最も奥深い谷エッツタール

雨後曇り

date journey
8月20日(水)
Sefeld ---- Innsbruck ---- Ötztal -- -- Sölden

唯一、天気のぐずついた日

夫婦経営でいて非常に立派だったホテル

チロル入り後ずっと天気に恵まれていたが、4日目の朝は細かな雨。インスブルックのホテルとはまた違って明るい雰囲気の部屋で美味しい朝食を食べながら、さて今日はどうしようと行き当たりばったり? の計画を練る。

朝食の場は昨日と全く同じ顔ぶれのグループと、皆、滞在は長期のよう。2組の老夫婦でやってきている4人は朝からコーヒーだけで会話が弾む。こちら(欧州)ならではの、老後の優雅なヴァカンスの愉しみ方だなあと思う。

Hotel Victoria

朝食後、宿のご主人に直接、尋ねてみる。「ぐずついている天気でも楽しめる場所はないか?」と。リビングと仕事場が兼用されている家族経営のこのホテルの、奥さんはこまめに庭の手入れなどせっせと身体を動かしているのだけれど、ご主人はずっとパソコンの前から動かない。財務指標に気をもんでいるのか? web 戦略なのか? 休日の(まさに今こうしてPCに向かいきりの)僕のような・・・。

待ってくれ、と何やらネットの画面で地図を紹介してくれようとしたのだけれど、この接続がまた遅い。1分、2分経ってもページが切り替わらない。ポンと尋ねたらポン!と返事のあるのを期待していたら大違い。ここらあたりも、日本人のせっかちなところなのかな? でも僕らは電車の時間が迫っているし(何しろ、ゼーフェルトからインスブルックに下りる1時間に1本の電車を逃すと大変なのだ)、結局、お願いしておきながら親切心を丁寧に断る羽目に。

深く切れ込んだ谷の細長い地、ゼルデン

結局、エッツタールを目指すことに決める。第2回で触れたチロリアン由来の地、何千年間もイン河が彫りつづけたチロルの深い峡谷である。

雨は上がってくれたが、ゼーフェルトが高地ゆえというのもあるだろう、その分、霧が立ちこめる。列車に乗っても、これなら視界のある雨の方がいいと思えるくらいで、しばらく真っ白な霧に覆われて何も見えなかった。町の人々、乗客も一転、冬モードのいでたち。皆、スキージャンパー、アウトドア用のジャケットに身をくるんでいる。僕も日本を発つ時からずっと短パン、ポロシャツで通していたが、この日は唯一、ジーンズを履いて出かけた。

map-otztal
インスブルック → エッツタール → ゼルデン

インスブルックに近付いた頃には太陽も顔を出してきた。これから行くゼルデン(Sölden)はどんな顔を見せてくれるだろう? 雨なら雨でもよかったが、これも旅の楽しみ。

例によりインスブルック発が10分遅れでエッツタール(Ötztal)到着も8分遅れ。当然、インスブルックからの列車に合わせている6分後発のバス・・・が今にも出発しそう。でも3分、待ってくれていた! このときばかりは絶対に遅れてはいけないと、大声で呼び止めてダッシュして乗り込む。

といっても、ここで僕らと同様に乗り換えたのはわずかに3人。車内も数人しかいない有り様。エッツタールがチロルで最も奥深い谷というだけあって、曇り空の天気同様にうら寂しい雰囲気そう・・・と不安になる。

エーデルワイス付き十字架の立つ
Gaislachkogl山頂

けれども、その懸念もすぐに一掃される。次のエッツ(Oetz)の、ここで下りてもいいな、と思えるくらいの素敵な街並み。乗客もたくさん乗り込んできた。それにしても、どこの町も車窓から幹線沿いの宿やペンションの本当にたくさんあることに感嘆する。決して観光客が多いとは思えない、需要に対して供給過剰と思えるくらいに、でもそれらが皆、美しくて町の光景をつくっている。

ゼルデンの町に到着してバスを降りる。町が観光地ずれしておらず、入手できる情報も少ない。周囲の景色も昨日までの青空に覆われた開けた明るさがなく、イタリア国境までも10kmとない山奥の峡谷の地。

標高3058mのガイスラッハコーゲル(Gaislachkogl)まではゴンドラとロープウェーを乗り継いで。麓では陽射しがあっても、標高が高くなるにつれて刻々と天気が変わるのがよく分かる。まさに数秒おきに霧が立ちこめたり、また晴れたり。雲の流れるスピードが尋常でない。一面、真っ白な霧の中を吊り上げられて行くのも何か変な気分だ。

ここを訪れるのは僕らのようなお気軽派は少なく、皆、登山、トレッキングに本格的なアドベンチャータイプ。ミシュランにも「必ずロープウェーの下山時刻を確認しておくこと。乗り遅れたら帰れなくなります」とあったように、最奥の村オーバーグルグルまで行かずとも、ここに放り置かれたらどうしよう? と少し緊張もさせられた。


スキーやハイキングで賑わう、エッツタールの中心ゼルデンの町

 

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