バリアフリー、病院なお手薄

90%超が利用しにくい施設

昨日の日経・日曜紙面の医療コーナーは、障害者・高齢者がよく利用する場所であり、バリアフリー化が進んでいるように思われがちな病院、医療機関が、耳や目の不自由な人間には利用しにくいことを指摘している。

「コミュニケーションが難しく、説明も不十分で、インフォームドコンセントが当たり前(の時代)になっても聴覚障害者は蚊帳の外」


「障害者にとって身近な存在の病院でバリアーに遭遇するのは悲しい」

こうした声は聴覚障害者、視覚障害者らに共通する思い。聴覚障害者に一番、接しているはずの耳鼻科でさえも珍しくない。「聞こえないと伝えても大声を出されたり、口の動きを読めと指示されたり・・・」というのはしょっちゅう。

例えば、僕の近くの日赤病院という、市内で二箇所のみの総合病院でも然り。耳鼻科外来の受付職員が、きこえない(きこえにくい)という患者の障害をまるで理解していない、理解しようともせずに、ただ冷笑されたこと。公的な大病院ほど組織が官僚的になってしまうのか、このときの職員の態度といったら、十数年前の出来事でも今も忘れない。

グラフでは、「聴覚障害者が利用しにくい施設」の上位として病院(90%超)、乗り物、駅、診療所、役所、店舗、宿泊施設、銀行・・・が挙げられている。はっきりいって「全部そう」。

紙面でも指摘されているが、「医師とのコミュニケーションが取れないのでは行っても仕方ない・・・」「電話で予約もとれない」と、受診自体を諦めることもしばしば。病気になるのは前もって分かっていることではないから、通訳者も事前に準備しにくい。また、プライバシーもあって頼みにくい・・・等々。

法規定なく遅れるソフト面の対策

医療機関の聴覚、視覚障害への配慮の遅れは、国などが推進してきたバリアフリー施策が、車いす用のスロープの設置など建物や設備といったハード面を重視してきたことも一因


「バリアフリーという言葉のイメージが段差解消やスロープ、点字ブロックの設置などに限定されすぎていた」

行政(政治)側も、ハード面の対応は「実績を残した」という目に見える形で残しやすい、訴えやすい。一度、整備すると永く広く利用できるメリットも大きい。

ところが視覚障害者、とりわけ聴覚障害者に必要な対策は、ソフト面が大部分であるゆえ対応が難しい。人間対人間の対応なので、そこにいる医師や看護師や職員や・・・の資質に頼ることになる。

僕が思うに、聴覚障害者へのバリアは、第一段階が「ソフト面の手助けが必要」ということの周囲の認識が足りないこと。次に、それをカバーする手だてを取りにくいこと。あらゆる場面で手話通訳者や文字情報が配置される、というのは現実的でないから。難しいことは僕自身も充分、分かっている。

けれども、記事が「聴覚障害者外来」を設けて通訳者を常置した大学病院を紹介しているように、まずは認識からでも。

▼ことば「バリアフリー」
障害のある人が社会生活をする上での障壁(バリアー)を除くこと。段差解消など物理的なバリアフリーのほか、意思疎通が困難な障害者に別の方法で情報提供する「情報バリアフリー」の必要性も指摘されており、国も昨年度から自治体に補助金を出して情報面の対策を進めている。
対策は自動点字ソフトの導入や文書読み上げ装置の整備が中心。ただ点字が読める視覚障害者は10.6%、手話ができる聴覚障害者も15.4%にとどまるため障害者団体などはより幅広い対策を求めている。


 

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