NHKスペシャル「生活保護 3兆円の衝撃」

やや偏向的、問題は多々あり

金曜放映のNHKスペシャル。近年、生活保護費の急増の裏にあるのは、働けるのに働かない受給者の増加していること、また、保護費のピンハネ、受給者の集まる賭博場、処方薬の転売などの闇ビジネスの横行している実態が紹介されていた。

内容は目新しいものでなく、保護費の支給日に役所に駆け込む受給者の映像は、別の番組では今度は受給後、パチンコになだれ込むものであったり、とあくまで「一部」の実態(今回は特に大阪市の特殊事情)が過大に取り上げられている。どうしてもこうした番組は意図する側に仕立て上げる情報操作というか、偏向的になりがちなもので、逆に資格審査を厳格にしたり孤独死や餓死といったことが起こると今度は行政を一斉に叩く側に回るなど、どちらもマスコミの好きなようにヒステリックに煽られがちなものになる。

数値の原データは厚生労働省が福祉行政報告例として毎月、集計し、年度値としても公表されている。

厚生労働省:平成21年度 福祉行政報告例結果の概況

この一番目の生活保護関係分が 結果の概況 1 生活保護関係

これによると21年度は被保護世帯数が過去最高。前年度比10.9%増は、グラフデータとして提供されているダウンロード用エクセルファイルから計算すると、こちらも昭和56年度以降で最高。折れ線グラフの総数が20→21年度にかけて跳ね上がっていることからもよく分かる。

世帯類型別に見ると数で多いのが高齢者世帯(構成比44%)で前年度比7.5%増。厚労省の「結果の概要」では触れられていない(あえて触れなかった?)が、21年度の一番のトピックとよべそうなのが、「その他の世帯」(構成比14%)の前年度比41.5%増。増加率は過去30年のデータで高くて10%台だっただけに、急増ぶりが顕著になっている。今回の放映の内容も、3兆円という「総数」の衝撃というよりは、ここの「その他の世帯」の急増ぶりに着目してのこと。

21年度は御承知、前年のリーマンショックを受けての世界同時不況の後遺症を引きずり、年越し派遣村の記憶もまだ古くないように、生保受給者の増加、わけても働ける世代の「その他の世帯」の増加は実際に大きかったはず。

TV放映の、月に12~13万円支給されるなら働かない方が贅沢に楽に暮らせる、仕事も熱心に見つけようとしない、というのは確かに真面目に働く市井の者を不愉快にさせる、番組の意図通りの感情をきっと視聴者にもたらしたろうけれど、それも確かな一方で、そうでない人たちも多いはずで、複雑といえば複雑な問題。

高齢者世帯の増加は人口の高齢化である程度、納得できるが、障害者世帯もそれと同程度の率で増えているのが、厳しい世相なだけにそういう友人もいる、自分も他人事でない、と胸痛みながら色々と考えさせられた。

「生活保護」に関する公的統計データ一覧|国立社会保障・人口問題研究所


 

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