第58回福岡国際マラソン選手権大会 2

2004/12/05 平和台陸上競技場発着

福岡で、ボストンメンバーの縁

福岡国際マラソンもいずれ、NYやボストンのように、世界中からランナーの集まるビッグレースになってゆけるかどうか。ボストンの、気のふれたかのような熱狂的応援を一度でも浴びる経験を持つと、百万都市福岡でさえ、まだその百分の一くらいにしか感じられないのも事実である。

ボストンを駆け抜ける荒木さん
ボストンを駆け抜ける荒木さん

ボストンといえば、今回、レース前に荒木さんから、お互いの健闘を誓うメールをいただけた。荒木さんは、4年前のボストン・マラソンツアーで同室になってくれた方である。「Aさんでなく、荒木でいいですよ」と、荒木さんも人づてに僕のボストン旅行記を知って読んでくれたらしい。僕のあの旅行記が長くなったように、荒木さんもボストンにどっぷりはまって抜け出せなくなったようで、3年前のときも「妻子を日本に残して自分だけ海外レースを楽しむのは肩身が狭い」と言っていたのに、今年で4年連続出場なのだという。今回、荒木さんとお会いできなかったのは残念だったが、2人目のお子さんが誕生したばかりだということや、上のお子さんが学校のマラソン大会で入賞したのに父親が今回の福岡を途中棄権しては悔しい、と、あの時と変わらず、気さくで楽しいエピソードを明るくきかせていただけた。送ってもらったビデオも、どうもありがとうございます。

もうひとつ、ボストンがらみ──。

24km地点で待っていた妻が言うには、僕が今まさに、走りやめようとするその場所で、僕の名前を呼ぶ黄色い声が飛んだそうな。同姓は他にもいようが、そのグループは、手話のジェスチャーを表す手袋、絵のようなモノを持っていたというから、間違いなく僕への応援であったようだ。そう言われても、すぐに思い当たるフシはない。男でなく、女性、に応援を受けるほどの縁は僕にはないはずだが・・・。福岡の女性? 学生時代のちょっぴりの友人は就職で地元やら東京やらに散っているはずだし、ろう者関係、手話関係でも、今回の出場を事前に伝えていたわけでないから全く思い当たらない。

妻が続けて言うには、最初は「**くーん!」だった、と。それで謎が解けた。*君は(妻も知っている)、福岡では知らない人のいないだろう若い俊足ランナーである。大会前の朝日新聞福岡圏版の記事でも紹介されていた。彼と親交があるわけではないのだが、*君を応援していたグループとなると、まさに新聞で取り上げられた、彼の所属する有名な「室見川ランニングクラブ」であり、*君ついでに僕をも応援してくれたのは、Eさんに違いない(それしかありえない)。

Eさんも当時のボストン・マラソンツアーで一緒になった方である。ご主人の応援とのことであった。当然、ツアーメンバーの方達とはそのとき限りの、一期一会の縁であり、Eさんとも時間にして5分話したかどうかである。ただ、5分ではあったが、ボストン旅行記でふれたように、非常に印象的な出来事ではあった。

僕はせっかくの手話サインも気付けなかった。無論、声援は僕の耳には届いていない。けれども、今、思うに、これも24km地点で棄権したからこその幸運である。そこに妻がいなかったら、僕も知らないままで終わっていた。42.195kmもの距離の沿道の中で、Eさんらが立っていた地点で、偶然、僕がそこで走りやめて、妻がそこに居た。偶然と呼ぶにはできすぎの、これも天の配剤と呼んでいいような出来事である。Eさんのお姿は分からなかったのですが、帰宅してからその話をきいて、非常に嬉しかったです。応援、どうもありがとうございました。

もう一つ、福岡国際と同じこの日、沖縄ではNAHAマラソンも開催されていたのだが、やはりボストンツアーのメンバー、Mさんが出場したらしく水曜には那覇からの絵ハガキが届いた。

こうして4年近く前の縁が残っている、直接、会わずにいても、縁が続いているというのが感慨深い。不思議で愉快な気持ちにさせてくれる。


福岡国際マラソン特集~MY TOWN 福岡・北九州

ボストン旅行記


僕なんかよりずっといい話

ビッグレースの門戸開放は最近の流れの中の試みで、今大会2週間前の東京国際女子マラソンも同様に出場資格が緩和されたものだった。これに「維新公園ランナーズ」のUさんが出場されていた。

西鉄グランドホテルのツリー
西鉄グランドホテルのツリー

Uさんは決してシリアスランナーというのでもないのだが、それでもハーフやフルをきっちりと走りきられる(妻も尊敬している、一番見習いたい人である)。女性でも本格的に練習されている人は多く、そういった女性は当然、大会の上位入賞の常連でもある。Uさんもがんばれば、入賞常連組に入れる力はあるのだが、見ている限り、そんな欲が全然、なさそうな人である。あと一歩で入賞を逃しても悔しそうでなく、「ぎりぎりで入賞できたらラッキー」と素直に喜んでいる。仕事の都合や個人的な事情もあるのだろう、練習している姿を1、2ヶ月見ないこともあるのに、それでもレースでは淡々と走られる。その無理をしない、自然体というのがとてもすがすがしい女性である。

東京国際もタイムや順位はともかく、完走できたことをまず喜んでおられたようだったが、付け加えて、こう語ってくれた。──でも、それ以上に嬉しかったのは、今回、大学の同期と久しぶりに会えたこと──。部の同期21人の半数が関東近辺に居て、今回、そのうち7人が集まってくれたのだという。

何とも心温まるいい話ではないか。僕は胸を打たれた。学校を卒業して20年、かつての仲間が東京国際女子マラソンに初出場するのを機に、集まってくれただなんて。Uさんも陸上の経験があるわけでなく、学生時代は、僕(野球部)以上に畑違いの、弓道部だったということである。僕も、最初きいたときは、驚き(の笑み)を禁じ得なかった。同期の方も、袴姿からランニングウェアに颯爽と変身したUさんの姿を見て、さぞや驚かれたにちがいない。

「維新公園ランナーズ」の縁で、大会や練習でよく顔を合わせていたUさんとは、時々、メールするようになって親しくなれたのだが、実は、Uさんが僕の大学の先輩になることもその後に分かった。在学した時期も違い、学部も正反対の、また、キャンパスの場所も少し違うから、接点というものはほとんど、ない。その分、余計に、仕事関係以外で同窓の方を知ることになったのも面白いことである。ちなみに僕は学生寮だったから、在学中、他の学部にも広く知り合いができたが、それでも、唯一、縁のなかったのがUさんの学部である。

Uさんと違って、僕は今回、こっそり(・・・というには度々)福岡を訪れ、そそくさと帰ったのだが、このホームページを読んでくれていると思う、学生時代の僕の友人は、もちろん知ってのように、寮の敷地の一角に、なぜだか弓道場があったものだ。あの学生寮、グランドをまた無性に訪れたくなった。

在学中はやはり、沿道や平和台競技場で観戦していたというUさんからレース前、完走記を楽しみにしていると応援のメールをいただけたのだが、僕なんかより、Uさんの話の方がずっといいので、最後に付させていただいた次第である。



 

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