腰痛を治す65のワザ+α

小山 郁・大手小町編集部(2010年刊保健同人社)

2010/09/09読了、2010/09/09メモ

掲示板ベースで読みやすい

当事者真っ最中の身として刊行前に予約したモノなので、実際に本書が届いて初めて目にした(手にした)感想は、「うーん、これ(=新書より薄い110頁)で840円は高いのでは」というのが正直なところ。

本書は全体の8割と大半を占める第1章で発言小町のトピックをベースに、それへのレスと医師のアドバイス、第2章の残りで通常の本にみられる腰痛の基礎知識が付加された構成となっている。

保健同人社の「これ効き!シリーズ」は他の病状編も既にいくつかあるようで、掲示板に寄せられた、たくさんの人の悩み、知恵、アドバイス・・・といった価値ある「声」をそのままに利用するという手法によって、作る方には非常に効率の高い商用性と、読む方もうまくまとめてくれて読みやすいという有用性をともに得られるものになっている。

世に腰痛本や、WEB上の解説、掲示板、Q&A・・・はたくさんある中で、本書の「65のワザ」に特に新味があるわけではない(取り上げられたレスの数がただ65個なだけである)。医師のアドバイスもあくまで一般的な、もちろんそれゆえに良心的な解説なのでネット上の情報で充分とはいえる。僕も昔、「坐骨神経痛」でこの掲示板からは色々と学んだ。

例えば、本書しょっぱなで以下のトピックとレスがそのまま引用されている。

ぎっくり腰経験者教えてください!! : 心や体の悩み : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ネットそのままの情報 ── かつ、それは経済的な見返りを期待したわけでもなく、発言が転載されても一切、果実の得られない(ことがしっかり断られている)── 一般の人達の投稿に対し、それを商業的に利用する出版社(編集者)にお金を払う、という抵抗がないでもない。それでも、掲示板のトピックとレスをベースにしたところが、一般の解説本よりも実際に「痛み」に苦しむ仲間の声として、とても切実に共感を持って読めるのが魅力であり、またやはり一冊の本としては非常にうまくまとめられていて、最初の「高いかな」という840円もまあ納得させうるところはある。

ちょうど今日、届いて読んだのが(刊行と注文の順は逆になるが)、こちらも先月、刊行されたばかりの「腰痛はアタマで治す」(集英社新書)。こちらの方がこれまでの医学的所見、診療の不足を指摘してインパクトは大きい。その意味で本書は構成が少し、面白いというだけで内容はあくまで一般的なノーマルなものなので、慢性腰痛持ち、上級ヘビーユーザー(患者)にはもの足りないかもしれない。


ゆがみは気にしなくていい

ドクターのアドバイスとして、強く共感できたのが「ゆがみは気にしなくていい」。

本当に最近はやたらと「ゆがみ=悪」論が強くて、整体に行けば「左右で足の長さが○センチ違いますね」「骨盤がずれています」「右に(左に)ゆがんでいますよ」・・・等々の一種「脅し」文句が必ず、といっていいほどついてくる。またランニング本然り。最近ものすごく多いランニング・スクールやランニング・コーチの指導然り。

僕なんかは野球をずっとやってきたし、今でもバレーやテニスが好きなので当然に利き手の右手、右足は左より長いし、このブログでもちょくちょく触れているけれど、特に右足の骨格なんて大きく左のそれとは違っている。それでも43歳でなお5000mは15分台で、マラソンも2時間30分を切れている。

バランスが悪いから腰痛になる、故障を引き起こすのだ、といわれると返す言葉に詰まるし、良ければもっとパフォーマンスはいいのか? とも思うが、でも左右のバランスがとれているのにこしたことはないだろうけれど、もう社会人になった本人の骨格修整や、それに連動するフォームの矯正には限度があると思う。大切なのは、多少のズレやアンバランスを補正する筋肉や、アプローチの方だろう。

バランスやフォームばかりが重視され過ぎるのは、何だか弱みや障害や・・・を持っていることを受け入れない、排除するかのような潔癖性的なきらいがあってイヤに思っていたところでもある。多少のクセ、個性があるくらいの方が面白い。

満足度:★★★


 

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