最初で最後のエグゼクティブで帰国

最初で最後

初めて知ったこと──。

機内で手荷物は上段のボックスか足元の座席の下に置くのがルールである。時々、知らない人が手元に抱えていて注意される。ところが、ビジネスではまたルールが違って、足元に置いていたら逆に注意された。リクライニングでシートが思い切り前に伸びるから、足元には置いてはいけないらしい。・・・いやいや、すごいね。マッサージチェアさながらのつくり。行きの便はなかなか眠れず、足のむくみも2日ほど取れなかったくらいだが、帰りはまさに柔らかな雲の上で夢の中に沈むことができた。

JAL SHELL FLAT SEAT(エグゼクティブクラス)


ミュンスター橋から見る大聖堂
チューリヒ、ミュンスター橋から見る大聖堂

機内ではこのラグジュアリーな座席を堪能して、悩むのを先送りにしていたのが、成田〜羽田〜山口へ帰る便のこと。予定通りならば、羽田発山口宇部行きの便は充分な余裕であった。JALが用意する無料休憩室でシャワーでも浴びようと考えていた。

山口まで帰れるか

2時間半遅れとなってしまった現実にどう対処するか。羽田〜山口宇部間も当然、JALの便を併せて予約していたから、一本後ろにずらすことができたら、JALも問題なくそうしてくれたろう。ところが、16:50羽田発JL1647便は、山口宇部行きの最終便である。その日の後発便はない。

けれども、ここでもJALは大いに配慮してくれた。「北九州行きの便でもよければ振り替えましょう」と提案された(山口宇部空港と違い、この3月に開港した北九州空港の売りが、深夜便の多いことである)。面倒だが、成田で後泊はしたくなかった、何とかその日中に山口に帰りたかったから、それでもかまわないと思った。その上、こちらがお願いしたわけでもないのに、最後は、「後発のANA便(=ならば山口行きももう1本ある)を手配できるよう、こちらで努力してみましょう」とまでJALは最大限の気を遣ってくれた。

ホテルJulen

成田に到着する前の機内放送では「鹿児島、山口にお乗り換えのお客様がいらっしゃいますので・・・」と名前付きでアナウンスまでされて真っ先に降ろされる。距離だけでいえば鹿児島に帰られる家族の方が遠いのだが、便の関係で、僕らの方が一分を争う事態にあった。

手荷物も一番に出してもらった僕らは、今度は成田で待ち受けていたJALの職員に付き添って空港を走る。バンクーバー空港でオーバーブッキングに遭遇し、空港フロアを逆送したことも思い出された。他にする場所が考えられないスイスフランの「日本円への両替と、ボーダーフォンショップに変電器も返却しておきたいんですが」というのを「そんなことしてる余裕はないですっ!」と制されつつも、「足は速いですから」と認めてもらって羽田行きのリムジンバスに駆け込んだ。

渋滞していたわけではないが、やはり、いざ羽田第2ターミナルが見えたあたりからバスが進まなくなる。せめて10分前に到着すれば何とか駆け込めるのでは・・・と思ったが、その時間をバスの中で迎えてしまう。ターミナル到着後、リムジンからのスーツケースの積み降ろしに、また時間がかかる。最初に積んだ分、一番奥にあるのも手間取った。他の客のスーツケースを降ろすのを手伝ったら怒られてしまう。

それでも「きっと大丈夫だろう」と思っていたとおり、無事に予定の便で帰ることができた。北九州空港の開港以来、山口宇部空港での離着便に20分、30分遅れが常態化してしまっているためである。これまで定時発着が売りだった山口宇部空港利用者にとって、多くの県民にとっては非常に迷惑な、困ったことである。僕もスイス行きが近付いた一年前の今頃、夕方の空を飛ぶJAL便を見上げて「あの便で帰ることになるんだな」「でも今、この時間に上空を飛んでいるということは、案の定、相当、遅れているな」と思っていたりもしたのだが、今回の僕らはそれが幸いした形である。

ともあれ、羽田でも僕らのことは連絡がいっていて「〇〇さまですね。大丈夫ですよ。間に合います」と余裕しゃくしゃくの笑顔で迎えられた(今回の僕ら以外、遅れが常態化していることに本当はみんなものすごく迷惑しているのだから、そんな笑顔をしていてほしくないのだが・・・)。

JALの配慮に感謝

チューリヒ〜成田〜羽田・・・とJALの素晴らしい連携プレーであった。そこまでしていただかなくても・・・とこちらが恐縮するくらいに。

ツアーだったら、こうはゆかなかった。今回がたまたま、珍しいケースであったに過ぎないが、これらの有り余る配慮も、個人で手配していたからの恩恵であった。JALにとっては、格安航空券を利用して作り上げるツアーより、正規のルートで航空券を買ってくれた顧客を大切にする、優先する姿勢が当然だろうから。

ツアー客がエグゼクティブクラスの座席に振り替えられることはないし、ツアー客の中にも山口に帰る人がいてもおかしくはないが、それはもうツアー会社が面倒を見ることである(そして、ツアー会社にとっては飛行機の遅れは当然の免責事由と主張するだろう)。

それを期待して航空券を手配したわけではないが、こんなことも稀にあるのだな、生涯に一度くらいはあっていいよな、と今回はありがたくJALの好意に甘えさせていただいた。おかげで、この旅も最後までいい気分のまま締めくくることができた次第である。


 

  Related Entries


Message

メールアドレスが公開されることはありません。