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007 / ダイ・アナザー・デイ
007シリーズ第20作にして、40周年記念作品。これまで以上に力が込められていたのか、一度観ただけでは、このストーリーのふんだんに盛り込まれた仕掛けを味わい尽くせないほどの濃密な内容となっている。2、3度繰り返し観なければ、逆にもったいないような気さえ起こさせる。
朝鮮半島を舞台に設定した試みがまず面白い。映画にしろ小説にしろ、スパイの活躍するストーリーは、冒頭から観客、読者そのものを騙しこむほどに引きつけねばならないが、本作も期待を裏切らない。とりわけ日本においては、厚いベールに覆われているかの国の実態に対する好奇心をうまくすくいとるような形で北朝鮮の軍人らが描かれている、その点がタイミングよいものとなっている。娯楽としての映画で北朝鮮情勢の素材を愉しむといっては失礼だが、否定できない本音であろう。
今、世界でイラク情勢以上に不穏なる地域の北朝鮮を舞台に取り上げたこの映画、当の北朝鮮を刺激してしまわぬかという憂慮は誰しもの心によぎるに違いない。事実、朝鮮中央通信が「北朝鮮に対する米国の敵意を裏付けるもの」と批判しているという。この点については、『エコノミスト』(3月4日号)で谷川健司氏が「決して国家としての北朝鮮を“悪”として描いているわけではない、それがバランス感覚を失わない英映画なのだ」と述べている(経済雑誌上のリポートとして掲載されているのが面白い)。
ヒロインは『チョコレート』でアカデミー史上初めて黒人俳優として主演女優賞を獲得したハル・ベリー。『チョコレート』の静かで細やかな感情の演技も素晴らしかったけれど、今回の明るく洒落たヒロイン像を演じ切る役柄、また、ボンドと対等のアクションぶりがアカデミー賞獲得でのさらなる成長を証明していて「見事」の一言に尽きる。
ハリウッド以上に次々と色んなものが爆発してゆくけれど、一方で、英国らしい伝統と上品さも当然失われていない。「素晴らしき哉、英国映画」と堪能させてくれる。
満足度:★★★★
2003/03/11 ワーナー・マイカル・シネマズ防府にて鑑賞
2003-03-15




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