時差を超えて長い一日

旅の初日は好天に恵まれて

早朝、まずは山口からバスで福岡へ向かう。僕はこれまで成田(東京)へ行くのに3度は高速夜行バスで、一度は船で行ったことがある。いまどき、2泊3日の船で行く航路なんてもうないと思うけど、いつも貧乏旅行だったわけだ。これまでは一人だったからよかったけれど、今回はさすがに妻も同伴するので、福岡から羽田へと飛行機を利用して向かう。

機内から見える富士山
機内から見える富士山

山口宇部からの便とは空を横切るコースも少し違うのか、窓際の席からの景色もいつもの宇部からのそれとは随分と違って見える。周防大島や松山や、瀬戸大橋や鳴戸大橋と渦巻きや・・・がはっきりと見下ろせる。今日はとても天気がいい分、随分低い標高を飛んでいるかのように眼下の景色がずっとくっきりと見通せる。きれいに雲から頭を出した富士山や、快晴の空の中に見ることができたアルプスというのも初めての経験だった。

成田空港

福岡行きもスムーズだった上に、羽田からのリムジンバスも全く渋滞することなく成田に到着する。澄み切っている天気のように今日は、何もかもうまく物事が運んでゆくようで、きっとこの旅もうまくゆくはずだと思えてくる。

外は初夏を通り越して7月のように乾いた、見るからに暑そうな夏。けれども、飛び石連休(the unfortunate calendar this year)とSARS不安のせいもあって、福岡、羽田、成田とも、GWという雰囲気が感じられない。拍子抜けするほどだ。マスク姿は多くて2〜3割というところか?

今回のツアーは出発日・帰国日共に参加者それぞれの細分化されたもので、今日出発する僕らDコースには添乗員が付かず、勝手にバンクーバーまで行ってくださいという感じ。ツアーらしくないのがかえっていい。

成田空港には幾箇所かパソコンの電源が取れるテーブルが用意されている。加えて搭乗口には10分100円でネットを利用できるものも発見したので、今朝、しそびれたメールチェックを行う。ところが、これ、日本語入力ができない。あわてたけれど何とかニフティの転送メール設定ページにたどりついて、Lさんからのメールを確認する。「大事な連絡だったら問題だ」と心配したけれど、“See you then!”の一行のみ。この一行のための100円であったわけだ。一応、マイ・ホムページもチェック(これはアドレスを忘れてないからね)。

エア・カナダでバンクーバーへ

エア・カナダの乗務員(男)に“deaf”だと伝えると、「私の唇が読めますか?」と日本語で言ってきたのには予想外の展開で驚いた。空腹の機内で飲むビア&ワインで気持ちよく酔いがあっという間に回り、旅気分に突入。

機内ではやはりぐっすりとは眠れなかったけれど(エコノミーで熟睡できる人というのは果たしているだろうか)、9時間のフライトは、ボストンやワシントン行きに比べればうんとまし。現地でのwriting conversationに備えての意味でも『英語でEメールを書く』を続けて読む。この本、なかなかの出来栄えでいい。もう一冊、『人間の大地』(サン=テグジュペリ)を読む。堀口大學訳のはっきりと分かるほどの直訳調が、読んでいて引っかかる感じ。

機内から見るカナディアン・ロッキー
機内から見るカナディアン・ロッキー

バンクーバーが近づくと、白い積雪を抱いたロッキー山脈の連なりが延々と続くのがまた、見渡せる。ここでもいい天気。ついさっき、富士山と数えるばかり4つ5つのアルプスの山に感動していたばかりなのに、今度はまさに製氷庫の中のロックアイスのよう。「ご自由にお取りください」とばかり、途切れることなくずっと続く。

バンクーバー着、ネット接続

バンクーバーに到着。ガイドブックに記されていたとおり、紫外線の強そうな強い日差しが射している。温暖な気候やストリート、家の建てられ方や街並みは西海岸に共通するものなのだなと思わせられる。同じアメリカの東海岸と西海岸とでは随分と違っていても、カナダとアメリカの西海岸とでは異なるものがあまり感じられない。

ホテルに到着して昼食、現地係員による説明後、ようやくチェックイン。

早速、ネット接続を試みる。机上の電話機に予定通り外線入力端子が用意されていて、日本で利用しているモジュラージャックがそのまま差し込める。・・・と、もしやと思っていたLAN端子まで用意されている。せっかく日本で苦労して準備したのに、と思いつつ、ならばとりあえずLANの方で試してみると、初期画面で有料サービスということが表示される。ローミングサービス料と部屋からの電話料を足してもダイヤルアップの方が安いと思えたので、やはりダイヤルアップを試みる。けれども、日本では上手くいったのに接続できない。考えられる全ての方策を試してもだめ。あきらめてLANを利用することにした。やれやれ・・・。結局、LANカードだけあれば足りたことになる。日本から持ってきたモデムカード、モジュラージャック(延長分含めて)、延長ケーブル、LANケーブルは不要だったということ。

シェラトン・バンクーバーホテル客室内の電話機とLAN端子
ホテルの電話機とLAN端子

ともあれ、ネット接続、Eメールが無事できて、これで今回の旅の目的の一つは果たせてほっとした(苦労はほとんど報われなかったけれども)。思うに、ダイヤルアップ接続が出来ないのは、ホテル側が有料LANを用意しているからそういう仕組みにしているんじゃないだろうか。「部屋の机上にLAN端子が用意されている」のには、今の時代、そこそこのホテルならやはり当然なのだろうな、と感心したけれど、ついでなら無料で利用できるようにしてくれないと・・・。

Lさんに案内される

夕方――といっても、K子さんのアドバイスどおり、この時期のカナダはもう、日がとても長く、6時を過ぎても太陽はまだかなり上に位置している── Lさんをホテルに迎えてから、夕食を共にする。Lさんともう一人、Sさんも同席。

初めてお会いしたLさん。すぐには最初の言葉が出てこない。やっぱり僕は日本人だな。でも、食事をとりながら次第に打ち解けてゆく。Lさんは少しだけ日本語も分かるのだけれど、スムーズな意思の疎通とまではゆかない。妻が必死でコミュニケーションをとろうと苦闘する。

僕は、Sさんの筆談に随分と助けられた。こういうとき、一文字一文字が途切れずに単語単位でペンの途切れない筆記体という書き方を持つ英語は好都合だ。Sさんは書くことを全く苦にせずに(これもたぶん、日本語と英語の言語の性質の違いにもつながっていると思う)すらすらと書いてくれる。もうひとつ、英語は疑問文でいわゆる5W1Hが真っ先に来るのと、主語―動詞の重要フレーズが文頭に来るのとで、読む方も理解が早い。

食後――といっても、9時になろうかという時間でもまだキャッチボールができそうなくらいに明るさが残っている── Lさんはどこに連れて行ってくれようとするのか、車を飛ばす。これまた車の中で、Lさんと妻との必死のコミュニケーション。どうやら大学らしいことは分かったけれど、目を通していたガイドブックのUBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)とは正反対の方向のようで随分と遠い。ここでもSさんが助け舟を出してくれて、SFU(サイモン・フレーザー大学)だとのこと。「UBCは海沿いにあるけれど、SFUは山の中にある」との言葉どおり(I also think so)、ものすごい山道を登っていって、看板(門)が出てからでさえ10km以上かかってやっと構内にたどりつくような大学だった。『Xファイル』のロケ地だとか。

ついでにバーナビー公園からバンクーバーの夜景を案内される。ボストンでは帰国前夜に見た夜景を、今度は来て真っ先に見ることとなった。今回はガイドブックで大体のバンクーバーの位置を押さえていたので、なるほど、灯りのともっていない部分がスタンリー公園で、ライオンズ・ゲートブリッジを渡った北側がグラウスマウンテンなのだな、ということもよく飲み込めた。

バーナービー公園から見るバンクーバー市の夜景
バーナービー公園から見る
バンクーバー市の夜景

Lさんはまだまだ僕らに素敵なバンクーバーを案内し足りなかったようなのだけれど、さすがに僕はまぶたが落ちてきたので、ご好意を申し訳ないながらも遠慮してホテルに帰りついた。

初日、ログ入力して2時を過ぎる。



 

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