日本人に出会わなかった旅

派手さはないけれど

ゼーフェルトスナップ

今回の旅で印象深かったことがいくつかある。順に挙げてゆこうと思うのだが、チロルが日本人旅行客の極めて少ない都市、地方であることがその一つ。この地の魅力が充分、日本に伝わっていない、知られていない地なのだと感じた。

前2年でいうと、スイスは圧倒的に日本人の愛する(憧れの)地であったし、チェコも体制の変換で人気の急騰してきている地。いずれも世界中から観光客を集めていた。それらに比べて決して魅力が劣るわけではない、最初、書いたように「チロル」は日本人にもなじみのある言葉だし、州都インスブルックも2度、五輪の開催地となったメジャーな都市なのだけれど、全くといっていいくらいに今回、日本人に出会わなかった。

チロルも昔から日本人の訪れる地ではある。「ナポリ、ローマ」から「ドイツ・ロマンチック街道」を抜けるツアーでインスブルックにちょっとだけ立ち寄るケースは多い。でもチロル自体を目的地にしたツアーはごく少数。

ドアにも個人の意匠

スイスのツェルマット近辺のように、どちらかというとウィンタースポーツが盛んで冬の方がハイシーズンになるから、という理由が大きいだろうけれど、それにしても町自体は賑わっていたのに、特に近年、旅行需要の旺盛なアジア系人種の見られない珍しい光景、滞在だった。

チロル州の素朴さ、朴訥といっていいくらいのローカルな気質ゆえなのだろうか。後述もするけれど、あえて自らを派手に売り込まない、無理してまで呼び込まない寡黙さがあるように感じられた。

情報不足

Hotel Victoria
泊まったホテル A-Vita Victoria

日本のツアー各社が積極的に組み込まないのも何となく納得できる。日本人好みのこれ、という派手な目玉にはどうしても欠ける。飛び抜けた建造物があるわけではなく、モーツァルトにゆかりがあるわけでもない。すぐ隣(西)にスイスがあり、北にドイツもあり、同じオーストリア国内なら当然ウィーン、ザルツブルク・・・に流れてゆく、と競争相手があまりに手強過ぎる。

毎日、宿泊ホテルの変わるせわしない観光には適さない。そもそも基本的に滞在型の旅行地、リゾート地であるから。

それでも! 本当に良かった。旅行をしていてガイドブックに裏切られることは度々であるけれど、今回はその逆というケースの連続だった。どうして日本にこの地の良さが伝えられていないのか、ずっと不思議に感じてばかりだった。日本で入手できるガイドブックにチロルが数頁しか割かれていない、申し訳程度にしか紹介されていないことへの憤慨さえ覚えた。ネット上でも然り。そんな圧倒的な情報不足だからこそ、出向いてみると「うわぁ! 全然いいじゃない!」と感激の度合いが増した。

Hotel Victoria
ホテルの部屋から見るゼーフェルトの夕暮れ

日本人にほとんど出会わなかった中で、唯一に近い出会いが、何と同じホテルでの滞在客。2箇所目のゼーフェルトというインスブルックよりさらにマイナーな地の、しかも他にホテルはいくらでもあるのに・・・という中ですごい引き合わせ。きっと先方も同じふうに思ったはず。マイナー指向の僕とセンスが通じるのか、年代も同じくらいの夫婦できいてみたら、彼らはドイツ在住とのことだった。

つまり、彼らも日本からの情報を基にしてチロルを選び、このホテルを選んだわけではないということ。隣の国から鉄道(や車)で来れる、夏休みの手近な旅行、という性格の滞在だった。いいなあ・・・、と思うと同時に、あらためて日本にいるとこの地を選択肢としては考えにくい不人気さを思った。

旅行している方にしては海外らしさを味わえるラッキーな面でもある。チロルの魅力がこのブログで少しでもお伝えできればと思う。


 

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