静かな決意と気迫伝わる町

ドイツ一のクリスマスの町

クリスマスマーケットエリアとなるヘルンガッセ
クリスマスマーケットエリアとなるヘルンガッセ

市庁舎から西へブルク門を結ぶ通りがヘルンガッセ(Herrngasse)。ブルク公園へ抜ける広いこの道は今は幹線としてはあまり流れは良くないように感じられたが、歴史的には市内最古の門から市庁舎へのこの通りに城勤めの高位官吏達が居を構えた、これが都市貴族の発生につながったことから旦那衆通り(ヘルは紳士、主人)と呼ばれている。商業都市ローテンブルクの発祥を表す大通りである。

ドイツはクリスマスシーズンも観光のハイライトで、僕らが1週間前に旅の手配をしていた頃にも早、12月のツアー募集がされていたりもしたのだけれど、このヘルンガッセにはクリスマス・ミュージアム(博物館)を兼ねて一年中、クリスマス用品を扱う専門店もある。


聖ヤコブ教会
聖ヤコブ教会

ローテンブルクはドイツの中でも伝統的なクリスマスを味わう有名な地として愛好家の集う場所となっている。専門店前の車もショップの不動のシンボルとして、また向かいのホテルの鮮やかなファサードもメルヘンチックで、一帯がクリスマス村として再現されたときのまさにロマンティックな雰囲気であろうことが夏でも充分に想像できた。

ブルク門、ブルク公園を眺めた後は町の主教会、聖ヤコブ教会へ。ここではローテンブルクの可愛らしいイメージから一転、ゴシック様式の重厚な存在感に圧倒させられる。150年以上の建築期間を要した、小さな町にしては立派すぎるほどの双塔がそびえ立っている。


天才彫刻家による聖血の伝説

東側内陣の主祭壇は彩色豊かな「十二使徒祭壇」。キリスト十字架像の下にマリア、ヤコブ他6体の彫像。下の飾り台に12人の使徒が描かれていることが祭壇名の由来となっている。解放された両扉には聖母マリアの生涯などが扉絵として描かれ、さらに扉後ろ側(閉じたときの表側)に聖ヤコブの死と伝説が続き絵として描かれている。華麗さを好んだ後期ゴシックの典型であり、後方の明るいステンドグラスにもうっとりさせられて興味は尽きない。

彫刻、扉絵、金色燦然な十二使徒祭壇
彫刻、扉絵、金色燦然な十二使徒祭壇

この主祭壇より有名なのが二階、高廊中央後部にある「聖血祭壇」。イエス・キリストの聖なる血が三滴入っていると伝えられた水晶のカプセルを祀るために制作されたもので、祭壇中央部は天才彫刻家リーメンシュナイダーの最高傑作とされる「最後の晩餐」の場面が飾られている。

キリストから一口のパンを受け取ろうとするユダの姿が中央に据えられ、十二使徒のそれぞれの表情から驚愕、困惑、狼狽といった心情がよく伝わってくる。人の目を惹き付けるのは彩色豊かな絵画の華やかさであり、主祭壇の方だが、一見、こちらは素朴ながら生命力、躍動感を見事に伝える彫刻という芸術手法をあらためて感じさせてくれる。寺院仏閣等、日本も木彫りの彫刻美がすぐれていることを思う。

リーメンシュナイダー作「聖血祭壇」
リーメンシュナイダー作「聖血祭壇」

クリスマスマーケットや可愛らしい街並みで有名なローテンブルクだが、イエスの血を祀る貴重な巡礼地としての教会を誇り、またその偉大な教会の建立が市民達の賽銭でまかなわれたなど、ロマンチックな観光地だけで終わらないものを持っている。リーメンシュナイダーの彫刻に現れている静かな決意、芯を持った意志の強さとでもいうべきものを感じされられた。


 

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