職人芸の美しい壁画

彩色されたファサード

スイスにチロル、ホテルや家の窓には花を絶やさないのがアルプス地方に共通する美しさ。町を歩くだけで、見ているだけで心が癒される。気分が華やぐ。

ゼーフェルトのファサード
これはいたってシンプルなタイプ

スイスではあまり見た記憶がないけれど、チロルでは必ず備えていたもの、きっとチロル地方の特色なんだろうなと思えたのが美しい壁画、ファサード。窓枠のデザイン、人物や植物や・・・が独特の優しく繊細な彩色で描かれている。

窓辺を飾る花以上に、壁画は一軒ごとに皆、独自の芸術的デザインを備えている。また、建物内部にある、高度な美術的価値をある意味、閉鎖的限定的な鑑賞に供する志向とは逆に、花を飾るのと同様、全ての人の心を楽しませようとする明るい開放性がある。

職人芸

きっと壁絵を描く職人がいるのだろう、チロルの確固たる職業として成立しているのだろうと思う。人の目に触れる通りに面している分けでもない目立たぬ壁にもこだわりが強く感じられる。残念ながら今回の滞在中にその工程を見ることはできなかった。

ゼーフェルトのファサード
目立たぬ位置にも手を抜かない職人芸
柱に花が掛かっている、いや描かれている

最初、目に付いたのが窓枠。本当の窓枠でなく、「描かれた」枠。昨年、訪れたチェコのチェスキー・クルムロフに特徴的な「だまし絵」の一種だな、という意識でいたのだけれど、「ちょっと違うな」と感じ始めた。だまし絵であることは間違いないのだが、チェスキー・クルムロフのように壁全体を覆うというより、一部にとどまる。また、チロルのは騙すことが目的なのでなく、あくまでデザインとしての美しさを志向している。

次第に分かってくるのだが、例えば宿の名称なども壁にダイレクトに「描く」のが粋なのだ。色々なフォント(字体)で。文字は主にカリグラフィータッチ。

見てみるとよくできているもので、絵柄にはうっすらと影まで付いている。夜、照明のあたったときに見ると本物の影と見まごうくらいだ。例えばこのゼーフェルトの時計店

ゼーフェルトの時計店
ゼーフェルトの時計店

これだけで充分な芸術作品。まるでお伽の国の中の家のよう。


ゼーフェルトの時計店
照明が灯るとよりきれいに浮かび上がる

ゼーフェルトの時計店
夜に浮かび上がる妖精の影、実は描かれたもの

ゼーフェルトのファサード 夜の影編
夜の影編

 

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