星の王子さまのヒツジ
乗り継ぎ地でサン・テグジュペリ

帰国後編チェコ旅行記、いよいよ最終回のその前に、ちょっとブレイク。
旅行から帰った月末(2007/08/29、30)、東芝が「この星のエネルギーとエコロジーのために」と題して「星の王子さま」のイラストを使った新聞広告を各紙に掲載していた。初日は見開き2頁、翌日は1頁の全面広告で。その後もずっと続編が定期的に掲載されて今に至るロングシリーズとなっている。
サン・テグジュペリ自身が描いたあの絵は、それだけでロマンチック、メルヘンの詩情を誘うね。
ねえ、ヒツジの絵をかいて

さてその『星の王子さま』関連で閑話休題。
物語の最初、難船した語り手の僕は王子さまの小さな声で目を覚ました。
「ねえ、ヒツジの絵をかいて」
王子さまにねだられて最初、描いたヒツジにはツノが生えていて王子さま(ぼっちゃん)は不満。そこで書き直しても・・・。
以後、このヒツジは物語のラストまでを導く重要な役割を果たす。
注:ご存じ、昨年2006年に著作権が切れたため、新訳版が大量に刊行されたが、ここでは以下も含めて当初の内藤濯訳(岩波ジュニア新書)に従っている。
チェコ旅行とどう関係があるのか? というと、帰国便の乗り換えで立ち寄ったパリ・シャルル・ド・ゴール空港にて、このヒツジを発見! したから。

ブランド物バッグ等を売っているショップのちょっとしたエリアに王子さまグッズが少し。初めて見たのでためらわずに即、購入。羊グッズ蒐集の趣味まではないけど・・・。財布もいいデザイン。
「王子さま」の中に登場するヒツジは痩せていてヤギのようなのだけれど、こちらはふっくら。目も漫画的で、普通にあるヒツジと違って非常に個性的でかわいいね。
おとなは、だれも、・・・
王子さまも箱に描かれているので大事に保管。何より「箱」は物語の中でも最重要なキーワード。

語り手のぼくは、不満な王子さまに最後は投げやりに箱だけを描いて
「きみのヒツジはこの箱の中」と言い放つ。
すると王子さまは大喜び。王子さまには箱だけのはずの中にヒツジが見えたのだ!
けれど、ぼくには、あいにく、箱の中のヒツジを見る目がありません。ぼくもどうやら、おとなじみているのかもしれません。年とってしまったにちがいありません。
この旅行記もヒツジに見守られながら書いている。充分、子どもっぽいけれど
おとなは、だれも、はじめは子どもだった。しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。
池沢夏樹の新訳版・あとがきで訳者はフランスでしか生まれ得なかった作品といっているのが分かる気がする。

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