洞爺湖マラソン2011 - 4 いちばん静かな湖。

この夏

2年前の洞爺湖完走記にもきこえないこと という一話を挿んだが、今回また図らずも、きこえない我が身をつくづく感じさせられた。普段から24時間365日、そうして生きていることではあるけれど、時々、こうして強く洞察せざるを得ない。

それで思い出していたのは映画「あの夏、いちばん静かな海。」 この映画の中でも聾の主人公・茂が、自分の出番を告げるアナウンスを知らずに失格となってしまうシーンがあった。当時、僕もこう書いた。

僕たちは、音声言語を前提とする不利な世界の中に生きている。サーフボードを買うときや大会進行のアナウンスがきこえないだけでなく、四六時中、当たり前の情報の蚊帳の外にいる。なんとか情報を得ようとすると、苦労する。

こうした機械的な情報の不足も、ふと話しかけられて答えられない(話しかけられたということに気付けないことさえしょっちゅう)という大事な人間関係を築けないことも、危険を察知できずに事故に遭いやすいことも、仕事での圧倒的な不利も、挙げればきりがない。

それをどうこう出来ないことも分かっているので、今回の中止もやむを得ない、それを知らなかった自分もどうしようもない、とサバサバとして帰ってきた。あの映画が僕にとってもベスト10に入るだろうくらいにとても良かったのは、大会で失格になっても、ただ好きなサーフィンができればいいのだ、という主人公の姿がほんとうに大切なものを教えてくれるところ。

大会に出て記録や順位に挑戦することも大きな魅力であるけれど、もちろんそれが全てではないし、やっぱり大切なのは大会に出て順位や記録を第三者に認めてもらうこと以上に、自分が好きで走っている、走れているということ。一人で波とたわむれることで充分なように、一人で風を受けることのできる環境にまず幸せを感じたい。

You have good days and bad days.

もう一点、思い出したのも、2年前のこのレースで歓喜をもたらしてくれた adidas の adizero JAPAN を買って走った契機でもある、ゲブレセラシエの言葉。

You have good days and bad days. Today was a good day.

人生、いい日もあれば悪い日もある。今日はいい一日だった。

2006年の福岡で初めてサブ30を達したときにも「折れない心」。に勇気付けられていたが、ゲブレシラシエの言葉は折にふれてかみしめる。

僕にとって2年前の洞爺湖は最高にいい一日だったわけだが、人生にはいい日もあれば悪い日もある。今回は 42.195kmという距離も夢も果たせなかったけれど、アクシデントやハプニングもまた人生を豊かにしてくれる。今回の不運だった Bad days をいつの日か思い出して、Today was a good day. といえる日が、きっとこの先、またあるだろうから。

静かで美しい湖
静かで美しい湖

 

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