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剣術、武術、忍術?

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ヒロインのチャン・ツィイーは舞踊学院出身らしいし、金城武やアンディー・ ラウも当然に相当の訓練をしたことだろう。3人の剣さばき、立ち居振る舞いは映画の中にとどめおくのが惜しいくらいに見事だった。

特に小妹(チャン)の舞踊は息を呑む美しさ。優雅で華麗な中国伝統衣装で、絢爛豪華な唐王朝文化を伝えてくれる。ちょうど今日までのアテネオリンピック、スポーツとして美を競うのはシンクロナイズド・スイミングや体操、新体操もあるのだけれど、比べる基準が違うとはいえ、舞踊文化の持つ美しさ、艶やかさ、加えてアクロバットな動きは圧巻であった。

「武士道」が見直されている今、東洋の剣術、武術の力強さ、美しさは欧米人が喜びそうな内容ではある。ただ、中国ならではというべきか、竹林での決闘シーンはサービス過剰なんじゃないかと思える。竹をするするとよじ登って、さらには竹から竹へ舞い飛んでゆく、空中闊歩するなんて、日本の忍者でも無理な話だ。投げた刀(飛刀)が、ミサイルのごとく、定めた狙いを寸分違わずに仕留める、その漫画のような弾道(刀道)も見せられ過ぎると、段々、しらけてくる。

判断の分かれそうな映画

・・・と、冒頭は感じよかったのに、その後は現実離れしたでたらめさに加え、ストーリーまでもが複雑になってゆく。『インファナル・アフェア』もそうだったけれど、アンディー・ラウがらみだからかどうか、またスパイ合戦の趣になってくる。直訳すれば「恋人達」のタイトルが示すとおり、今回のテーマ「愛」を描くために、3人が欺き欺かれる必要があったとは分かるけれど、もう少し、シンプルなストーリーの方が僕は好きである。映画の中の罠、謀略、と、映画がそれ自体、観客を欺くことの面白さもあろうけれど、今回のは最もメインになるはずの(と思っていた)事実が嘘だと分かったとき、騙されたというより、「何だよ、それじゃ面白くないじゃないか」って、失望した。非常にがっかりさせられた。

そういう意味では、「あそこはよかった」「あれはないんじゃない」等々、観終えた後、色んな意味で、批評し合える、話題には困らない映画ではあると思う。

これまで中国映画に興味はなかったし、今回、観たのが初めてのはずだけれど、ストーリーはともかく、映像は美しい。チャンの舞踊をはじめとした演技も良かった。封切り2日目の日曜日ということもあってか、館内は満員。そこまでの価値はないと思えたけれど、唐の時代という、国際色を帯びた中国の歴史と文化をうまく取り入れて美しく仕上がっているのは良かった。これだけで充分だったのに。

チャンは古手川祐子に似ているなとずっと思っていたし、最後、金城武の髪がほつれて疲れた表情は、岩城滉一に似ていると思えたのだが、どうだろう。


満足度:★★★
2004年中国
2004/08/29 ワーナー・マイカルシネマズ防府にて鑑賞


 

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