国境の南、太陽の西

村上 春樹龍(講談社)

2013/11/21読了、2013/12/11メモ

あとには砂漠だけが残る

国境の南、太陽の西

国境の南、太陽の西
著者:村上春樹
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何かと片付けておきたい年末、今年はここ数年に比べるとだいぶ読書欲旺盛に読めているのだが、メモの方がアップできていないまま。

元々、僕は再読好き、再読派なのだが、思うところあって久々に春樹の本を数冊手に取り直した一年であった。数冊ある中で、これはもう一度読みたくて、という確たる意思によるのでなく、タイトルだけが記憶に残っていた本。ふと手にとって読み始めてみると、こんなに面白かったかな、と驚くくらいに楽しく読み直せた。

21年前を言い訳にしてはいけないが、記憶にない分、ほとんど初めて読んだ感じ。再読の良さは、読んだつもりでいて、いかに自分が読んでいないのか、ということがよく分かること(苦)。

内容は初期の頃の、いかにも春樹らしい内容。今の僕はもう春樹を追いかけなくなって久しい、最近の作品は話題になっていても読みたいと思う気持ちはあまり起きないのが実情だが、これは古き良き頃の春樹らしさがあって良かった。

古き良き頃の、というのは確かに現実浮遊的で観念的で、この小説のラストも春樹作品によくありがちなパターンの、正気で読めば「随分と無責任だな」と思えるのは確かなのだけれど、それは目をつむるとして、この作品はなかなかにストーリーの展開が面白くて、そしてこれが最大の印象であろう喪失感やせつなさや、という点では最大限に満たされ貫かれている、といったところか。

胸に来る箇所が少なくなく、作品は37歳の主人公が子ども時代の同級生とのことを振り返るところから始まって今に至るまでを描いている、21年前の僕には気付けなかった、思いを寄せられなかったこともよくよくうなずけた。

満足度:★★★★

おそらく僕らは、自分たちはどちらもが不完全な存在であり、その不完全さを埋めるために僕らの前に、新しい後天的な何かが訪れようとしているのだということを感じあっていたのだと思う。そして僕らはその新しい戸口の前に立っていたのだ。ぼんやりとした仄かな光の下で、二人きりで、十秒間だけしっかりと手を握りあって。


 

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