宮廷女官チャングムの誓い

韓流ドラマ真打ちにハマる

宮廷女官チャングムの誓い

NHKで放映されている「宮廷女官チャングムの誓い」が殊の外、面白い。NHK-BS2で放映されていた分は先日、終了したばかりだが、人気が高かったのだろう、「冬のソナタ」同様、今は地上波に降りてきて、10月から土曜夜の総合放送枠で放映されている。このページは一応、映画館のつもりだが、映画以上に面白いTVドラマなので、ちょっと触れてみる。

韓流ブームの勢いとどまるを知らず、というところだが、僕も今回、はからずもハマってしまったようである。世の女性に同じく、妻の方は早くから夢中になり、韓流ドラマに滅法、詳しい(DVDレコーダーの録画やダビング等の操作方法について、教える立場がいつの間にかすっかり逆転してしまっている。気が付けば、韓流を主にDVDディスクのコレクションがTVボードの棚に収まりきらずにずらりと並んでいる)。

最初は僕も「冬ソナ」を見るべく妻に促されていた。就寝前、少しずつ見ようとした。ただ、何分、僕は寝付きがいい。ものの3分でまぶたが落ちてくる。半年経ってもなかなか先に進まず、「冬ソナ」はまだ僕の中では未完結のままである(ちなみに5月、所用で神戸を訪れた際に、ついでに映画館で観たイ・ビョンホン主演の「バンジージャンプする」は最初から最後まで館内で寝てしまった。熟睡した)。

前半しか知らないものの、「冬ソナ」は決して悪くないと思う。レンタルで見た「ラブストーリー」も相当に甘ったるいストーリーであったけれど、それはその路線で良かった(ホームページにも載せたいができずにいる)。韓流の良さは僕も素直に認める。先週末、久しぶりに劇場で映画でも観ようかと思ったときの候補も「四月の雪」と「私の中の頭の消しゴム」の韓流2作である。いずれも「ラブストーリー」のソン・イェジンが主演とあって興味はあった。また、山口では別に「マラソン」も特別に上映されていた。

この3本の中から何にしようかと迷ったが、結局、映画館でなく家で見たのがこの「チャングムの誓い」である。NHK総合で始まったのをちらりと見たとき、それまでの韓流ドラマと違って「時代劇的風なのがなかなかよくできてるね」と言ったのを、妻が、僕が興味を持ったと都合良く勘違いして、同士にひきずりこむべく、わざわざレンタル店で借りて見せようとしたのである。

大河ドラマより十数倍の面白さ

実は、このとき僕は最初、遠慮した。僕にも見たくて録りためている映画は多い。DVDレコーダーを購入して3年、録画の簡単さゆえに、いつか見ようと思いながら、名作映画もどんどんたまってしまうばかりである。「チャングムごときを見ている暇はない!」という気が強かった。それに僕は、どちらかといえば、TVよりかは本を読むのを好む方でもある。──が、せっかくレンタルした妻の顔を立てて、ちょっとだけ見てやることにした。・・・ら、とりこになってしまった。わずか5分で引きずり込まれる。今度は「冬ソナ」の頃が信じられないくらいに、レンタルのDVDディスクに収められている3話分を立て続けに見てしまった。

時代がかっているのは、すなわち、大河ドラマ風で、舞台は中世、朝鮮王朝時代。物語を理解するには、この歴史的背景にも関心を寄せることが不可欠で、当時の王政、宮廷制度、庶民の暮らし、身分・・・といった点まで、非常に興味を持たせる内容になっている。宮廷が舞台となることもあって、鮮やかな色遣いのシーンが多いのも賑やかで華やかな気分にさせてくれる。日本の大河ドラマよりはるかに面白い。「武蔵」も「新選組」もつまらなくて続かなかった僕が、このチャングムは次が楽しみでたまらない。毎回毎話にヤマ場があり、ドキドキ、ハラハラさせてくれる。大河ドラマ以上に日本人好み(というか、きっとアジア人好み)の要素をふんだんに盛り込んでいる。

韓国は最も近い国でいて、あまり知らないままでいるが、このドラマを見ていると、自然にその歴史や文化に思いをはせるようになる。韓国だけでなく、このドラマを見ていると、今の北朝鮮に通じる点の多いことにもすぐ気付く。王の権力が絶対で、ヒエラルキー制度が強固なこと、全てが「王の女」として貞淑を持つ女官達は喜び組のような存在である。決して面白がっているのではなく、歴史的にそういう時期は多かれ少なかれ、どこの国、地域でもあることであるが、やがて朝鮮半島の分裂とともに、北朝鮮にだけ今も残っている旧制を考えざるを得ないのである。とにかく、楽しみながら、非常に歴史や文化の勉強になり、日本との近似点を思う。

日本語字幕について

・・・と、ここまでで随分、長くなってしまった。それだけ、絶対に面白い、ということである。このままではただのつぶやきなので、ちょっと日本語字幕について述べてみたい。

このドラマは基本的には吹き替えで放映されている。一応、二カ国語放送、字幕放送対応番組となっているので、TVチューナーが対応していれば、それらを選択することもできる。僕は聴覚障害者用の福祉機器である「デコーダー」(文字放送用チューナー)を通して、字幕を表示させて見ている。映画館でもビデオでも、人気作品は吹き替え版か字幕版を選択できるようになっているが、聴者は一般的にどちらを好むのだろう?

内容にもよると思うが、この番組に限れば、聴者も吹き替えでなく(あるいはそれに加えて)字幕が表示された方が分かりやすいだろう。時代的、文化的要素を多くはらむ物語だけに、身分、職制等の特殊な用語が多い。それらは耳できいただけではまず理解できないものである。カナで表記されても、それだけではまだ分かりにくい。けれども、漢字、漢語で表現されると、おおよその推測がつく。「スラッカン」では分からないが、「水刺間」と併記されれば、王の食事を作る台所なのだ、という意味もなるほどと思えるし、「チェゴサングン」も「最高尚宮」の方がなじみやすい。まさに、この点が漢字文化の素晴らしい点で、これは中国、朝鮮、日本の漢語圏域であれば、国を異にしても通じ合える素晴らしい財産である。・・・ということにも、ドラマを見ていて改めて気付かされる。

字幕にも違い

それから、もう一点。デコーダーを通して表示される字幕と、DVDディスクに用意されている日本語字幕について。

これも同じようでいて、ちょっと違う。これまでも度々、述べているが、一般の洋画、DVDディスク等の字幕は聴者も必要とする字幕である。一方、文字放送デコーダーは基本的に聴覚障害者向けのもので、洋画字幕にさらに聴覚障害者の必要とする情報が加わる。例えば、音楽の流れているとき「♪~」とされたり、「(チャングムの泣き声)」といった具合に。

今回、第1~3話をレンタルDVDで、第4話以降をTVの字幕で見て、これらにもまた考えさせられた。「チルソクの夏」でも提起したが、例えば、音楽の流れるシーンでは、どんな音楽なのかを説明するのがいいかどうか、あるいは「♪~」で済ませるのがいいか、それとも、何もない方がいいのか? 今回の僕は、「♪~」もなくていいんじゃないか、と実際に思えた。普段、そういう状態で生活しているわけだし、また、一般の洋画、映画を観るとき、「♪~」の表記はないから、意識しないで済む。ところが、デコーダーで「♪~」と突然、表示されると、やっぱり、「何なんだろう?」と変に気になってしまう。きこえない人間には、音楽のシーンは、それは「静寂」の瞬間としてとらえているのだ、と考えて、独特の「間(ま)」であってもいいのではないかと思えた。決して、説明がないからさみしいわけではなく、きこえないなりの「間(ま)」を受け止めているのである。もちろん、これも前回、述べたように、考えは分かれると思うけれど。

他にも、DVDの字幕とTV字幕の両者には一長一短ある。第一に、TV字幕の方が文字が大きくて見やすい(これは聴覚障害者、高齢者向けの機器だから、という点が大きいだろう)。ただ、デコーダーからの字幕は映像とは別に飛ばされる信号で、画面にかぶせる形となるので、文字の下敷きになる画面情報は失われる。

それから、漢字の読みを助けるルビ。TV字幕の方はルビ付きで表示されることが、やや、少ないだろうか。特に、「スラッカン」や「チェゴサングン」といった特殊な用語がそのまま、半角カナ表記で出てくるか、最初の1回だけルビ付きで、次からは漢字のままで出てくる。DVDでは、その都度、漢字にルビがついて表記される。この点ではDVDの方が分かりやすい。

ホームページでもルビを表記させるテクニックがあって(=IEでは)、例えば、最高尚宮 チェゴサングン と、こんな具合に、漢字とルビが両方出ると、非常に理解しやすい。TV字幕の場合、元々の文字が大きいから、ルビを振って行間が拡がると映像がますます隠れてしまうから、常にはそうしていないせいもあるのだろうか(特に僕の部屋の、未だに14インチの小型テレビだと、画面がなくなってしまう恐れも・・・)。

聴者の場合、DVDなら、耳でハングルを聞きながら、字幕で意味を追えるので、より雰囲気に浸れて好都合だろう。これら総合的には、DVDディスクの字幕に軍配が上がるかな、という気がする。商品として売られているものと、福祉目的を第一にするものとでは、そのまま比べられない点もあるけれど。

TV字幕の方で工夫されているのは、話し手によって、文字の色を変えていること。2人の会話について、聴者なら声質で判別できることも、聴者は難しい(一般の洋画でも特に電話などでは、まるで分からなくなってしまう)。その点、TV字幕はよく考えられていて、同じ画面で双方のやりとりを頻繁に出すとき、色が別になっていると意識しないまま、聴覚障害者も判別できる。よく見ていると、チャングムが黄色、ハン尚宮が緑、その他に白、青・・・と数色を多用していることも分かる。こうして、その気になると、DVDで、TV番組で、字幕制作者の裏側の努力、尽力が見て取れる。

レンタルして、あるいは購入してDVDを見るのは簡単だけれど、それでは「やめられない、とまらない」状態になってしまうだろうことも目に見えている。今、5話見ただけでも、一度では物足りない。何度か繰り返し見たいと思うし、最初からもう一度、見返してみたいと思う。ここはじっくり、毎週の放映を楽しみにTVの方を録画して見ようと思っている。54話あるというから、あと丸一年、楽しめるわけだ。毎週末にとっておきの楽しみがあれば、一週間、がんばれるのもいい。


満足度:★★★★★
2003~2004年韓国作品
2005/10~ NHK総合にて鑑賞中


 

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