レースあれこれ


今回は、閑話休題のリラックスタイム・・・・

マント

ボストン・マラソンを完走すると、ひとりひとりにメダルがかけられ、ボストンマラソンロゴマークをあしらった銀と黄色のアルミがもらえる。レース後の身体を冷やさないようにという配慮のこのマント、子どもの頃にTVドラマのヒーローを気取って風呂敷やビニールを首に結んで遊んだように、英雄気分にさせてくれてかっこいい。

ゴール後、特製マントをはおる
ゴール後、特製マントをはおる

ゴール地点でマントをはおり、メダルをかけていると、すれ違う応援のみんなが「コングラチュレーショ!」と声をかけてくれる。子どもも大人も笑顔で「すごい! おめでとう」と言ってくれて、選手を幸せな気分にさせてくれる。日本の著名なマラソン大会は、(オリンピックがそうであるように)必ず陸上競技場を発着とする。それはそれで、自分でも「選手が競技場に戻ってきまし!」と、自己陶酔させてくれていいのだけれど、このボストンのレースは、市のどまん中にゴールが設定されている。当然、選手も応援も、役員もごったがえすことになる、そのにぎやかなお祭り的雰囲気がまたいい。

ラビット

マラソンの「ラビット」役というのをご存知であろうか。「ラビット」とはペースメーカー、風除け的存在のことで、先月、高橋尚子がベルリン・マラソンで世界最高を出したときに、彼女を取り巻くように走っていた男子選手がそれだ。記録を出すことでレースの格を上げたい主催者が用意する。ベルリンでは男女混合レースゆえに露骨だったけれど、それと公言していなくても、実は日本のレースでも30km程度まで引っ張る海外選手はいる。

このボストンでいたのかどうかは分からないが、別の意味のラビットはいた。どんなレースにも仮装してウケをねらう者はいるのだけれど、ウサギの着ぐるみを着て走る選手。別の意味ならぬ、正真正銘の"ラビット"。まさにこれは大ウケで、走っている方も思わず気が抜けてしまうだろうが、でもこのラビット選手、まずまず速かったらしく、ホテルの同室だった人も抜かれてしまったという。翌日の新聞にもとびきりでかく写っていた。

ラップタイムとネットの中継

今のほとんどのレースは、500円玉大の大きさのランニングチップというものをシューズのひもに通して走り、各選手のタイムがこのチップにより測定される方法をとっている。市民レベルの大会でもデータは全てPC処理されて5kmごとのラップタイムまでも正確に知ることができる。

当然、今のネット社会では、これらが全てウェブ上にも掲載できる。理論的には、選手がポイントを通過するごとに表すことができるはずだから、日本にいても、名前かゼッケンナンバーさえ分かれば、ネット上でリアルタイムで選手の走りを追ってゆけるのだ。レースを終えた選手が、ホテルで自分のPCを開いたら、日本にいる友人から"congratulation!"のメールが届いている、そんなことも可能な時代だ。僕の職場も全職員のPCが常時接続されているので、帰国したら既にタイムを知られていた(苦笑)。今もまだ、後半の失速ぶりを如実に示すデータがネット上に残っている。

ちなみに僕は、1つ順位が前のネバダ州のシラス君(26歳)とは、30km地点であった9分差を逆転されてしまったが、次のミネソタ市のテリー君(27歳)は10kmまで僕より速く、彼も相当にペースダウンしてしまった同類の友人のようであることが分かる。

フォトグラフ

前々回から少し掲載しているのは、旅行中に自分で撮った(撮ってもらった)スナップ写真だけれど、さすがに走っている時の姿はない。これが唯一、残念だなあと思ったら、レース後しばらくして送られてきた。手当たり次第に撮って、写っているゼッケンの選手に送りつけるプロの企業があるのだ。証明写真程度のサンプルを送っておいて、色んなサイズに引き伸ばして注文できるようになっている。ポストカード、プリクラ的シール、額入り、ユニコーンのロゴマーク入り盾(自分のタイムを入れるかどうかのオプション付き)・・・と、世界最古のマラソンレースへの出場記念に、という参加選手の購買心をくすぐってくる、よくできた商売だ。

走っている姿の写真は全て商売写真
走っている姿の写真は全て商売写真

この手の商売があることは、ボストンの1ヶ月前に走った兵庫県の"篠山ABCマラソン"の過去3度の経験で知っていた。篠山も初めて送られてきた時は驚き、感心した。2度目からは沿道でカメラを持つ人が視野に入ると、──それがただの応援者でも──そこだけフォームをしゃきっとさせてカメラ視線してしまうようになった。ゴール時は特設された上段席から撮られるので(これはボストン他各レースも同様)、こころもちあごを挙げてガッツポーズ・・・。篠山もボストンも、1万人以上の参加者があるような規模だから商売として成り立つのだろう。

今回、これまたよくできているのは、ネット上にもオープンにされていること。サンプル写真自体はエアメールで送られてくるけれど、注文はネット上で簡単にできる仕組みになっている。だから、この会社のWEBサイトのトップページから「レース名」を選択し、「ラストネーム(苗字)」と「ゼッケンナンバー」を入力すれば、いつでも(誰でも)僕のスナップを見ることができる。フィニッシュタイムを表す電光表示板の下をうなだれている情けない姿を含め、ボストンの街を駆ける蛍光イエローユニフォームの僕の写真も10枚載っている。

次回は、旅行中のコミュニケーションについて。


 

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