第60回福岡国際マラソン選手権大会 1

2006/12/03 平和台陸上競技場発着

来週は福岡国際マラソン

平和台陸上競技場
平和台陸上競技場(2004年撮影)

いよいよ来週は福岡国際マラソン。緊張感が高まってくる。レースを間近に控えての、この高揚感もマラソンの大きな醍醐味のひとつ。

今日明日は最後の週末──。

明日は県実業団駅伝。お隣、地元福岡では門司港レトロマラソンに、嘉穂リバーサイドロードレース。いずれも最後の追い込みに適したレースなのだが、僕は明日、用あってエントリーできず。代わりに今日、追い込んでおいた。平日はなかなか行けない競技場外周へ。以前に比べると、今シーズンは外周を走る回数も激減したが、週末に訪れるのも今日が最後、と思うと感慨深い。

もちろん、分かっている。レースが終われば、また懲りずに走ることを。通うようになることを。でも、ことマラソンの場合、目標レースの次はあまり考えられない。すぐには考えたくない。他のレースがマラソンまでの過程の一つに過ぎないのに対し、マラソンはそれ自体がゴール。スタートラインに立つこと自体が最終地点といっていいくらい。

駅伝を欠場する分、今日の練習も最後まで一人、一匹なのだなぁ、と我ながら苦笑い。一人だと気楽な反面、追い込みにくい、甘えが出やすいのも事実。だから余計に自分を律する力というか、意志の強さが必要になってくる。一人で「ヨシ、行くぞ」とスタートを切るのも結構、勇気が要るものである。

10kmを16分34秒--16分40秒で。レースでもなく、タイムトライアルでもないから、タイムは二の次であるが、先週の秋穂ロードレースを慎重に走ったこともあり、今日はそれ以上のつもりで。車海老はないけど、先週の一般男子10km1位のタイムより良くて、ちょっと嬉しい。でも、目標のサブ30を目指すなら10kmで32分台をコンスタントに出せる力がないといけない。一方、マラソン直前に身体を軽くし過ぎてもいけない、で微妙なところ。理想をいうなら後半上げてゆけると良かったが、危機感を持つのにはいいタイム。

ここまで一匹の練習が全てだった分、来週はそれこそ全国から集まる大勢の仲間とともにスタートラインに立てるのだ、一緒に走れるのだと思うと、嬉しくなる。期待に胸が躍る。

あと42.195km

昔、アトランタオリンピックの直前に、アシックスが新聞の一面全面を使って、女子マラソン出場の3人(有森、浅利、真木)を応援する広告があった。

スタートラインに立つまで何千キロもの距離を走り込んできた、苛酷なトレーニングに耐えてきた。それに比べれば、あと、もう「たったの」42.195kmでいいんだ──。僕がマラソンに打ち込むようになるのはこの後、まだ数年、次のシドニーオリンピックを待たねばならない頃だったが、当時、このコピーが非常に気に入って、しばらくは部屋に貼っていた。今も大好きなフレーズである。

それから、先週のNHKプロフェッショナルは、末続の指導にも当たっている、僕の大好きな高野進コーチであった。高野コーチは、番組の中で、「ゴールの向こうには新しい自分が待っている」と選手を鼓舞するのだという。確かに、誰しもスタートラインに立つことは不安である。勇気が要る。特に短距離走でのプレッシャーは恐ろしいものがあるだろう。でも、ゴール地点には、新しい自分が待っていると思えばいい。

初めて郷里の防府読売マラソンを走るとき、僕も誓った。完走記にも記した。「競技場に帰ってくるのだ」「明日また新しい自分を残したい」と。それと同じだ。

これも僕の好きな言葉──

「42.195km先の自分に出会うために。」

目標に向かって挑戦できる幸せ

もっと走り込めば良かった。もっと質の高い練習を繰り返せば良かった。あと1回でも2回でも・・・。誰もがそう思う。いくらやっても上限はないのも事実。

僕の今の力で、目標のサブ30を目指すなら、それこそ、もっともっともっともっと・・・必要である。才能もない、経験もない、コーチもいない。ならば人の2倍、3倍やって追いつけるかどうか。

けれども、それもマラソン。仕事や家庭やその他色々な制約のある中、限られた時間でどれだけひとつひとつの練習を積み上げて来れたか。それも全て自分の力。体調の管理もそう。臀部痛がまさかここまでしつこく続くとは誤算だった、小さなケガ、故障も当然、いくつかはあったが、悪いなりにも対応してきた。ベストの状態はありえないのだから、やれるだけのことはやってきた、と自信を持って臨みたい。

困難でも可能性は小さくとも、何よりも挑戦できる喜びを、幸せをかみしめたい。

県庁ファイブ

陸上部からは5人がエントリー。映画「長州ファイブ」になぞらえて、県庁ファイブ。全員が出走できるかどうか、まだ予断は許さないし、果たして皆が完走できるかどうかも分からないが、チームから5人というのもそれ自体で、充分、快挙である。ちなみに、僕とM君は同じ課の同じ係で机が真向かい、というのも他にないのでは。

ここ数年、部としてのマラソン成績は停滞が続いていた。M君とY君がサブ30を達成し東京国際に出場してから長い長い不毛の歳月。別大でさえ、ここ数年は僕一人が続いていた。陸上部にも毎年、新たな部員が加わって、今年こそ今年こそ、と思っていたが、今度こそ本当に今年は一気に開花しそうである。今年の完走記日本海マラソンで触れたように、チームがこれまでになく活況を呈してきた。

今シーズンは皆、かなり練習できているようである。結果も出ている。競技場外周に行ってよく見かけると思うようになったのは、何のことはない、僕が行かなくなっただけのことである。僕も心配している余裕はない。

僕も一人で、一匹で練習しているとはいっても、お互いがそれぞれの方法で練習しながらでも、チームで練習する方法でも、手段は複数あって、結果としてチームが、総体がレベルアップしてゆけばいい。皆の活躍が僕にはこれ以上ない刺激になる。

先のM君、Y君とも同学年。ライバルというにはまだ成績も追いつかずにおこがましいが、一緒に練習したことは一度もないが、でも素晴らしい目標が部にあるから僕も周回遅れのスタートながら、ここまで頑張って来れた。部だけでなく、県内のランナー、また県外のランナー達と知り合うようにもなった。僕にとっては、具体的な練習方法とかいうアドバイスよりも、離れていても、遠くにいても、目標となる人を持っている──というのが一番のモチベーションである。

今度、一緒に走る5人も。そして、その後の防府へのエントリー組も。結果を出して、次は別大にも県庁ファイブで、さらには一気に県庁セブンで、県庁ナインで行きたいものである。

マラソンはドラマ。汲めども尽きぬ源泉のように、スタートを前にして、思いはあふれてくる。

あと42.195km。


第60回福岡国際マラソン

NHKプロフェッショナル 仕事の流儀 第33回(2006年11月16日放送)


 

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