第21回いぶすき菜の花マラソン

2002/01/13 鹿児島県指宿市陸上競技場発着

妻の初マラソンと鹿児島の地

大会前日
大会前日

妻の初マラソンを兼ねての指宿行き旅行を楽しんだレース。

フルマラソンを一緒に走るなら、当初、僕が過去3度出場したこともある3月第一週の篠山ABCマラソンを考えた。篠山も大勢の参加で楽しいレースだが、篠山の制限時間と関門は妻には厳しかろう。ともに申込み締切が11月末であったが、結局、僕自身もこの有名な大会にずっと興味があったという理由で指宿の方に決めた。

参加申込期限ぎりぎりにでの申込みであったけれど、大会事務局には、全国から喜んで受け入れようとする対応の良さを強く感じさせられた。

話はさかのぼるが、平成8年に大分で開催されたろうあ者体育大会に初めて出場した僕は、そこで鹿児島の陸上部メンバーに出会った。薩長のよしみのせいという訳でもなかろうけれど、他県の出場選手らの中でもなぜだか鹿児島のメンバーらと一番、親しくなれた。Jさん、Fさんらに親切にしていただいた。夕食をともにしたとき、この菜の花マラソンのことも話題になった。彼らはよく出場していて、まだその頃フルマラソンの経験のなかった僕もいつか出てみたい、と盛り上がったことを覚えている。その後も、このろうあ者体育大会でJさんとお会いしていた。一年に一度、この大会だけで会う間柄というのもいい。

そのJさんに今回、レース後、偶然にお会いした。「彼らは出ているかな」と思ってやって来てはいたものの、事前に連絡していたわけではないし、そもそも1万人以上の参加者という状況で会えることなど到底考られなかったから、ばったりと出会えた偶然に驚いた。嬉しかった。これも強い縁なのだろう。

民宿サクラ荘

申込みが遅かったから宿の手配にも苦労した。なんとか確保できたのは、スタート・ゴール地点の競技場に近い、「民宿サクラ荘」。競技場まで歩いてゆける距離であるけれど、知名度は低い。指宿駅から向かおうとすると、タクシーの運転手さえ「まだ、やってるのかね」といぶかしがられた。それも不思議ではない程に、周囲に何もない、藪を背後にした土地に立つ相当に古い民宿だった。

しかも僕達は、2人で3畳の部屋である。「3畳の部屋に2人!」。言葉を失ったが、宿の主人は「これまでもそういうケースはあった」と自信を持って言う。僕らも他に選択肢を持たないから、あとは怖いもの見たさのつもりで当日を迎えた。

このサクラ荘、菜の花マラソンの時は大いなる稼ぎ時なのでもあろう。福岡の銀行のランニングクラブなどは、毎年、利用しているようだったし、他にも若い男女のグループが大勢、車でやって来ていた。

3畳の部屋も、民宿というより下宿部屋といった方がふさわしい。こたつが妙になじむ部屋だった。半纏を着る暮らしという感じだ。こたつとTVで一杯になる、そのアットホームな感じが意外に落ち着けて悪くなかった。

妻は、入浴時、夫婦で参加しているという女性と面白い話もできたのだという。指宿駅の案内所で、これも偶然に同じこのサクラ荘に宿泊することが分かったから、タクシーに一緒に乗った熊本の方は、手話が少しできた。結構、不思議な魅力でひきつける宿なのかもしれない。

雨の菜の花を完走

到着した土曜は、電車の中でTシャツ姿になったくらいのあたたかさだった。青空に菜の花の輝く、まさにさわやかな南国の光景だったのだが、一転、レース当日は天気予報通りに午後から雨となった。30km過ぎ位だろうか、空模様が暗くなった後は、断続的に降り続いた。前日にウエストポーチを買い、また、スタート直前にも急遽、コンビニに駆けてカッパ代わりのゴミ袋を買ったのが正解だった。ゴミ袋でも身体の冷えを守ることができて随分と違った。今回はぎりぎりの結果オーライであったが、長時間走行となる妻との並走の際は、ウエストポーチやカッパその他、準備にも細心の注意を払うべきだと反省させられた。

今回のレースは妻の頑張りに尽きる。冷たい雨があったにもかかわらずよく走った。そもそも、完走するとは思っていなかった。途中、いつ、棄権してもいいし、関門に引っかかってもいい。今回はまず自分がどこまで走れるのかを見極める経験になればいいくらいと思っていたのに。

妻にとっては、昨年2月のけやきロードレースがデビューとなってから、わずか11ヶ月目でのフルマラソン出場である。レース出場経験自体、まだ5度目(うち4度のレースが県外なのも面白い)。10kmが最高で、ハーフさえもまだ走ったことのない人間にとって、無謀な挑戦とさえいえた。

まあでも、マラソンデビューの遅かった(陸連登録も遅かった)、初マラソンに挑戦するまで通算約40回のレースと6年の歳月を要した僕自身のことを振り返ってみて、早くに挑戦した方が自分なりの目標を見つけることができるし、損はないものだ。こういうのは、もったいぶらずに軽い気持ちで出る位がいい。

初マラソンであり、後半、雨に濡れたこともあって、景色を眺める余裕はなかったろう。それでも、妻にとっては完走できたことが何より嬉しかったろうし、大きな自信となったろう。努めて前半のペースを抑えるように諭したことが奏効し、後半は落ちてくる前の選手を数百人抜き去って行くことができた。

指宿は砂風呂で有名な地だが、町自体は小さく、ひっそりとしている。それだけに、この、一年一度の祭りの盛り上がりがすごい。

このマラソンの直後に、サッカー日本代表チームがキャンプを張った場所でもあり、そしてフランスチームをも受け入れることになっている地である。



 

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