聾学校での忘れられない一日

3年前の未掲載エントリ

今日もリハビリがてらに実家に寄って朝日新聞を読んで帰る。先日触れた日野原重明さんの「あるがまゝ行く」、実は以前にも記事と僕自身の経験とに時を同じくしての面白い偶然があった。

もう3年前にもなる以前、タイトルの通り聾学校でお話ししたことをこのブログにも当時、書いた。そのときのタイトルを「-1」にして実は「-6」まで既に書き上げて用意していたけれど、ここのカテゴリは本気で考えるととても深すぎて、書いてはおきながら逡巡させるものがありアップしないまま歳月が過ぎていった。当時、1月下旬に話をして、一週間後の別大で聴覚障害者新&自己新記録。お祝いをもらったりTV取材もあったり、その後も東京マラソンやびわ湖やと激しい忙しさの中、あっという間に季節が変わったこともあり・・・。

アップしなかったのはそれだけ自分も考え続けていること。日野原さんが思い出させてくれたのを好機に、当時、「-5」として用意していたものをアップしてみます(以下、内容は2006年3月時点)。

情熱を注いで子どもたちの教育に専心

朝日新聞土曜日の別刷りbeに連載されている日野原重明さんの「96歳、私の証 あるがまゝ行く」の3月1日分のタイトル。

氏が聾学校を訪れたときのことが述べられている。早春、というから2月のことなんだろう。僕が話したのが1月下旬、日野原先生とほぼ同じ時期に同じ経験ができて、かつ、内容も同じことが書かれていて、と偶然の縁が面白い。

先生らが献身的に情熱を持って子ども達の教育にあたられていること、そしてその豊かな愛情を一身に受けて真っ直ぐに育っている生徒達、ということを前、書いたとおり。そして、

「皆さんは幸いに視力をもち、不自由なく旅行もでき、世界を知ることもできるのです。今のうちにしっかり勉強してください」と話しました。

実は僕が話したうちのメインに据えたこともまさにそう。生徒らに興味を持ってもらえるものが何かと考え、「海外」の話題をいくつか用意してプロジェクター画像と併せて話してみた。

Gallaudet University
Gallaudet University (1997年5月)

一つは海外で学ぶ場のこと。世界で初めての聾専門大学のギャローデット大学。これはちょうど講演の数日前に放送(講演当日も再放送)があったのだけれど、NHK教育の「ろうを生きる 難聴を生きる」でも取り上げられたのもまた不思議な偶然。

ここギャローデット大学とロチェスター工科大学(RIT)、国立ろう工科大学(NTID)に11年前、聾者ツアーで見学したことがあった。実際に留学した、というのではないのだけれど(笑)、「今は海外で学ぶことの珍しくない時代だから」と。

もうひとつはデフリンピックの話。いずれも「今はネットやメールで容易に世界の情勢(情報)を知ることができるし、仲間にもなれる」「若い内なら各国の手話や国際手話を覚えるのも難しくないはず」「これからどんどん世界に出て視野を広めてほしい」と強調した。「そのためにも今はしっかり勉強して」と。

中学部の生徒らにはまだ現実的でなく、ぴんと来ないような感じでもあったけれど、後で送ってもらえた感想には、ちゃんと興味を持ってもらえたようであった。

きこえない僕らは元々がマイノリティーな立場であるけれど、これから高等部に進学すれば全国に仲間が増えてゆくし、さらには世界にも友人を増やしてほしい、と。

私の生涯の中で忘れられない経験となりました。

僕も本当にいい経験をさせてもらったと感謝している。


2008年3月1日記事(朝日新聞be)

以上が3年前の未掲載エントリ。

あれから僕の方の身辺も再度のデフリンピックに出場したことなど、いくぶん変化はあった。今はそのデフリンピック・メダリストが全国の聾学校から依頼を受けて訪問し普及に努める活動がなされている。僕も2つ3つ依頼があったのだが、平日にすぐ行ける距離でもなかったので都合が合わずにいる。

全日ろう連の実績紹介ページを見ると、やはり聾学校で最も盛んな部活動の卓球が一番人気のよう。僕もまだ十代の生徒らに100mの関心はあってもマラソンの話や実技指導の希望が強いとはあまり思えないが(笑)、むしろ学校を卒業してから取り組めるものとして身近に感じてもらえればと思う。


 

  Related Entries


Message

メールアドレスが公開されることはありません。