暑い、熱い、篤かった台湾

感動した華やかさとホスピタリティー

台北空港に到着した時からの厚遇ぶりと翡翠彎ホテルでの警察官による24時間警護については滞在中のブログで述べたけれど、これらがほんの一例に過ぎないほどの、出場選手に対する開催国台湾政府、台北市のもてなしは、本当にサミットに参加する各国首脳への扱いのような徹底したVIP待遇だった。

デフリンピック開催に合わせて建設されたスタジアム、サブグランド、メダルを獲得した台湾選手への巨額な報奨金、TV中継をはじめとした国あげての支持、開催期間中の派手で華やかな演出等・・・この大会に巨費が投じられていることは誰の目にも明らかで、でもカネ(予算)もさることながら、それ以上にカネだけでは動かせない人の心の厚さ、台湾の人々のホスピタリティーに何より感激させられた。

運営を支えるボランティアの多くは若い高校生、大学生といったところで、皆、心が非常に純粋で、日本人にもう見ることが難しい純真さ、真っ直ぐなひたむきさを強く感じさせてくれた。これが日本や他国の学生ならもっと適当に要領よく済ませてしまうところだ。「もっとリラックスしていいよ」とこちらが言いたくなるほどに、決して粗相は許されないと指導されているような生真面目さだった。

閉会式の始まりを待つ競技場
閉会式の始まりを待つ競技場

閉会式の立派さは現地で少し書いた(開会式はもっと素晴らしかったらしい)。本部サイトの画像等を見てもらうとその美しさが分かると思うが、各国選手が円卓について食事を楽しみながら(でも実は楽しむ間もないほどだったのだが)宴の終わりの心地よい時を過ごすことができたことなど、過去に例がないのは無論、オリンピックでもここまであるのだろうかと思えるほどの演出だった。食事も簡単なファーストフードではなく、11種類の台湾料理のフルコース。出すからには一流の品を用意し、肉を食べないベジタリアンはいるか? と確認することから始まって、日本のテーブルに白ご飯が出されるところを他国にはそれぞれの食風土、文化に合わせて別のものになっているなど、とにかくこれほどの大きな大会でも細やかな気配りを徹底していたのに感心させられた。

滞在中のブログで「今後、これを超えるのは難しいだろう」と書いたけれど、決して選手としての個人的な思いにとどまらず、主催者の国際ろう者スポーツ委員会の委員長が公式に同じ発言をしていたほど。

亞洲第一次,臺灣的驕傲!~アジア初の開催、台湾の誇り!

町の人も然りで、あたたかく迎えてくれた。一緒に写真に収まったりサインを求められたり、打ち上げに寄った店の兄ちゃん(マスター?)は僕らの祝勝会に一品をサービスしてくれ、積極的に僕らのことを知りたがり日本の手話も関心を持って覚えようとしてくれた。その人の好さ、好奇心旺盛で相手の懐に入る柔らかさがお店の成功を支えていることもよく分かった。

思うに前回のメルボルンは過去にオリンピックを開催したこともあり、デフリンピックの直後にも毎年のビッグゲーム、全豪オープンを控えていた。国際大会やレセプションの類は日常的に行われていて、国も人々も慣れているところがある。それと対照的に台湾の人々にとっては比較的新しい経験のひとつとして力を注いでいるところがあったのかもしれない。

オリンピック開催経験のある日本、韓国、中国を差し置いてデフリンピックとしてはアジア初の開催であった。中国本土に負けぬ台湾の国威を発揚したい思いの強かったろうことも熱く伝わってきた。日本は名古屋、大阪、東京と、いずれも2度目の五輪開催に意欲を見せながらも果たせなかった。東京の地元支持率が低かったように、人々の心が冷めてしまっていては当選を望むべくもなかった。

閉会式
閉会式

台湾がオリンピックでなくデフリンピック(のレベル)だから開催できた、と捉える向きもあるかもしれないが、僕はむしろ逆と思う。商業的な成功と政治的な意図の狙いが強いオリンピックよりもデフリンピックを先に開催した台湾という国の誠実さ、純真さに敬意を抱く。デフリンピックにはまだまだ出場できない国や地域も多いように、障害者への理解と尊敬(=福祉でなく)が進んでいなければ国を挙げて人と予算を注ぎ込むなど、できないことだから。オリンピックに名乗りを上げてもデフリンピックにはまだ理解と関心が薄い日本の方が貧しい国だと感じる。

とにもかくにも、この国の人々の懸命さは、実直さはどこから来ているのだろうと感心し、熱烈歓迎ぶりに感激させられた大会であった。

暑かった台湾、でもそれ以上に台湾の人の心の篤さが身に沁みて感激させられた大会だった。競技以上に人々の気持ちの篤さが忘れられない。



 

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