第14回十種ヶ峰登山マラソン

2004/8/29 嘉年小学校グランド~十種ヶ峰山頂(標高989m)

自然と人情の町、阿東町

長門峡駅を過ぎて徳佐に向かうSL
長門峡駅を過ぎて徳佐に向かうSL

阿東町といえば、県内の人には長門峡やこの十種ヶ峰で知られる。自然豊かで静かな町だが、今年1月に発生した鳥インフルエンザで全国にその名が広まることとなった。

国内で79年ぶりという非常事態に、地元町民、町役場、養鶏業者、指揮を執った県農林部、県出先機関(農林事務所、家畜保健衛生所、保健所、土木事務所・・・等)の方々は、まさに不眠不休の本当に大変な苦労だったと思う。発生から1ヶ月あまりの最短期間で沈静化したのも、関係者の懸命な対応があったからこそ。悪質な隠蔽工作で裁判沙汰となった別の県のケースと違い、山口県の迅速な対応は評価された。出荷制限を受けた農家の経済損失は大きく、また、一時期、風評被害で全国的にも山口県産鶏肉と鶏卵が店頭から排除された時期もあったけれど、その後は、むしろ、事態への誠実な対応が支持された。県農産品ブランド「正直やまぐち」の名が示すとおりに。

*正直やまぐち

そんな町へのエールのあらわれか、今年は10kmの部に男女とも昨年の1.5倍にもなる計180人ものエントリー。僕も、もちろん、この日もしっかり県産卵を食べてから臨んだ(我が家の週末はいつもサンドイッチ)。山頂で飲む何より美味しい水と、この大会を支える町の方々のあたたかいもてなしを味わうために、8度目の出場。ゴール後にふるまわれる恒例のソーメンとトマトが、今年はおにぎりのプラスされた嬉しさもあった。

例年以上に若い選手多く

さて、レースの方。今年は昨年、一昨年を連覇した選手が出場しておらず、見るからに若い3人が飛び出す。ランシャツのユニフォームで一人は萩高生と分かったものの、あとの2人は一体、誰(どんな選手)なんだろうと思いながら序盤、フラットな3kmは僕が先頭で引っ張る。最初の坂では4人が入れ替わりながら並走。ゲレンデ斜面で萩高生が抜け出し、僕は3人に遅れる。

ロッジ前、4km過ぎの急斜面
ロッジ前、4km過ぎの急斜面を並走する4人

この大会は、以前の完走記で「固定ファンが多い」と書いたように、他の大会以上に中高年比率の高い、いわば玄人好みの大会だと思う。僕も8度目と慣れてきたから、それなりにペース配分もできるようになった。それを、これまで出場したことがあるようには見えない若い選手がよくがんばるものだ、と走っている間、ずっと思っていた。

山中道の最後で前の2人をとらえ、また、最後の舗装面でも抜きつ抜かれつしながら何とか踏ん張って2位でゴール。結果的に1位との差が少し詰まり、3位4位(高専学生)と大きく差の開いたのはやはり、若い彼らが最後まで傾斜の延々続くコース事情を知らなかったからじゃないか。昨年、コース概略を記したように、この大会はコースを知っておくことと、それに対する自分なりの作戦――大袈裟にいうと、経験則から導き出される戦略――が必要。それがあれば、かなりカバーできるし、固定ファンの多い理由の一つでもある。逆に言うと、そんなのなくとも1位になった、中学生みたいにまだあどけなさの残る17歳萩高生をあっぱれというしかない。

また、今年は「航空学生」という、そろいのユニフォーム(きちんとしたランシャツ・ランパン)で15人のエントリーがあったのが目を引いた。防府市にある航空自衛隊に身を置く20歳前の若い士官達だろうか。彼らは将来、訓練で任務で、自由自在に空を飛ぶことになるのだろうけれど、こうして自分の足で一歩一歩、山頂目指して駆け上がるのもいい経験になったんじゃないか。上官の命を受けての強制参加か、冷やかし半分か、大半はスローペースであった中で、一人、6位入賞した者がいたのは立派だった。国を護る自衛隊にはやはり、強くあってほしい(昨年一昨年の覇者は海自の方だった)。きっと航空学生の彼らはまだ10代だろうから、これから大いにレースに参加し、鍛え、逞しくなってほしいと願う。

猛暑の夏は過ぎゆくも

今年は記録的な猛暑の夏。残暑も厳しいというように、例年なら山頂で受ける寒いくらいの風の涼しさが全くなく、秋の気配もまだ感じられなかった(10時の気温、28度)。ただ、山頂からの眺めは数年ぶりに見晴らしよく、四方360度のパノラマを楽しめた。こればかりは普段、得難い、最高に胸のすく瞬間である。大型台風の上陸(「二百十日」とはよく言ったものである)が翌日にずれてくれて、夏休みラストサンデーの恒例行事を無事、開催できたことも、きっと阿東町の方々、参加者の思いが通じたんだろう。

慣れてきたとはいえ、苦しさは相変わらずなのだけれど、町が鳥インフルエンザの災難を乗り越えたように、僕もこれからも県産卵を食べ続け、できる限り出場し続けたい。


▼スタート時気温(8:20)
嘉年小 24C(標高389m)
ロッジ前 24C(標高549m)
山頂 23.5C(標高989m)

大会結果ページ(あっとほ~むあとう)



 

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