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AIKI
評判どおりの良作
前回、触れた障害者週間中のNHK-BS2 特集による放映。期待どおりに、あるいは期待以上に良かった。DVDのレンタルや録画でもない、CMもないNHKだからトイレにも立てずに2時間、久しぶりに家にいて集中して見ることができた。
ボクシングに打ち込んでいた青年が、バイクの運転中にはねられ、健常者から一転、車椅子生活の障害者になる。
・・・と、よくあるお涙頂戴モノでも「障害に負けずに頑張っています」的美談仕立てでもないところがいい。
障害を負うこととなって一転する人生のリアルな実態や、見えにくい本音をすくい上げている。ロマンチシズムに流れることなく、風刺や皮肉もピリリと効いている。
車椅子の生活になって、彼女はどうするか? これまでどおり、つきあえるか? 友人の女になって、妊娠してしまったことまで告げられるの? ひどいなあ。
もう一生、歩けないと宣告され、失意に沈む太一に
「ようこそ、脊損の世界へ」
とのっけの挨拶をかますのが、入院先で同障の先輩風をふかす常滑(火野正平)。
「障害者になると世界は狭くなるよぉ。友達なんてみんな離れていくし」
と、優しさとは対極の、でも、それが真実の世界。
すれてるんじゃなくて、世の中の不条理と冷淡な現実にぶつかり、いやでも身についてゆくしたたかな強さ。
ただ生きてるだけじゃ、ダメなんだ!
失意に沈む太一(加藤晴彦)が自棄っぱちになるのも、荒んだ生活を送るのも、バーで男女にからんでも、力みが空回りするところなど、「そうだよなあ」と僕も大きく共感。「相手にされない」悔しさ、惨めさ。
障害者といってみんなが考えるほど、健気で純な心の持ち主ばかりじゃない。社会が望む、品行方正過ぎる障害者の姿は逆に嘘っぽくて信じられない。
もう一度、ボクシングジムに戻ろうと嘆願しても、柔道や空手やその他の武道塾を訪ねても全て断られる。「車椅子バスケットとか他にあるんじゃない?」といわれても、「みんなとやる競技が好きなわけじゃない」と、元々、各闘技が好きな太一のようなケースもある、そういう本音も大切だよね。実際には障害ゆえにできる選択肢は極めて少ないのだけれど。
この映画中には何度も
「お前ら、税金で食わしてもらってるくせに・・・」
というセリフが出てくるのだけれど、それを言うなら常滑(火野正平)が病院職員に投げ返す
「誰のおかげでメシが食えるんだ」
というのも事実だ。けれども、やっぱり世の中は健常者に合わせてつくられているので、マイノリティの立場からの意見や価値観は認められにくい。障害者が何か意見や主張をしても、わがままだと一蹴される。世間的には正しくないものとして、はねられる。多数に合わせられている世界の狭さや生きにくさはいかんともしがたい。
前半のリアルな描写に対し、後半がマンガチックになってしまう(それはそれで面白い)のが、やや残念。その分、今度は映画の本筋ではないのだけれど、サマ子(ともさかりえ)からもらったフェイクなる犬の可愛らしさがとてもいい。これも、太一の心に平穏が取り戻せたことを象徴させている仕掛けだったのか。
火野正平が最高
同障の先輩が火野正平、仲良くなるテキ屋が桑名正博、の両名がすごくいい。彼らにも助けられながら太一が次第に立ち直ってゆく。
もちろん、この映画の主題は AIKI(合気柔術)に出会って生きる力を取り戻してゆくところにあるのだけれど、メインストリートばかりじゃなく、こうした火野や桑名といった、世間からすればドロップアウトした世界を生きる男、本流ではない裏道にも人生の妙味はあると思うんだな。
特に、帰る場所がない常滑(火野正平)の生き方に興味が引かれる。この続編が知りたい。そっちの方が障害者の現実的な姿だと思うので・・・。
その他にも佐野史朗や永瀬正敏がちらりと友情出演していたり・・・と脇役も豪華。
と、僕にとってはこれで終わらず、さらに、今回主役だった車椅子(肢体不自由)に対して、聴覚障害はどうか、について思うこともある。これは「SILENT WORLD」の方で後述できたら。
満足度:★★★★
2002年日本
2007/12/06 NHK BS-2 にて鑑賞
2007-12-08




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そう、たまたま、ボクも見ました。
ともさかりえ がよかったんですけど...