれて応援の多くなる感動的な雰囲気に助けられ、妻もよくがんばって完走することができた。タイムはさておき、メインイベントを無事、完遂できたことの安堵感と喜びで胸が満たされる。4日間の滞在中、やはり一番大きな満足の得られた一日となった。


 

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