冷たい雨のザルツブルク

ロマンティック路線脱線してザルツブルクへ

date journey
7月24日(土)
9:27 München -- -- 10:58 Salzburg --

昨日が早かった分、今朝はゆっくりと朝食を済ませてから出発。この日はモーツァルトが生まれた音楽の都ザルツブルクへ。今回の旅のテーマにモーツァルトはなかったが、ご愛敬。今度は2年前にお世話になった(振り回された?)ÖBB(*1)の直通便で153kmをあっという間の1時間半。ブダペストまでの長距離便(*2)は乗客多く予約席にして正解。自由席を探してやって来た女性二人は予約席の乗客が来るまで席をたびたび替えながら通路をまたいで座ることに。僕らが旅の興奮から延々、話し続けていると「静かにね」と注意を受けてしまった。

*1頼むよÖBB、でもそれがチロルらしさ/チロル旅行記

*2 長距離便とはいっても日本でなら博多~名古屋間の距離にドイツ─オーストリア─ハンガリーが続く。4度目の欧州旅行でようやくこの辺りの地理感覚が身についてきた感じなのだけれど、普段が日本という島国にいるだけに近隣国同士の交流であり緊張であり、の中で身につく外交術が苦労するだろうけれど羨ましい。

ザルツブルク駅は今、改修中のようでプレハブの中のインフォメーションへ。市内地図をもらうついでに日本語ガイドもあったので購入したが、傘を持つ雨の中で取り出すことはなかった・・・。

外観も宮殿風 ホテルブリストル

市内観光は歩いて回れるはずとのことで、地図を頼りに旧市街を目指す。今こうして2年前の「地球の歩き方 ウィーンとオーストリア」を見たらとても分かりやすく書かれているのだけれど、現地でいざ行こうとすると僕らの前を一家族数人が歩いているだけで、少々、心細くさせられる。宮殿や城周囲には数百人、千人のごったがえす観光客が既に集まっていたのだけれど、この日が雨だったせいもあろう、皆、ツアーバスやマイカー、あるいはトロリーバスで行くのか、駅から歩いて向かう客というのは少ないようだった。

冷たい雨のなかを

国鉄のガード下をくぐった辺りから音楽の都にふさわしい瀟洒なホテルが並び立ち、雨の中でも気分を高揚させてくれる。さらに進むと道路の向かいがミラベル宮殿。この後の旧市街や城塞も、予備知識なく、ガイドも見ずに、であった分、どれも目の前に突然、現れた新鮮な驚きと楽しさがあった。

ミラベル庭園
ミラベル庭園

クーア公園からミラベル庭園へ抜けると映画「サウンド・オブ・ミュージック」に登場したペガサスの泉が現れる。美しい模様の花壇や噴水、ギリシア神話をモチーフにした彫像など、「美しい眺め」というミラベル(Mirabell)のその名の通りに高貴な宮廷人さながらの気分で鑑賞美を味わえる。

幾何学的な美しい模様、色とりどりの花が雨の中でもきれい。ちょうど結婚式を終えた新郎新婦もいて一層の華を添えてくれた。これだけ見事な庭園が宮殿も含めて無料というのは嬉しい。これだけでも今日一日、ザルツブルクに来たかいはあると満足させられる。

ミラベル庭園
ミラベル庭園を抜けて旧市街へ

庭園にはもう多くの人がいたので、後は人々の後を追って進めば間違いない。ザルツァッハ川に架かるマカルト橋を渡る頃には一体、皆、どこからやって来ていたのか! と思うくらいに大群衆で埋まっていた。

川を渡ってメンヒスベルクの山を背に町があり緑の中に城が建つのはカレル橋のプラハを、また錦帯橋の岩国を思い起こさせる構図だ。歴史的に、また観光地としても名城であり名勝地には共通するものがある。

そのまま何も考えずに歩いていると知らぬ間に店の中庭にやって来ていて「あれ? 勝手に入って(通って)いいのかな」と思うのは、実はザルツブルク名物のひとつで建物の中を通り抜ける通路──ということを後でガイドブックを見て知る。

そこを抜けると旧市街で最も賑わうゲトライデガッセ。狭い通りの両側に並ぶ店先の軒に掲げられた看板は昨日見たローテンブルク以上の数と賑やかさ。中世の文盲がいた頃の名残という。本来なら旧市街の城下町、伝統的な店が軒を並べる、といいたいが、今は古くからの店に高級ブランドショップや世界的なチェーン店が取って代わっている。

ゲトライデガッセ
看板あふれるゲトライデガッセ

市庁舎から先はユーデンガッセ(Judengasse)に名前を変えて細い路地になる。かつてあったユダヤ人の礼拝所に由来する通りは教会や広場、領主の宮殿などの豪華な建物と対照的に狭く薄暗い。ゲトライデガッセのモーツァルト生家、この先のモーツァルト像、モーツァルト広場・・・と、ザルツブルクは一にも二にもモーツァルトであるけれど、ウィーン生まれのシューベルトも一時、このユーデンガッセに住んでいた。

アルター・マルクト広場
フロリアンの噴水 アルター・マルクト広場

ユーデンガッセの手前で折れるとアルター・マルクト広場。ロココ様式の薬局ホーフ・アポテーケなど屋根も窓も高さの揃った建物が整然と並んでいる。モーツァルトやカラヤンも訪れたというここの伝統的なカフェ「トマセッリ」の2階席で休憩。

さらに先に進むとレジデンツ広場。領主の権威を示して広大な広場に壮大な大聖堂がでんと居を構えている。ここには客を待つ観光馬車が一列に並んでいるのだけれど、冷たい雨の中でも御者に見張られて微動すらせずにじっと立ちすくんでいる、生気のない目から伝わり落ちる雨筋が無言の涙のように見えて一層、ものがなしく見えた。

ホーエンザルツブルク城塞から見下ろすザルツブルクの街並み
ホーエンザルツブルク城塞から見下ろすザルツブルクの街並み

ケーブルカーで登った先がホーエンザルツブルク城塞。中央ヨーロッパ最大の城塞で11世紀の建設以来、絶えず増改築がなされてきた。雨でかすむザルツブルクの街並みもまた、いとあはれなりけり。

昼過ぎ頃より雨足が強くなる。朝のテレビの天気予報で覚悟はしていたのだが、果たしてこの日7月24日のザルツブルクは最高気温でさえやっと14度、一日中の雨となった。史上、最も暑かったと騒がれた今年の日本、最近、ようやく朝は涼しくなった、25度ではもう肌寒いくらいだから、そんなところに突然の気温14度はとても寒い。さらには、ずっと雨が降り続けて足や肩や・・・が濡れていたので、体感温度はさらに低くなっていた。

海外に出かけても夏はポロシャツ+短パンでずっと通す僕だが、この日は「一応」のつもりで持ってきていたジャケット+ジーンズで精一杯の防寒を試みる。それでも足りなかった。そもそもミュンヘンはドイツの主要都市中で一番、寒い地。フランクフルトに比べると7月の平均気温が7度低いというくらいの、それさえ知らずにやって来ていた何もかもの準備不足だった。震えるくらいに冷えてくると、そろそろ集中力も切れてきて、帰りの切符も予約していたが、二人ともこれ以上、外を歩き続けることができそうになく、早めに切り上げて、一本早い列車でミュンヘンへ帰ることにした。


 

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