旅の出会い、ツアーの面白さ

6人の集団で交流

最後に楽しかったツアーのことを。

僕ら日本語ガイドツアー3組の中で、バス最前列に座っていたのは50代とおぼしきご夫婦。団塊世代かそれより少し下くらいの、特にご主人の方が張り切っている、何事に対しても貪欲に利を求めるといった感じ。

対して、もう一組のお母さんと若い娘さんの二人は、僕らより先に乗り込んだにもかかわらず前から3列確保されている座席の3列目に座られた。2列目と3列目でもだいぶ前方の眺望は違う、「いいんですか」とこちらが恐縮してしまうくらいに2列目でも充分な眺めを、おかげで僕は満喫することができた。最初、バスに乗り込む前からおっとりした感じで、さすがにJTBを介して申し込むだけの余裕と品のある親子だなあ、と思っていたとおりに、前の夫婦とは対照的に、高い料金を払っていながらの欲の無さというか、私心の無さに感心させられた。

水平線に広がるバイエルンの空
水平線に広がるバイエルンの空

バスが出発するや以後のあらゆる場面で、ガイドさんがその任務を最大限に果たしてガイドの英語通訳やその都度の連絡や、現地滞在ならではのおトクな情報を僕ら6人「だけ」に「日本語」にて伝えてくれる。「他の日本人が近くで耳をそばだてますからね(笑)」と、円陣を組むくらいにいつも皆が寄り添って顔を突き合わせることになるのだが、本当にこのガイドさんのリーダーシップに導かれて6人も結束のいいチームに仕上がった感じだった。

いつの間にか気脈

夫婦や親子が僕らをどう見ていたかは相知れないが、3組が立場も違えば気性も違う、それが結構、いい案配な組み合わせといった感じで、最初に顔を合わせたときは全くそうでもなかったのに、旅が進む中でいつの間にか皆、気脈を通じ合ってゆけるところがあった。

偶然の縁というか、この場限りの一時の縁というのが惜しくて、ツアーが終わった時にはせつなくなってしまったほどだ。

といいつつ、翌最終日朝のミュンヘン中央駅ではご夫妻の姿を再び見かけたりするのだが・・・。ご夫妻も同じくこの日が最終日だったようでミュンヘン空港でも奥様にお会いする。空港ではご主人の姿のないのを心配したら、何でもご主人はさらにアメリカへと旅を続けられるのだという。「奥さんだけ一人で日本に帰らせるかな・・・」と思いつつも、ツアー中からご主人の本当にマイペースな、奥様にも諭されるようなところはよく分かっていたので納得できたりもする。バスツアーが終わっていよいよ解散というときも皆、別れるに別れられない中、ご主人は一人、今夜の飲みのことをしきりにガイドさんに尋ねているなど、ちょっとKY的なよくいえば子どもっぽい純真さがあって、でもこうしたキャラクターの人が集団には欠かせない。というか、このご主人がいてくれたおかげでこのツアーのことをとても愉快に思い出すことができている。そして奥様には当然、成田到着後もまた会うわけでよくよくお世話になった。

手前、ミュンヘンの地ビール ハッカー・プショール
Hacker-Pschorr Bräu München

お母さんと娘さんの親子の方は、娘さんがミュンヘンに留学していて、お母さんが初めてやって来られたのだという。きけば意外と近くに住まれているようなので、帰りのバス車中では話も弾む。娘さんの学んでいるのもまさしくミュンヘンならではの芸術方面ということで、どおりで優雅で余裕もあるわけだとこちらも納得できた次第。お母さんといっても僕らよりちょっと上くらいの、いわゆる母娘の仲のいい世代。

本当に今回の旅の中で最も印象に残る出来事だった。特殊な場の一日限りの結束だったからこそ、ずっと行動をともにする中で心の交流も芽生えた。とても素敵な時間を得ることができた。

バイエルンの空、旅の出会い

到着後4日目にして待望の青空が広がってくれたこと、ノイシュヴァンシュタイン城のみならずリンダーホフ城やオーバーアマガウの街並みが劣らず素晴らしかったこともさることながら、ツアーの中で6人と親しくなれたひとときが今回の旅の中で最も感慨深い。

集団やツアーというものをあまり好まない自分が、「ノイシュヴァンシュタイン城ツアー」に向かう中のさらに「日本語ガイド組ツアー」という、二重にもなる空間が面白かったというのも不思議だが、考えてみると、でも僕ももとはこうした集まりというのが好きなのだ。

ネオゴシック様式の新市庁舎
ネオゴシック様式の新市庁舎

特に旅はそうだ。振り返ってみても、旅はそうした思い出ばかりだ。20年前の大学卒業前に行ったアメリカでのホームステイ。同じ行程を選んだという「偶然」で一緒になった全国各地から集まった同グループの仲間達。若いときに異国の地で一ヶ月、結束する環境だっただけにとても強い想い出となって残っている。みんなのことは今でも鮮明に思い出せる。それぞれが皆、就職して22年、みんな元気だろうか。とても懐かしい。

就職後はしばらく旅行にも行けずにいたが、30歳の時のデフツアー。また、その後のボストンマラソンツアーもそうで同じパターン。いずれも一人で参加して皆とは初対面かつ短い期間なのであるけれど、同じ目的で集まった者同士、一緒にいる時間が濃厚で忘れられない日々として残る。このデフツアーやボストンマラソンツアーのメンバーの幾人とは、おかげで今もつきあいが続いている。

ツアーとは意識しないようなゆるい結び付きのバンクーバーや香港や、の滞在でほんのちょっと一緒になった日本人も、またスイスやチェコやチロルや・・・といった出会った人たちも然り。

海外に来てまで日本人同士が、という見方もあろうけれど、海外だからこそ、そういう気持ちになれることも確か。時々、僕ら夫婦も「あの時の方達は・・・だったね」と時々、思い出したりもする。

海外での旅先の地の印象は本当に強いもので、それだけに一生、忘れられない。出会いはその後の結び付きにもつながる。若いとき旅先で一緒になった男女が結び付くというケースは多いときく。僕の友人もそうだ。旅先で出会ったという運命は強く、その後の長い人生をつなぎ続けるロマンティックな想い出としてずっと色褪せないものがあるだろう。

若い時ならず、こうして年をとってもそうした感傷的な気分になれることに気持ちも新鮮にさせられた。これこそ旅の効用。他の方もそうだったようで最後、バスがミュンヘンに到着して解散となってしまう、もうこの先会うことのないのがとてもさみしくて最後は皆で記念写真に収まった。とてもあたたかい気持ちにさせられた。

先の画像、今はパウラーナー傘下となっているミュンヘンの地ビール「ハッカー・プショール」のキャッチコピーは "Himmel der Bayern"~バイエルンの空~。御存知、バイエルン州の州旗はヴィッテルスバッハ家の紋章に起源を持つスカイブルー×白の格子模様でビアショップの意匠から各種ショップのデザインまで、街のいたるところで目にする。ミュンヘンに本社をおくBMWのエンブレムも然り。

この日のツアーはまさに「バイエルンの青い空と白い雲」を満喫した一日であった。そしてロマンティックな街道の途上で味わえた感動であった。

夕暮れのミュンヘン中央駅前
夕暮れのミュンヘン中央駅前

 

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