市内観光とディナー

随分と歩き回った一日

旅を楽しもうと思ったらやはり、夜は早くに就寝すべきだ。

せっかくの海外旅行を強烈な眠気の中で朝、目覚めるのはあまり気分のいいスタートではない。

本日の予定は市内をぐるりと一周するツアーバスに乗っての観光とガイドブックに載っていたレストランでの夕食。どちらも確認しておきたいことがあってツアー会社の係員を探すものの、いるはずの場所に見当たらない。一向に、それらしくならないツアーだ(でも安いから文句も言えない)。代わりに(というか、本来のあるべき旅行の姿として)コンシェルジェにたずねて店を予約してもらい、市内ツアーバスの切符も買う。昨日、ネットの料金のことをフロントに確認した時には、かたことの日本語だけは話せるフロントの女性従業員に、何度も「ダイジョウブ?」「ワカッタ?」とmamanのように問いかけらたらしくて妻から笑われたけれど、今日はすんなりと話が進んだ。

イングリッシュ・ベイ
イングリッシュ・ベイ

まずは半島部、スタンリーパークの先端、プロスペクト・ポイント(とても分かりやすい名前だ)で下車。公園は外縁の海岸線がそのままシーウォールと呼ばれる小径になっているので、ここから次の停留所“イングリッシュ・ベイ”まで歩いてゆくことにしたのだが、これは失敗。3kmちょっととはいえ、随分と遠く感じられた。公園の中は緑で素敵なのだろうけれど、海岸線は行けども行けどもさして風景に変化がない。インラインスケートやサイクリングやジョギングには適しているコースであっても、僕らはただただ歩くだけ。

かろうじて話題にできるのは、同じように観光らしき人らが歩いていたり、ここが現地の人たちの格好のジョギングコースになっていること。そのジョガー、女性がとても多く、しかも足どりはしっかりとしている。走り込んでいるのが分かる。元々の骨格が骨太なせいかもしれない。

ギャスタウンのスチーム・クロック
ギャスタウンのスチーム・クロック

やっと辿り着いた、美しい緑と花に囲まれてのんびりと海を眺めることのできるイングリッシュ・ベイは文句なく素敵な場所。最初からここまではバスで来るべきだったといえばそれまでだが、ようやくのことで辿り着けただけに価値も大きかったのだと思うことにしたい。例えるなら、福岡の大濠公園、岩国の吉香公園、山口の維新公園のような、市民が日常的に訪れて憩える場所。

歩き疲れてしまって乗り込んだバスをしばらくは降りたくなかったこともあり、博物館、グランビル・アイランド、科学館、チャイナタウンは飛ばして、続いてはギャスタウンへ。ここはロブソン・ストリートよりずっと雰囲気もよく、ショッピングもいいものが選べて満足。


旅の大切な目的のひとつであるディナー

夕食のためにギャスタウンから再びイングリッシュ・ベイへ。市バスの路線は張り巡らされているのに、どの停留所からどう乗るべきなのか、さっぱり分からない(mapが必須だった)。しかも停留所は、日本のような目立つ標識があるわけではなく、50cm四方のプレートが柱にぶら下がっているだけ。見つけるだけで苦労する。行先は示すラインは書かれていても、途中、どこを通ってどこに停まるのかまでは分からない。おまけに時刻表もないから、何分待てば自分の乗りたい路線がやってくるのかも分からない。

上手くやってきたなら乗ろう、そう思いながらバス路線に沿って歩いていると、結局、ここでもさっき歩いたプロスペクト・ポイントからイングリッシュ・ベイ以上となる距離を全部歩くこととなってしまった。まあでも、旅をしてその町を知るには歩くことが一番だ。辿り着けた価値も大きくなるのだ、と自らを励ましつつ・・・。

金曜夜のせいもあってか、店は既に満員。予約していて良かったのはもう一つ、ホテルからのサービスらしきものまで付いていたこと。評判の店ということもあって店内の雰囲気はいい。その分、こちらは緊張してしまう。何よりメニューが読めない。こんなところでどうかとも思うけれど、辞書を引く。分からないまま注文したくはないし、僕は辞書を引くのは好きな方だ。

変に感心したのは、隣のテーブルで男性3人が食事をしていたこと。こういう洒落たレストランに、割といい年をした男3人がやって来て、ワインと会話とを楽しみながら決してビジネスの延長ではない食事ができるというのは、やはり文化の違いなのかなあ、と。日本では「まあ、一杯」というところだ。食事のことだけで精一杯な僕たちとはちがって、男性3人はきっちりデザートも食べて品よく帰っていった。

そのデザート・・・も、僕にはメニューが読めない。“Creamed Banana Tart”って何? 松山の土産で有名なタルトのことか? 僕はかろうじて唯一読める、無難なチョコレートケーキをここでは注文したところ、これまた、感心させられた。チョコレートケーキというから、当然、普通の二等辺三角形のだろうという感覚でいたのだけれど、デザートというのに随分と長い時間待たされて出てきたのが、つくりたての香りが強く立ち込める、焼きたてのチョコレートケーキ。丸くて柔らかくて、中がとろけ出してきて、これまで経験したことのない、この先僕の人生で再び出会うことが果たしてあるのだろうかと思うくらいの美味しさだった。

イングリッシュ・ベイからの夜景
イングリッシュ・ベイからの夜景

日の長いバンクーバーに来ると、ただでさえ遅くなる旅行の夜の上にますます体の感覚が狂ってしまう。結局、今夜も遅い。帰り道、今度は夜景のイングリッシュベイを眺めながら歩いてホテルに向かっていると、これも週末のせいなのか、カナダでも窓から身を乗り出して国旗を振り回す暴走族集団のような車が何台も爆音と奇声を発しながら通りを走り抜けていた。


 

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