第12回旭グリーンアドベンチャーマラソン

2001/11/03 鉄人コース(37km)
スタート:旭村明木小学校~萩往還-升谷~男岳~東鳳翩山~萩往還~
ゴール:旭村佐々並小学校

まさに鉄人コース~野を越え山を越え~

鉄人という名称も、「並の走力では完踏できません」と案内書にあるのも決して脅しではない。本当に過酷なコース。萩往還のDコース(35km)と重なる部分もあるのだが、こちらはいわゆるアスファルトの一般道を走るのがごく一部分で、あとは山道の険しさばかりがずっと続く。おまけに山の中では途中、何度もコースが分からなくなる。

足を滑らせて谷に落ちてしまいそうな箇所も多い。本気で走ろうとすると、冗談ではなく、身の危険が隣り合わせになるレースだ。実際、沢の流れを超えてゆく箇所では、ぬかるんだ路面に足を取られてくじいてしまう。「こんなところでケガをしてどうする」「練習できなくなったらどうする…」と12月の防府読売を照準にしている自分は何度も思った。避けた方が賢明だったか、とレース中に悔やんだ。来年もう一度出場するかと問われると、全く自信はない。

でも、レースとしてでなく、楽しんで走ることを目的にするなら面白い大会だ。コース設定が素晴らしい。走っていて景色の美しいレースは幾多もあるけれど、このレースは何より、野を越え山を越え、森を抜けてゆくのが醍醐味。まさにアドベンチャー・スピリッツを堪能できる。萩往還もそうだけれど、こうした大会はタイムにこだわらずに登山とピクニックの楽しみを味わって進むのがいい。

東鳳翩山~抜群の眺望~

ピクニックを楽しむ分には格好の日曜日だった。暑くもなく、寒くもない、晴天の空気が実に心地よい秋の日だった。

東鳳翩山(ほうべんさん)は、旭村と山口市の境界をなす分水嶺。登山道も整備され、ハイキングや軽登山にはうってつけの山で、市民をはじめとして広く親しまれている。元の名は方便(仏教用語で「悟りを開かせるための方法」)。「鳳翩」は当て字で、山口市から見える様子がまさに瑞鳥(鳳)が空にひるがえる(翩)ようにして市街を包むからなのだという。僕の住むアパートからもその雄々しさが見える、山口市のシンボルとも言うべき山だ。山口市近郊の児童生徒なら学校行事その他で、一度ならず登っているはず。

ふもとから仰ぎ見る姿も美しいが、標高724mの山頂も360度のパノラマが味わえる素晴らしい眺望。空に向かって叫びたくなるような、突き抜けた爽快感を味わえる。何度でも登りたくなる山だ。学生時代以降、何度か遊んだ久住山に似た感じもある。レース当日も多くの登山者が楽しんでいた(そして、まさかこの山を走るなんて信じられないというような、驚きの顔を見せていた)。

東鳳翩山登山
東鳳翩山登山

数年前、手話サークルの仲間達3人とハイキングを楽しんだこともある山だ。昨年のレースもそうだったけれど、鳳翩山を下山する時、あの時のことが懐かしく思い出される。東京に行ってしまった2人は元気だろうか?

今では登山の機会もなくなった。8月の十種ヶ峰登山マラソンと、この旭GAMと、年2回の登山が、いずれもマラソンで駆け上がっているものだなんて。

レースの方は、今年は昨年に続けて2回目の出場であったから、山中のコース、山の登攀のきつさも身体が覚えていて、その意味では楽だった。そして、9月の交通事故で少しブランクはあったものの、10月からは順調に走りこめた成果もうまく出た。

スタート後しばらくは数十人の後につけ、じわじわと追い上げる、結果的には理想的なレース運びとなった。特に残り10km、東鳳翩山を登りきった後の下山途中、この大会で何度も優勝している宮崎君の背中が見えたのには驚いた。「彼の身に何かアクシデントでもあったのか? (彼に追いついたということは)自分は一体何位なのだろう?」と思った。興奮して、ここで前のめりに転倒(一回転)してしまったほどだ。

1位と知らずにゴール

前半を抑えて入ったことが奏効し、終始マイペースを維持できたことが良かったのだろう。マラソンもそうだが、山を2つ越えるこのレースをつぶれずに走り通せたときの満足感は言いようもなく大きい(きつさだけならマラソン以上だ)。ゴールが近付いてくると、喜びがあふれる。爆発しそうになる。笑みがこぼれてくる。走ることの幸せを感じる瞬間だ。

ほとんどの市民マラソン(ロードレース)は、スタートとゴールが同じ場所に設定されている。だから、今回のように、スタートとゴールポイントの違うレースにたまに出ると、ゴールに近付いたときの気持ちがとても新鮮に感じられる。目指すべきところにたどり着いた、という感じ。これがマラソンという競技の本来の姿でもあろう。

そのゴールである、佐々並中学校グランドに近付いた時の嬉しさといったらたまらない。山を抜けて、無事、人里に降りてきた。厳しい登山を終えた下山の喜びもこんな感じだろうか。

実は、ゴールするときなお、自分の順位を知らずにいた。1位と知らずにゴール・テープを切った。順位札を渡されて、初めて1位ということを知った。

スタート時は出場選手の中位にいたし、山道ゆえ、前後の選手の位置はすぐに視界から消えてわからなくなる。ちょっとずつ前を追い抜き、順位を上げていったのたが、まさか1位とは。

ご主人の応援にやって来たという職場のKさんが、後日メールで教えてくれた。

──ゴールのグランドで待っていて、「鉄人コース、一位の選手が帰ってきました」のアナウンスが流れた時、場内がざわめいたんですよ。それから金子さんが入ってきたとき拍手がすごかったんです。私もなんだかとてもうれしかったです──

もちろん、僕はアナウンスのあることも知らなければ、拍手もきこえない。応援者の僕を見る目が1位としてのそれだったなんて。何と間抜けな、優勝者!

情けないというか、ものすごくもったいない。自分が1位と知っていたなら、そして、1位という事実もこの先あるかどうか分からないことなら、もう少し派手なガッツポーズをしてゴールに飛び込むのだった。

「鉄人コース(37km)」の部で優勝という、信じ難い成績。快挙というべきか、珍事というべきか。

盛りだくさんの賞品

これまで、職場の駅伝等の小さな大会で1位になったことはあるけれど、一般のレースでは初めて。本当に嬉しい。練習の成果と幸運と、それから、妻と一緒に暮らし始めて、彼女が栄養バランスを考えて必死に食事を作ってくれることも大きいだろう。

それにふさわしい賞品になったかどうか、上位入賞者への賞品が地元産の米というのがまた嬉しい。1位としてもらったのは佐々並産コシヒカリ他、計20kg也。とても現実的な賞品だ。

応援者も含めて、猪汁が無料でふるまわれる。参加者にはむすびと外れなしの抽選もある(これまた旭村産のゴマ)。

副賞として、萩往還マラニック・70kmの部の無料招待券(9000円相当)までついてくる。かなり、プレゼントの多い大会だ。大相撲の優勝力士にでもなったような気分にさせてくれる。

山道で転倒した(一回転した)のは今、考えても恐ろしいことだが、予想しなかった、考えもしなかった1位という幸運までもが転がり込んできた大会であった。

無論、身体へのダメージも相当のもので、この翌日、宮島へ紅葉狩りに出かけたのだが、とてもではないが観光どころではない、全身の筋肉痛でまともに歩けなかった。


大会結果ページ



 

  Related Entries


Message

メールアドレスが公開されることはありません。