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今の日本のポップスの詞のプロットのすべてが...

金曜ユーミンコードの標題テーマ。ラストに流した「経る時」の前の語りは、後年のユーミン評に貴重な証言となるのではと思える内容だった。

いわく、ふと想い出す80年代前半までのこと、1979年に「悲しいほどお天気」をリリースして82年までのアルバムを挙げ、年2作出していた、そのモチベーションは「滅茶苦茶高かった」「自分で振り返っても信じられない」。何がそうさせたかと思うに、荒井由美でブームになった後、どうやっていこうと試行錯誤して「ほのかな光が見えだした」70年代終わりに「これをつかまえないことには」と、まだ誰もやっていないことに燃えてどんどんつくっていった、のだと。

私の80年代前半に今の日本のポップスの詞のプロットのすべてがあるっていっても過言じゃないんじゃないかな

確かに、荒井由美の完成度が高くて、けれど、その後はヒットはあるにしろユーミンの云う試行錯誤があって、というのがうなずける。「悲しいほど・・」のアルバムは、先週のテーマの「吹き抜ける風」で流された「緑の町に舞い降りて」をはじめいい歌が多く、これもひとつの転機であったのかなと思える。

そうして「経る時」の収録アルバム「REINCARNATION」が1983年。1983年というのは、常々持論を述べている、J-POP最高の年と思う(=個人的に)。この自説も決して大きくは間違っていないはずの、「REINCARNATION」からこの次のアルバム「VOYAGER」(1983)にかけてがユーミンのひとつの頂点でないかと、また個人的に思っている。

苦しくも楽しい、一番想い出す時期だというのも、ユーミンの語りにはなかったけれど、松田聖子や原田知世や薬師丸ひろ子・・らへの詞曲の提供で充実、という言葉では言い切れないほどにエネルギッシュに燃え、かつ、後世に残る名曲の多く生まれたユーミン自身の最高の時期だったろうと思う。

その80年代前半、40年前の頃を想い出して語ったように、今のことももしかするとこの先、懐かしく想うかも知れない、そして「経る時」で何より伝えたかったのは、桜は満開の時だけが桜ではない、冬木立のときにも蕾へと次の準備をしている。そしてそれを繰り返す。ユーミンが想い出すのも苦しくも楽しくも力を尽くしてきた過去の延長に今があるからのはずで、自分も例えば、サウンドアドベンチャーと For Your Departure から気付くとユーミンコードになっていた、その間に自分には21年の空白と呼べるような一面もあったなど、人それぞれ濃淡はあれど、きっと誰もが自分の人生の起伏の連続に今があることをふと思い、振り返る、そう思わせるような、このほか、映画評や「ELLE」編集長の話など今回はとてもきかせる内容だった。


 

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