ツアーの制約 2

漢方

香港人に浸透している風水の大家(らしい)
香港人に浸透している風水、の大家(らしい)

このバス観光を逃れられないのは、H.I.S.(にしろ、JTBにしろ)の旅行会社と、香港に限らず現地企業等の利害がからんでいるせいなんだろう。ひととおり観光を終えた後の午後、宝石店、絹の服店、そして漢方の店を回るようになっている。これらの店は皆、ツアー客向けに日本語の果たせる店員が常駐している。漢方店など、ちょっぴりの商品陳列スペースより、説明用の部屋とスタッフの方が充実している。

正直なところ、魅力的とはいえないこれらの店巡りにツアー客も皆、うんざりしていた(魅力的なお店は他に無数にあった。そもそも、そういうお店はツアー客を団体で受け入れなくても繁盛している)。それでも、漢方は、僕も出発前から期待していた数少ないうちのひとつだったのは事実だ。僕もこの年になると、免税店でブランド物を見たいとか、何かショッピングしたいという気持ちは全くない。ただ、「中国四千年の・・・」という本場の漢方には淡い期待があった。誰しも自分の(あるいは近親者の)身体に不安を抱えていない人はいない。一つか二つ以上の持病があるのが普通で、そんなところに香港の「漢方」というのは、日本人の財布を緩ませるに充分である。かつて、中国のハゲ薬「101」を求めて日本から大挙したことがあったように。「養命酒」のような、もっともらしく効能が細かく記された日本語のチラシを配られ、熱心な説明を受けると、「1本、買ってみようか」という気持ちに傾く。

でも、漢方というのは、そもそもが体質に応じて処方されるもので、加えて、地道に根気よく服用し続けて初めて効果のあるもの。即効性は本来、期待できないはずで、1年分買って帰るわけにもゆかず、そう考えて、やめておいた。「病」が治るなら、「健康」が得られるなら・・・、人間の一番、弱い部分かな。

ともあれ、ツアーで良かったのは、レパルス・ベイに行けたことと昼食時、他の若いメンバーと少し、話ができたことくらい。きいてみると、皆、東京からやって来ている彼らは、ホテルも夜景の見えるハーバービュータイプであった。香港に泊まるなら、やはり、それが普通なのかな。ついでに、友人O君の住むマンションも、海岸沿いの20階の部屋である。カオスの中に建つホテル、というのは僕らくらいだったか・・・。

離団申入書

観光プランともう一点、余計なお世話的サービスだったのが、行きと帰りの空港──ホテル間のバスによる送迎。到着時はまだいいが、3日目、帰国時にもホテルに迎えに来るという。ただでさえ短い滞在をフルに楽しみたいところ、いったんホテルをチェックアウトして思うところに出かけ、再び、朝出たホテルに戻ってくるなんて面倒なことこの上ない。これもH.I.S.利用客の、それぞれ異なった滞在ホテルを順に回るというから、飛行機の出発する3時間以上前にホテルで待ってないといけない。

「観光プランの辞退は許されない」とチラシに明記されていたから諦めたが、さすがにこれは遠慮したいと思った。空港までは日本同様、エクスプレスが走っているし、便利なことに駅でも搭乗手続きのできる仕組みになっている。そう申し入れてみたが、でも、これもすんなりとはききいれられなかった。山口支店に出向いて交渉すること30分以上、「そういうことになっていますから」とはね返されるばかり。「それがツアーなんです」の一点張り。

観光プランの方はまだ理解できるけれど、送迎を辞退して、誰かに、どこかに迷惑がかかるのだろうか? そもそも、旅を楽しもうとする顧客のリクエストに耳を傾け、それがかなえられるよう可能な限り努力するのが旅行会社の本来の姿勢なんじゃないか? これって僕の側のわがままなんだろうか?

観光プランのように、送迎のことまでチラシやスケジュールには書かれていない、と反論して、ようやく渋々、認めてもらった。これも、相手はどこまでメンツにこだわるのか、ただでは許してくれず、「6月20日、**の理由で、ツアーから離団します」という「離団申入書」なるものに一筆入れさせられた。離団も何も、行きも帰りもホテルも僕ら2人のみで、集団という意識は全くなかったけれど。これも、支店で交渉している最中に自分でふっと気付いたが、元々、支店の人には僕らの申し入れに対して、どうこうできる権限はないはずで、だから「できない」の一点張りを貫くしかなかったのだろう。おそらく、現地の香港支店で一言伝えれば了解してもらえたことと思う。

とまあ、「ツアー」なるものに苦労させられたのは、思ってもいなかった一面であった。


ヴィクトリア・ハーバーから見る香港島
ヴィクトリア・ハーバーから見る香港島

 

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