酒席

酒席にて

送別会、歓迎会、花見・・・と続いたばかりのところに、5月以降もなぜか飲み会が続く。何やかやと人は理由をつけて飲みたがるもの。

まず職場有志で。

最初、「職場の若手、30代以下で・・・」ときいていたから、39の僕は「来年は参加資格なしか?」の「ギリギリ(セーフ)」と思って出てみる。もちろん、年齢はどうでもいいこと。若手、というには20代以下がいなくて、30代の中堅の集まり、というところだったが、その分、同世代の話のしやすさはあった。

ボストン旅行記でも触れているが、きこえない者にとって、飲みの場は非常に難関なことも多いのだが、年齢が近かったことに加え、この日、集まった人達は手話のできる、あるいは関心のある人が多く、また、筆談を厭わずにしてくれて、コミュニケーションはかなり助けられた。

僕の職場は女性が多く、この集まりも男女比4:6くらい。スケベ根性・・・で言うのではないが、大体において女性の方が気が利く、気が回る、配慮のできる・・・といった人が多い。たいていの手話サークルや要約筆記といったボランティア活動が8割方、女性で占められていることが示すように、そういったものは女性の方が多分に有している。

オジサンの場合、頭も硬いし心も硬い。上にゆくほど、偉くなるほど「なんで俺が書いてやらなくちゃいけないの」という態度が出てくるもので、話はちょっと弾みにくい。

筆談考

卑近な例でいうと、以前も書いたが、僕の今の仕事は係内の協議の非常に多い職場である。普通、聴覚障害者はその逆となりやすいのだが、この協議のときは係の者が内容を筆記してくれる。うまい具合に、序列でいうとちょうど僕が中間点に位置していて、ルールが決められている訳ではないが、上の人が筆記することはなく、僕より下の者がたいてい、対応してくれている。ここでも下の人達の好意に助けられている。

身をもって知ることだろうが、筆記通訳も難しい問題を多くはらんでいる。話し言葉を書き言葉に置き換えるとき、がんばって1、2割がうまくできればいい方。協議では話し手は当然、頻繁に変わるので追いつけない。筆記役が通訳に専念するわけではなく、意見をはさむ(意見を述べたい)こともある。非常に専門的な、外部に通訳を頼んで対応できる内容でもない。

僕がいなければこんなことをしなくても済むことで、僕と同じ職場(係)になったことはある意味、1%以下の確率でもある。貴重な? あるいは迷惑な? 稀有な機会を与えてしまっている。sorry&thank you です。

話を戻して・・・。特に筆談は相手に負担をかけることでもあり、まず僕自身に、上の人に対しては申し訳なさや恐縮の気持ちが強くなる。そんなわけで、上にこびる、へつらう、取り入る・・・というのは僕の場合、全く苦手で、当然、出世も望めそうにない。

この日の男性陣は僕が最年長だったせいでもなかろうけれど、皆、非常に好意的であった。今の若い人はずっと柔軟である。年をとってもどうか、硬いオジサン化しないことを願う。

酒席に限らず、どんな場面でもそうなのだが、自分の味方が一人でもいると心強い。逆に、一人もいないと、周囲はにぎやかに盛り上がっている、自分は孤立する(聴覚障害者の場合、そもそも、なんで盛り上がっているのかが分からない)、で悲惨な針のむしろ状態になりやすい。

今のこの職場は、そういった味方的な人も少なからずいて、恵まれている方かもしれない。こればかりは運不運によるところが大きく、いつもこうだ、とはなかなかゆかないし、仕事中もずっと、とはまた難しいのだけれど。そんなわけで、職場のみなさん、ドーモでした。

同士の酒席

もうひとつは職場(この場合の職場、は、大きくとらえた方の、室やフロアは一緒でないけど同じ職員)のきこえない者で集まった酒席。

この頃、障害者の雇用率が少し上がったというニュースがあったが、以前、書いたように、種別でみないとどうともいえない。僕の勤める場は、全職員比でみても、非常に(異常に)聴覚障害職員の少ないところなのだが、久しぶりに新しい仲間が加わった(祝)。

ここでは、男女比1:3(人数そのまま)。

今度は20代&10代もいて、で、おじさん&おばさんV.S.若者という構図であった。 話していると「時代」を強く感じさせられることも多く、笑えるところでもあるが、それでも、ここでは同じ障害を持つ者同士の気安さがある。同じ職場に数年、一緒にいても親密になれる人は限られるのに、同じ困難を有する者を持った仲間とは、うちとけるのも早い。

今回は、まだ仕事を始めて間もない若い子との初めての集まりで、かつ、残り3人での飲みも久しぶりだったので、近況の明るい話に終始した。これが飲みの本来の姿でもあり、テーブルにメモなく話ができるというのも楽なもの。

きこえないがゆえの仕事の支障や悩みには際限ないものがあって、そういったことを話せる、相談できる相手は限られているから、貴重な同士である。

これも最近の例でいうと、今度、僕の職場のトップが各員とのヒアリングを行ってくれている。この時期に、は例のないことで、素晴らしい。順に回ってくるとき、他の者は2時間3時間も長いこと話し込んでいるので、どんな結果になるのかと期待もさせられたのだが、僕のはあっけなく15分で終わった。さっき書いたように、筆談で15分というのは、多分、話し言葉では5分で終わる内容である。多分、問題はたくさん抱えているはずが、こんなことでいいのかな、と複雑な気分でもあった。

まあでも、これも致し方のないことといってしまえば、それまで。これまでの上司(トップ)とも話したことは数えるばかり。・・・だったように、上司にとっても、1%以下の確率で不運にも僕にめぐりあってしまったのかもしれない。上司にとっては、仕事のできる者、扱いやすい者の方がいい。誰だって話しやすい者の方に流れる。

ある程度の規模の職場なら用意されているはずだが、一応、僕の職場にも、悩みその他の相談室というのがある。OBの方があたっているのだが、ものすごい確率なことに、そのOBが、1人ならず、以前の僕の上司だった人達である。その任にふさわしい立派な方だと誰もが認めるし、僕もそう思うが、かつて部下だった僕は一体、どこに相談しにゆこう、という気にもなってしまう。

再び、4人の話に戻して──。組織にはたいてい、おおよそのラインというか、道筋があるのだが、おじさんとおばさんは上にモデルになる人がいない。経験値というものがない状況で、この先、どういうふうにこの組織の中で道を見つけて(開いて)ゆけるのか、それはそれで悩ましいものである。あと、僕以外の3人は同性で業務も共通するところが大きく、そうでない僕からみると、その点は羨ましい。

酒と仕事。人類には古今東西、切り離せないものである。楽しいことばかりではないが、かといって悲しいことばかりでもない。色々あるけど、まあ、がんばらなきゃな、と、呑み続けることだろう。

もうひとつ、陸上部でも飲みが予定されている。最初は、この日(か翌日)、ということで、翌日なら連日になっても参加してみようと思っていたのだが、都合の悪い者が多いらしく、来週に延期された。その来週、は、また、僕は翌日に出かけての祝宴に招待されているので、これも連チャンもできなくはないが、資力と体力がきついので残念だが今回は見合わせようと思っている。是非また今度の別の機会に。

それにしても、蒸し暑くなってきた季節。ビール、発泡酒、第3のビール・・・、続々出てくる新製品のCMの誘惑の多いこと。


 

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