失聴22年 バス通り

若葉の頃

高速を飛ばして福岡の病院に向かっていた、山の緑の濃淡が生命力を感じさせてよく覚えているのが22年前のこの頃。日一日と聴力がなくなってゆく時期、「次の診察日は連休明けになります」と電話で絶望的な案内をされていたことも覚えている。22年は長いようで、けれど、あっという間といえばあっという間に思えてしまう。音入れして初めての年ということもあり、今年のGWはそんなことをあらためて思い出す。

Yahoo! ポイントの期限が切れるというので、何か買えるものがないかと探して中島みゆきのCDを買ってみた。浦島太郎状態ゆえDLとか知らないもので。。。実は昔もっていたCDは捨てていなくて、けれど大学時代によくきいていたみゆきさんは全てLPだったので卒業時、友人に全部あげてしまった(その後、どうなったろう?)。買ったのは「臨月」。このアルバムのB面がとてもよくて、特に選ぶなら「バス通り」と「夜曲」なのだが、手元にして見るアルバムジャケットが何とも懐かしい(撮影自体がセピア色だし...)。

失聴直後に「空と君のあいだに」が出ている、それを含めた以後の「地上の星」その他を知らない、wikiを見てみたらもう自分の知っている期間は1/3になってしまうくらい長い活躍をされていることになるね。僕自身は「わかれうた」や「しあわせ芝居」(桜田淳子)あたりから同時代的にきいているが、当時小学生の自分にもこの、薄暗いが心に突き刺ささる独特の詞の世界は強烈だった。

その後のロック調でもなく、暗さがディープ過ぎることもなく、のポップス路線化したこのあたりが好みで、この次のシングルとして大ヒットした「悪女」の明るく軽い曲調もこの「バス通り」に萌芽をみることができる── なんて珍しい音楽論? もいえるくらいにこの曲は好きだったが、30年以上経っても好みは全く変わらないのだなぁとつくづく思う(成長していない?)

他にも色々、聴き直してみたい曲は多い中で、なぜに「バス通り」だったのかは自分でも不思議だが、強いていえばこの歌の詞に4度も出てくる「時計」の使われ方が絶妙で、(長短はあれど)時の経過を思わせるところが自分の22年(や30年)にもなにがしか通じるところあり手にとらせたのかな。

それにしても、短い曲詞の中で情景も時の流れも思い浮かばせて軽く歌い上げるのは本当に天才的なひと。大岡信が紀貫之の袖ひぢて── の歌を礼賛したように、この曲の中には涙だったり歌だったり時間だったり記憶だったり・・・のたくさんのものが流れている。

ringetsu

臨月 / 中島みゆき(NAKAJIMA MIYUKI)
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