2000年度の転機

7年前の原稿

新年の目標(*1)で言及した、以前、部誌に寄稿した原稿。ちょうど新年早々で、誰しも抱負や目標を持つ時期。そして、それを年末に、あるいはこうして何年か後にふとしたきっかけで振り返るのも楽しい。

春樹も同じことを云っているしね(*2)。

*1 2008年目標

*2 走るという行為を軸にした「個人史(メモワール)」

ホームページを開設するまだ1年前(今から7年前)、どんなことを述べていたかというと・・・(以下、原文)

2000年度の転機

「ミレニアム記念」、「今世紀最後の」、「新世紀の幕開け」...、という華々しい言葉の大会名に煽られるかのように、私もよく走った年になりました。年間20もの大会に出たのは初めてだし、中でも初出場の多いのが特徴です。

耳の聴こえない私は今、自身の使命としてもあり、聴覚障害者福祉に関わる色んな運動をしています。運動といっても、身体を動かすそれではなく、100%室内での会議その他です。限られた人間でやっていることなので土日もままならず、陸上部にはつきあいが悪く、お手伝いもできず、と迷惑をおかけしていることを申し訳なく思います。元々アウトドアーな自分にここ数年、そういった状況の続いたストレスもあり、これまでの鬱憤を晴らすように走っている次第です。

私にとって走ることは、単純明快に、聴こえなくなってもできた、一人でも楽しめたという理由で自然に淘汰されたスポーツですが、気が付くと、これまで考えもしなかった大会に出場するようになったことに驚いています。

今年度初めて陸連登録をしたことにより、一気に競技の幅が広がったのも大きな理由です。中でも、生まれ育った地の防府読売マラソンや、7年前、入院中のベッドで所在無く見ていた全日本実業団ハーフマラソンなど、TV画面の中の別世界と思っていた大会に出場できたことは感慨もひとしおです。

トラックを走る機会が増えたことや、競技場発着のレースというのも感激の経験でしたが、一方で苦い経験もあります。

暑さは得意であり、体調も整えて臨んだつもりの玉造マラソンではこてんぱんに叩きのめされました。「根本的に自分は走ることに向いていないのではないか。もう走ることはやめよう、テニスやスキーの方が余程、女の子にもてて楽しい」と本気で思ったほどです。

それでも、その後の防府で予想以上の好結果に喜び、気を良くし、さらには、50回記念大会の別大にももぐりこめました。大阪までの夜行バスで行けるのが楽しい篠山にも出場を続けています。ちょっと調子に乗り過ぎかもしれません。

「死ぬほど練習した者には神が幸運を授けてくれる」と藤田敦史は言いましたが、調子に乗り過ぎの私には試練が与えられるようで、天は幾度も冷たい雨を浴びせます。なお懲りずに今は、4月のボストンに向けて村上春樹のエッセイを再読・熟読し、気持ちを高めているところです。

走ることは一人でできるとはいえ、陸上部にいることの恩恵、有形無形に得られるものの大きさを強く感じています。個人でのレースにしろ、駅伝にしろ、大会に出場できるのも陸上部あってのことです。名誉な大会に私の実力で出られるのは、多分に幸運に恵まれている面があります。

会計課在任中、佐伯、古林さんに誘われて入部してから多くの人にお世話になり、サポートを受けています。玉造では、大会前夜、「2時間50分を切りたい」と思っていた私に、斎藤監督は「3時間20分前後だろう」と予想されました。何も走る前から意欲をそぐようなことを言わないでも、と内心思いましたが、その通りになってしまい、以後、何も言えません。それでも「完走できただけで立派」とフォローしてもらい、マラソン後のケアなどもていねいに御指導いただいています。

刺激を受ける部員が多いのも陸上部ならではです。実力は遠く及ばないものの、秋枝、宮崎、山家、山田氏らが私の同学年であることは、素晴らしい目標と良い励みを与えてくれます。また、後塵を拝してばかりの古林君には、この頃、後姿さえ見えなくなってきていることに寂しさ、いや、頑張らねばという危機感を持たせられています。玉造、防府等、いつでも横沼さんには大きく手を振っていただき、力付けられています。その他、いつも多くの方の声援が胸にしみるのは、枚挙に暇がありません。

せっかく原稿の執筆機会をいただいたので、ついでに大きなことを言ってみますと──

今の防府読売のコースは、私の実家を中心にして作られており(!)、幼・小・中・高の18年間を過ごした学び舎と思い出とに覆われています。昨年末、その景色の中を走ってみて大変気持ちの良いことを実感しました。

と、すれば、次の5年間の青春を過ごした福岡の地(福岡国際)も......、という不遜な思いが今、沸々と膨らんできています。防府同様、目を閉じていてもコースは浮かんでくるので、あとは「果報は寝て待て」とばかり、夢は大きく持っているこの頃です。

(2001/03/16 記)



 

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