次なる転機へ

久しぶりに思い出したこと

デフリンピック出場記の更新が止まったまま1年になろうとしている。幕を下ろすメッセージを残さないまま、おいてしまっている。話題が尽きたわけではなく、特に海外諸国、他国の動向にはデフリンピック出場によって関心が強くなった。例えば、今、開催中のW杯サッカーもそうだが、自国を誇り、愛する気持ちが強くなると同時に、他国についても同様に思いをはせるようになるなど、国家観を強くさせられた。ニュースでもサッカーでも、他国をきくと、デフリンピックで知り合った選手の顔がまず、思い浮かばれる。ただ、時間の経過とともに、当然ながらデフリンピックそのものを考える機会はなくなってきている。

そうした日常ではあるが、久しぶりにデフリンピックを強く思い出す機会をいただいた。先週、女子マラソン代表の戦友であるYUKOさんのウェディングパーティーに出席してきた。4月に挙式を済ませ、今回、国内の友人らを集めての祝賀会であった。

ろう者らの間で、また女子マラソン界で非常に有名な彼女の、加えて華のあることを好み、それが実際に誰よりも似合っている彼女のことであるから、思っていたとおり、全国から大勢の集まった非常ににぎやかな宴で、僕も大いに楽しませてもらった。

出席者には陸上仲間も多かった。僕は誰が出席するのか事前に全く知らなかった分、久しぶりの友人らと再会できたことも非常に嬉しかった。ろう者陸上仲間、地元の友人ら、デフリンピックの陸上チームからは監督にもう一人の銀メダリスト。さらに過去のデフリンピック出場者、男子も女子も金メダリストも・・・。特に男子は、さながらろう者マラソンの歴史を体現しているといってもよかった。福岡で東京で大分で、と、それぞれ個別にしか会えなかったメンバーが大阪で一堂に勢揃い。最近はろうあ者体育大会の出場者も減っている中、これだけの顔ぶれが集まることは他にないことで、これもYUKOさんの交友の広さを物語っていて、元々が華のあるYUKOさんの、一層の華を演出していた。

次の転機は・・・

このたびのYUKOさんのご主人となられた彼も、以前、陸上をされていたことから、すぐに意気投合したのだろう。メルボルン滞在中も彼女とは行動をともにすることが多く、相手はどんな人がいいとか、そういった話をしていたのだが、まさにお似合いの素晴らしいご主人を得られてよかった。本当におめでとう。心から祝福したい。勝負に賭ける強い気迫で銀メダルを勝ち取った当時とはまた一転して、今回の幸せに包まれて穏やかな表情が印象的であった。

海外ではトップランナーの多くが結婚、出産を経て活躍している。陸上にも理解のあるご主人を得て、尚更、YUKOさんもこれからさらに飛躍してゆけるだろう。応援するとともに、僕も負けずにがんばりたい。

<講演「デフリンピックとランナー人生」>の回に記した、手話サークルでの講演のあったのが、ちょうど一年前のこの日であるのも僕には奇しき縁である。あの日も貴重な機会をいただいたが、あれからさらに1年経ったのだなあ、と思う。

他の競技種目では、次のデフリンピックに向けて既に強化合宿を始めているなど、はやくも始動していることをきく。この日、僕も良きライバル、友人らとも会えて、いい刺激をもらって帰ることができた。

デフリンピックから1年5ヶ月が過ぎた。陸上チームからは学生だった子が卒業して就職した。もう一人も試験にパスして希望する仕事に代わったはずである。そして今回、YUKOさんの結婚。皆、それぞれに人生の大きな転機をクリアしているようだ。

さて、僕はどうだろう──。僕には特に大きな転機もないまま、中年への道を爆走中、といったところだろうか。いや、若い人から順に回っている分、次は僕の番だ、といえなくもない。デフリンピックというステージの次は、何が自分にとっての大きな節目になるだろう。次のデフリンピックをもう一度、目指すこともひとつの選択であるし、全く、新たな道があってもいい。いずれにしても自分の人生に活かさないといけないことだけは確かだ。

END


congratulations!
Congratulations!

 

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