離職につながる職場の悩み

朝日・毎日・読売・・・の一般紙は購読していないので機会ある時にまとめて読んでいるのだけれど、先週の朝日「患者を生きる」シリーズに「障害と就労支援/情報編」として障害者の離職率の高さが取り上げられていた。中で、聴覚障害者の離職理由が特筆されている。

一般に聴覚障害者は、聞き取りの困難さが原因で職場でコミュニケーションがうまくとれないなど、就職活動時よりも就職後に悩みをかかえ離職につながることが多い。


2008/07/20朝日・障害と就労支援

「離職につながる職場の悩み」

このブログでも度々、触れてきているように、聴覚障害者は仕事を「続ける」ことの困難が本当に大きい。「見た目」が健常者と変わらず問題なさそうに見えても、職場でコミュニケーションがうまくとれないこと、すなわち仕事を覚えることも、状況を把握して適切な言動をとる(能力を発揮する)ことも、また、何気ない会話で周囲との良好な人間関係を築くことも容易でないから。

僕の周囲を見回しても、同障の仲間でこれまで仕事を辞めたことがない、という方に会う方が少ない。滅多にない。

実際には仕事を見つけることも容易でない。電話で問い合わせることも面接も、すべて会話のやり取りだから、この時点で相手にならない。例えば障害枠という配慮があるにしても、一口に障害で括られても、筆記試験では、言葉を覚えることさえ並大抵の努力では済まなかった聴覚障害者は圧倒的なハンデだ。

僕の職場でも多いけれど、車椅子の方には駐車場やトイレの確保、エレベーターや通路の対応、上肢障害なら重い荷物を持たないで済むような配慮などで足りる。筆記試験や面接にハンデはなく、障害枠を利用せずとも一般枠で充分、通用する。就職後もデスクワークが主なら問題なく、出張も研修も会議も普通にこなしてステップアップしてゆける。本当に大きな差だ。

一方、聴覚障害者の場合、コミュニケーションを補うために「通訳(手話や筆記)」の手を借りることが多い。ハローワークで、試験会場で、面接時に・・・。ただこれも両刃の剣、という言い方もそぐわないが、あくまで「その場」限りの利便性。

僕は「通訳」だけを声高に叫ぶのはどうかと思う方で、それはやはり、普段の仕事場で、日々の生活に、全て通訳が付くわけでないから。通訳が有効に機能する場は確かにあるけれど、例えば面接の時に通訳を介して受け答えすると、どのくらい聞こえるのか、口話ができるのか、筆談の力があるのか・・・が通訳の利便性にかき消されて相手(採用側)に伝わらない。

ただでさえ見た目に表れないがゆえの障害の深刻さが理解がされない。こうした現実の姿が分からないジレンマを抱えている。

職場で悩んだり病気になったりしたときに相談できるところが少ないなど、視覚・聴覚障害者の支援はまだまだ不十分。就職後もメンタル面でケアするカウンセラーの養成なども必要だ。

僕自身、悩み、病気(鬱)になっても相談できる箇所などない。本当に数少ない同障者と励まし合うくらいしか思い付かない。実際には周囲がどうする、という手だてもなかなかないところがこの障害の厳しいところなのだけれど、せめて理解してもらえたらと思う。


 

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