第13回つわのSL健康マラソン

夢に津和野を思ほえば

山口から車で50分、山あいの地にひっそりとたたずむ津和野は何度訪れても素敵な町。画家安野光雅さんを輩出した町、その情感豊かな画風を生ませた故郷といえば、それだけでもう充分過ぎるほどの説明。

夢に津和野を思ほえば

見よ城跡へ煙る山

うさぎ鮒鯉稲すぐり

遠雷それて風たちぬ

安野さんの作。「色は匂へど・・・」同様、かな48字を重複せずに全て用い、つくり上げられた歌。

殿町の水路を泳ぐ鯉
殿町の水路を泳ぐ鯉

殿町の通りを駅の方に向かったところにある「おりべ」という小さな店には、雑貨と並んで安野さんの本(画集、エッセイ、数学書その他多才さを示すごとく)の平積みされているコーナーがある。安野光雅美術館が建てられるずっと前から不思議に思っていたのだけれど、今回きいてみたら、安野さんが小さな頃、この付近でよく遊んでおられていた縁ゆえだとのこと。置かれている本は全て安野さんの自筆サイン入り。僕も『読書画緑』を購入。

今年は加えて、先月から読み始めた山崎正和著「鴎外 闘う家長」(鴎外の「鴎」の字は当て字)に引き込まれていた。鴎外の家父長的性格を決定付けた、国家を背負うと同様に、あるいはそれ以上に家族との関係の中で自我の葛藤に苦しんだ、そのことが文学活動を決定付けたという、鴎外の出身地であるこの津和野という町に一段と興味を引かれていた。結局、予定していた鴎外記念館と西周旧宅へは訪れることができなかったけれども、まあこれは、また何度でも来れることであるし、次回の楽しみにとっておくことにしよう。

期待しないときは好タイム

昨年出たハーフで自己ベスト(当時)を出したのに続け、今年は10kmの部で(ロード)自己ベストの達成となった。狙ったレースでもない、コンディションを整えたわけでもない、身体はかなり重かったのだけれど、なぜだか、こういうときは好タイムだ。シーズンを終えた安堵感でリラックスできているせいもあるし、フラットで走りやすいコースと風雨の無い絶好の気象条件(こんな時に限って・・・)というのもあったろう。1位選手は10kmの部の大会記録を大幅に更新。人口6千人足らずの田舎町で開催される、わずか92人がエントリーしている部門にしては、かなりハイレベルなレースとなった。

久しぶりの紺ウェアにて、ゴール後
久しぶりの紺ウェアにて、ゴール後

去年、ベストが出たときも思ったのだけれど、この大会は公認走路でないから、もしかすると計測が短いのかもしれない。少なくとも1kmごとに立てられている<○km表示板>は、「全然正確なものでないのだなぁ」ということを今回、走りながら発見してしまった。つまり、それは、「それぞれ、○kmの最も近くにあって表示板をくくりつけるのに手頃な電信柱か樹木か道路標識」をもってキロ表示板の立つ位置が決まってしまう。「この杭までは本当は960mなんだけれど、これを逃すと次は1070mになってしまうから、とりあえずこっち」という具合に。

でもまあ、こういうアバウトさこそ市民レースの理想の姿だ。目の前に広がるのどかな田園風景の前ではタイムも距離も、まあどうでもいいやと思えないでもない。春のレースというのは大体、そんな気持ちにさせてくれる。それに距離が短くてタイムがよければ、誰だって嬉しいのだから。

アパートから見えるSL貴婦人号
アパートから見えるSL貴婦人号

記録:32分47秒(16:14─16:33) 5位/74人

2003/03/23 津和野町役場前発着


 

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