行く河の流れは絶えずして 彼岸過迄
行く河の流れ
先週の今日、自宅取材。「今頃、緊張に固まってたなあ」と思い出す。
まあ、でも時が過ぎれば笑える思い出。
後は明日の講演も、放映も、静かに通り過ぎてゆくことを願うのみ。
行く河の流れは絶えずして、また元の水にあらず
そして
一期一会
小さなことも大きなことも、それぞれに最善を尽くしながら前へ前へ。
彼岸過迄
今週、ちらほらとアクセスがあったのは、先週末のセンター試験に「国語」の設問として採用されていたから。
昨年、面白く読み返したばかりで、まさに物語の一つのキモとでもいうべき印象強い場面だったからよく憶えている箇所。ここだけ僕も解いてみた。
物語を、前後を知っているから、試験問題としてでもあらためて読み返すと面白い。試験中に本来、そんな余裕はなかろうけれど、漱石の世界にどっぷりと浸ってしまう。
「猫」や「坊つちやん」後の漱石の物語は女々しい男の主人公の、どちらかというと暗く陰湿な心情が描かれることが多い。
教科書からも消えていっているらしいし、ポジティブ教が幅を利かす現代の風潮には受け入れられにくいだろうと思う。
でも、漱石の作品が支持され続け、今後も読み継がれてゆくだろうのは、口先だけ威勢のいい言葉よりも、自分の弱さや狡さや醜さや・・・といったネガティブな面から目をそらさずに正面から向き合い、それを書いてゆけるのが本当の強さで、そこに価値があるということを僕らも知っているから。
漱石と「彼岸過迄」を結び付けることはできても、実際に読んだことのあった受験生は少ないだろうね。高校生らにはちょっとまだ理解が難しいかもしれない。僕自身、年を取るにつれて面白く読めるようになってきた。
いつかずっと先でも「試験に出ていた」ことを思い出して手に取ることがあればいい。僕は23年前の受験問題がどうだったか、きれいさっぱり忘れてしまっている。
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