アルプス山中の湖畔リゾート アッヘンゼー

世界最古の現役蒸気機関車で

Achenseebahn
世界最古のラックレール式現役SL

前日に行けなかったアッヘンゼーを目指し、再びイェンバッハへ。前日同様に快晴の空が広がり、気温もぐんぐんと上がっていった日。イェンバッハでは接続がうまくゆかずにいったんアルプバッハに向かおうとして、でもそれもかなわず、と余計な徒労を費やしながらアッヘンゼーバーンへ乗り込む。

小さなSLは子どもばかりでなく大人にも大人気で超満員。SLと呼ぶにはおもちゃのような頼りなさ、それもそのはず世界最古のラックレール式現役蒸気機関車。自転車置き場となるスペースにも押し込まれる。僕らも車室でなく連結部席に。おかげで逆に涼しい風を受けながら眼下に広がる景色を堪能できた。標高差400mの湖を目指してトコトコと低速で登ってゆく登山列車は、似たシチュエーションがあったな。そう、スイスのシーニゲプラッテ鉄道にそっくり。

この路線の人気の一つが車掌の立ち回り芸。車内は通過できない(ボックス内が横向きのベンチシート)ため、車両の外側20cmくらいにわずかに据え付けられた板の通路を器用に歩いて検札にやって来る。これも検札自体が目的ではなく、いかに乗客を喜ばせるか、を意識してのパフォーマンス。僕らには日本語で話しかけてくれた。陽気でサービス精神旺盛で、彼のこの仕事に対する誇りや喜びというのも伝わってくる。

Achensee
アルプスの澄んだ湖

山の中腹を走る間は前方の視界が遮られ、その分、いやがおうでも期待は高まる。いよいよ視界が開け、到着地のゼーシュピッツェ駅が見えてきた時には乗客から歓声が沸いた(・・・はず、僕自身が声を上げた)。きこえない僕でも周囲の状況を見る限り、乗客の皆、興奮した様子は間違いなかった。

アルプス山中の水晶

何と大きな湖! 頭上に快晴の空が広がり、周囲をチロルの緑の山々が取り囲んだ中での碧い湖の何と美しい光景! 天気にも恵まれた今回の旅の、興奮の頂点に達した瞬間だった。

Achensee
ホテル前のカフェも繁盛

降り注ぐ太陽の光を受けて輝く湖面、山を背に点在するのはチロルに共通して窓辺に美しい花の飾られたペンション。風光明媚とはこのことの、これぞまさにリゾート地。昼出発だっただけに、既に湖畔には大勢の人々がサイクリングにウォーキングにヨットに水浴びに・・・とそれぞれのヴァカンスを謳歌していた。やってきたこのかわいいSLにも笑顔で手を振ってくれる。

あちこちで水着姿の家族が湖水浴を愉しみ、子ども達は飛び込みを繰り返している。

標高930mにしてこれほど大きな湖が広がるのも不思議だが(チロル最大の湖)、それだけに水は透明で清らか。自然の中で人は「水」を求める。暑さがそれに輪を掛ける。3年続けて中欧を旅行していると、海を持たないこちらの国々の人々の、泳ぐことへの渇望度合いのきわめて強いことを実感する。彼らは湖や川があれば必ずといっていいほどに泳ぐ。海か山か、でなく、海(に代わる水辺)も山も同時に、である。

ゼーシュピツェ駅でSLを降りてからフェリーでペルティサウの町へ移動。数時間の、僕らには束の間の滞在を楽しんだ。「地球の歩き方」には地味にしか紹介されていないのだけれど、ここも前日のマイヤーホーフェン同様、大いに予想を裏切って期待をはるかに上回る感動をくれた。

これぞまさにリゾートの極地。何しろ大きな湖のインパクトが大きい(海のような)のでチロルにいてチロルらしくない気分にもなる。しばしの散歩中も、ここは南仏のニースかギリシャかイタリアか、と錯覚するような思いであった。

Achensee
海抜932mの湖畔リゾート地

本当にチロルの情報は少なく、来てみないと分からないことばかりだ。この地がこんなに素敵なこと、大型バスを受け入れるホテルもあるけれど、何より湖の周囲には充分な数のペンションがあって、半日の滞在だけで済ませる観光地ではなく、家族でやって来て長期滞在のヴァカンスを愉しむ拠点となることが分かる。

前日とこの日と、快晴の空から降り注ぐ強烈な紫外線を受けて、例により日焼けしやすい僕は、既に日本で充分、小麦色になっていたのに、さらに真っ黒になって帰国することになった(かつまた、日やけの落ちやすさもめざましく、一週間もすれば元通りになり、一ヶ月経過してしまえばむしろ白いくらい)。


アッヘンゼー鉄道出発/世界の車窓から


 

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