香港ビルヂング事情 1

HONG KONGへ

ヴィクトリアピークから見下ろす香港
ヴィクトリアピークから見下ろす香港

4月になってからまだ一日しか年休を消化していない。GWも今年はおとなしくしていた。でも、時には日常を脱するべく旅行でもせねば、と思いたって6月18日からの3日間、香港に出かけてきた。最初は、今年が旬の京都にでも出かけようと計画したのだが、大河ドラマもつまらなくなって見るのをやめてしまった。出かけること自体、たびたびではないのだから、いっそ海外がよかろうと思い直し、ならば、いつ転勤があるかわからない友人O君の住む香港に、早いうちに、と思って出かけてみたものである。

出発前、そして3日間の滞在中を通しての睡眠不足に想像以上の暑さとで無茶苦茶にきつい旅行だったが、面白く感じるところはたくさんあった。2週間ぶりに落ち着くことのできた週末、思い出して印象に残った事柄を記してみたいと思う。

007

香港という地に対しては、かつて英国植民領であったのが数年前に返還されたくらいのこと以外、特別な予備知識を持っていなかった(ただ無知なだけ・・・かも)。

ボンドとともに香港上陸
ボンドとともに香港上陸

唯一、イメージできたのが、映画007で観たシーン。2003年作"ダイ アナザー デイ"の中で、北朝鮮で捕らわれて過酷な拷問を受けていたジェームズ・ボンドが脱走するシーンがあった。転々と国境を越えながら――このあたりの正確な経緯は忘れてしまったけれど――、最後、海を潜っていたボンドがついに水面上に顔を出し、眼前に広がったのが美しい夜景の広がる香港であった。暗い海底から一転、きらびやかな光景のシーンに変わり、ボンドもウェットスーツからタキシードに身を変えた。それはボンドがようやく自由の身を得て、ここから映画も新しい場面が展開されることを表していたものだったのだが、スクリーンで観ていても海面に浮かんでいるような都市、香港の夜景はため息のもれる美しさと迫力とがあった。「彼はこんなところに住んでいるのか」とあらためて羨ましく思えた。それで強く記憶に残っていたのである。

英国領ゆえのセンスと、他面で・・・

なぜに香港という地が良港で栄えたのかは、勉強不足で割愛するけれど、とにかく、高層ビルがにょきにょきと狭い国土に密集して建っている。最初、機内から見た空港周辺の建物は幾何学的というか、ロゴのように整然としていたが、一番のビューポイントである、湾を挟んだ半島と香港島の沿岸部のビルは、今度はそれぞれが特徴のあるビルで、けれども全体としては見事な調和をつくりあげている。香港到着後、すぐにO君に連れられてヴィクトリア・ハーバーをフェリーで渡り、香港最大の見せ場ビクトリア・ピークから夜景を見下ろす。ビル一つとってもかっこいい、元英国領ゆえか、センスの良さがあるなあ、と感嘆させられた。

そうした湾岸部のビルは世界を相手にビジネスを行う企業群や政府のそれであるから、当然に、比較的新しい、立派なつくりの建物が多いのだが、しかし、同じく高いとはいっても、これが人々の住むビルとなると様相が一変する。

たとえば、僕たちが泊まったホテルのハイアット・リージェンシー(という、名前だけはかっこよくて知名度もある)は、地下鉄の尖沙咀(チムサーチョイ)駅すぐにある便利な宿だったのだけれど、繁華街のど真ん中にあっても、隣接するビルや道路を隔てた向かいのビルは非常にオンボロで粗末なのである。ほとんど廃墟といってもいいくらいの風情であった。そのギャップがすごい。

近年は巨額のチャイナマネーが流れ込んでくる、世界を相手にする金融市場で高層ビル群の町、香港が、一面では宝石を散りばめたような美しい夜景をつくりあげているのに対し、他面では貧しさとしかいいようがない古さと汚さのビルで埋められている。貧富の差をはっきり象徴しているともいえるコントラストが、今回の旅でもっとも印象に残ったことである。


 

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