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ろう者とスポーツ 2

ろう者スイマー上田君のこと

ろう者スイマーの力泳 /

8月2、3日、沖縄で開催された第54回日本実業団水泳競技大会において、ろう者スイマー上田君が10年連続出場で表彰された。心からお祝いし、ここに紹介したい。

上田君とは6年前、野沢克哉氏(*1)を団長とするろう者メンバーで、ギャローデット大学(*2)及びNTID(*3)の見学ツアーで知り合って以来の友人である。



(*1)手話による公正証書遺言を可能にした民法969条改正運動で有名な方
(*2)世界唯一の聴覚障害者専門総合大学
(*3)National Technical Institute for the Deaf ロチェスター工科大学(RIT)の一部

僕が年度末3月、彼が年度初め4月生まれで学年こそ1つ違うものの、誕生日はわずかしか離れていない、同じ36歳、ともに未年生まれの牡羊座の羊男である。大阪の人間らしく、とても明るく気さくなのだが、とりわけ彼に感心させられるのが、そのバイタリティあふれた活動振りである。ツアーでも相当程度マスターしていたASL(アメリカ手話)を駆使して、当地の学生をはじめとする米国のろう者に積極的に接し、あらゆることを学び取ろうとしていた、メンバー中、最も熱心だったのが彼である。

「仕事」と「水泳」という2つの世界をとことん追求しようとしている彼の真剣なその姿勢がとても尊敬させられる。例えば、研究職の仕事では、職場だけで完結してしまうのではなく、全国の仲間と情報交換に努めることを怠らない。門外漢の僕に対してさえそうであったように、出会う人をつかまえては仕事に対しての情熱を熱く語りかけてくる。

ろう者の国際大会に出場している腕前の水泳についても然り。何より素晴らしいのが、今回の表彰が示すとおり、36歳という年齢でなお活躍を続けていること。 僕は水泳の世界については詳しくないが、激しく体力を消耗する水泳という競技の選手寿命がそう長くないものであろうことくらいは想像がつく。先日開催された水泳と陸上のそれぞれの世界選手権を見ても分かるように、陸上の方は短・中距離はともかく、僕が今やっているような(多くの市民ランナーがそうであるような)長距離種目については、30代、40代でもなお記録を伸ばしてゆける年齢である。 一方、10代の選手が世界新記録を出すことの多い、特に「若さ」の求められる競技が水泳のはずであることを思うとき、この世界でなお現役の競技選手として実業団大会というレベルの高い大会に出場を続けている彼のすごさが分かる(*4)。 彼の専門がバタフライであるということにも、エネルギッシュな彼にふさわしいと納得すると同時に、あらためて驚嘆させられる。

(*4)同学年選手として水泳は鈴木大地さん(1967.3生)、マラソンは有森裕子さん(1966.11生)、川嶋伸次さん(1966.6生)らがいる。

僕は就職してから走り始め、大会と呼べるものに出場して14年目になる。3年前、33歳のときに初めて陸連登録を行った。公認レースや実業団大会といえるものに出場するようになったのはここからである。今回の彼の偉業に僕が追いつこうと思うなら、「全日本実業団対抗陸上」・・・には出たくても出れないから、今のところ3年続けて出ている「全日本実業団ハーフマラソン」への出場を伸ばしてゆくことが目安になるだろうか。完走記でも述べているとおり、この大会は僕にとって最もハイレベルな、緊張で身体が縮み上がる、「自分より後ろに選手がいてくれるかどうか」恐ろしくて振り返れない、出場するのに相当の覚悟のいる大会である。

それでも、上田君の活躍に負けぬよう、10年は無理でも僕も1年でも長く続けて出場できることを目標にがんばってみたいと思う。 これからも多くの人の励みになるよう、彼にはなお活躍を続けてほしいと願っている。


連続出場者表彰 /
連続出場者表彰(「スイミング・マガジン」2003年10月号)

2003-09-27


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