残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

橘 玲(2010年刊幻冬舎)

2011/01/01読了、2011/01/06メモ

読み物として非常に面白い

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

10月に買って読めずにいたが正月休みに読了。

世にあふれる自己啓発本の「やればできる」、「がんばればできる」、「わたしは変えられる」・・・の原則思考を諫め、「やってもできない」事実を受け入れた上でどのように生きていくか、幸福を手に入れる方法は? の新しい成功哲学、を説いた本。

結論として述べられる終章の

伽藍を棄ててバザールに向かえ

恐竜の尻尾のなかに頭を探せ

は森永卓郎や梅田望夫やの論をミックスしたような、取り立ててこの本が「新しい」成功哲学を提示しているわけではないと思えるけれど、そこまでの論が非常に面白い。

とにかく例示や学説や引用や、が多い。よく知られるリカードの比較優位や囚人のジレンマといった経済学や、心理学、遺伝学、脳科学、動物学・・・を駆使してドラえもんのキャラクターを論じ、オウムやヤクザの原理にも言及する。

大半が原典のある学であり論であり、本文中で示される「権威」の強い影響力という「武器」を著者も存分に活用している。出典は全て文中に記されているけれど、論文、論説のように巻末に一覧を付したら相当な量になるはず。

自己啓発の例では勝間和代、ナポレオン・ヒル、「7つの習慣」・・・そうした誰もが知っている例示と、でも実は「これこれこうした説がある」といった、「ほぉ~」とうなずかされる組み合わせが絶妙で、そのあたりの「読ませる」技術と文体、論調が著者のさすがなところ。

楽しく面白く読ませながらも、著者は相当に他分野多方面に材料を得て(勉強して)仕上げている。結論よりも、その、間の論の豊富な紹介が非常に面白くて、雑学にとどまらないレベルのうんちくといったところで、ちょっと賢くさせられるような読み物となっている。

満足度:★★★★


 

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