スパイダーマン 2

前評判どおりの大傑作

スパイダーマン 2

映画でもTVでも、ヒット作品に続編はつきものだが、1作目をしのげるケースはそう多くないと思う。けれども、この『スパイダーマン2』は別。1作目の20倍は面白い。ユーモアもアクションも、恋もヒューマンも、惜しむことなくふんだんに散りばめられている。得られる満足感は、星5つの映画を10本観るのにも匹敵する。

1作目は、まだストーリーや人物設定に少し違和感が残った。不自然さが感じられた。特に悪役のつくられ方に子どもっぽさ、荒唐無稽さが感じられた。所詮、漫画の延長、という感じがあった。

ところが、今回のは、スパイダーマン(蜘蛛男)に対するドクター・オクトパス(タコ男)が、すんなりと受け止められるところも洗練されてきている。 映画全体が、変身物語にして非常にリアルである。この手の変身物語は、人前でマスクをはがされてしまえば終わり、であるが、今回のスパイダーマンは、実にあっさりと素性をさらしてしまう。それが、なまじの映画以上に人間性を感じさせる内容に仕上がっている理由でもあろう。『シービスケット』を経て、トビー・マグワイアの演技に深みが出てきた点も挙げられようか。漫画の延長の、お伽話のはずが、キュンと胸を打つシーンもあって、それが本当に自然に泣かせる。ホロリとくる。そして、もちろん、最高に笑える、例の新聞社のデスクも健在である。

猛暑の夏の最高の清涼剤

前作のラストが「あれ、これからどうなるの?」というような終わり方だった。 2年という時の経つのは早い。配給元ソニーのPRがうまいこともあって、期待感は高まっていた。特に今回は、夏休み映画のもう1本の柱、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』が──前2作は良かったのに──期待はずれに終わってしまっていただけに。

スパイダーマンも既に第3作目の公開が決定しているという。1作目から、その方針だったのか。今回も1作目とのからみが強く、最初から最後まで1作目を踏まえた上に成り立っている。観ながら前作を思い出させる仕組みにもなっているのだが、こんなとき、我が記憶力のはかなさが情けなくなる。本作を愉しもうと思ったら、1作目をDVDで観るなどして、しっかり復習(予習)してから行くべきである。

今回のは、はっきりと、さらに続きのあることが見て取れるようになっていて、次作への楽しみが早くも増す。そのためにもやはり、前作も今回も、もう一度、きちんと観ておかなければ、と思わせる。そのあたりも、さすがはソニー、というべきか。

スパイダーマンが空を飛ぶ、空を翔るシーンを観ているときの爽快感は最高である。記録的な猛暑の今年にあって、上映中は何度も全身を涼風が通り抜けてゆく。思い切りさわやかな気持ちにさせてくれる。

本作を観て何より強く思ったのは、僕もニューヨーク市民になりたい! ということである。スパイダーマンはニューヨーク市民に愛されているヒーローということが映画の中でもよく描かれている。僕もニューヨーク市民として彼の活躍をこの目で見たい。空を翔ける彼の姿を見上げたい。そして、スパイダーマンの動静を報じる、あのデイリー・ビューグル紙を手にしてみたい。


満足度:★★★★
2004年アメリカ
2004/07/25 ワーナー・マイカルシネマズ防府にて鑑賞


 

  Related Entries


Message

メールアドレスが公開されることはありません。