補聴器の社会的認知

補聴器という医療装具

「きこえない」ろう者、あるいは特に「きこえにくい」難聴者のコミュニケーションを補う手段として、補聴器という医療機器がある。聴覚障害者のコミュニケーション手段として聴者が通常、思い浮かべるのは手話であろうが、実際に聴覚障害者の大部分を占める「難聴者」にとっては、まずその残存聴力を活かすべく補聴器というこの医療装具にたよることが多い。

ところで、聴覚障害の大きな特質の一つは、この障害が「目に見えない障害」ということ。それゆえ障害そのものがどういったものなのか、また、その程度、そして、障害ゆえに何に困るのか、不便であるのかといったことなどが理解されにくいが、この補聴器も誤解の多いもの。

代表的なのが、メガネと同様、補聴器も装着すれば、それですぐに普通に「きこえる」のだと思われてしまいやすいこと。そうでなく、補聴器は単純にいうと、「音を大きくする」だけの機械。「耳」は身体の中でも繊細で優れた器官。最近は近視矯正手術も一般的になっているのに対し、「聾」や「難聴」は医学的にも治療のまず困難な障害。一口に「きこえる」といっても、音をとらえることと、「言葉」をききとることとでは全く違う次元なのであり、単に音を大きくすれば言葉もききとれる訳ではない。

補聴器は今のところ、メガネのようには社会的に認知されていない。ファッションの一部として扱われているメガネと異なり、補聴器は、目立たず、隠せる、ことがセールスポイントになるように、マイナスなイメージの方が強い。

今回、エントリしてみたのは、日経新聞の生活欄に掲載されている「モードの方程式」という、服飾史家の中野香織氏がファッションについて語るコラムに触発されて。

これによると、補聴器メーカーがベネトンと共同開発して、7色の補聴器を発売したということである。いかにもベネトンらしいニュース。加えて、補聴器を装着するヒロインの映画も紹介されている。来月公開されるというこの映画「リード・マイ・リップス」、大いに楽しみなところだ。


 

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