仕事するのにオフィスはいらない

佐々木俊尚(2009年刊光文社新書)

2010/05/02読了、2010/05/05メモ

初めての佐々木氏本

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書) (新書)
仕事するのにオフィスはいらない

佐々木俊尚氏の著作を初めて購入。もう一冊「ネットがあれば履歴書はいらない」と合わせて2冊を連休用に。最近、よく本を出されている方だが、こちらは9ヶ月前(2009年7月)の刊行。

正規雇用、終身雇用が消滅してゆく中で、すべての人々が契約社員やフリーランスになる時代が始まっている。その社会を生きてゆくためにITを活用し、自らをコントロールする方法を説いた指南本、鍛え上げられた情報強者としての「ノマド」(季節ごとに大地を移動してゆく遊牧民)たれ、といった要旨になるだろうか。

すべての人がフリーランスの社会になることもないだろう、というため息は野暮なんだろう。この手のビジネス本、啓発本は極論を前提とせねば成り立たない、売れない事情は分かるにせよ、その分、論拠はやや薄く軽い。Gmailやクラウドの活用、Firefoxのアドオンの紹介等、内容に特段の新味があるというものでもでない。僕自身は野口悠紀雄氏の方が面白く読めると思えた。

蔵書管理ツールに食指

関心を持てたのは、最近、携帯が半分、壊れれているのと友人が持っていたのとを見てiPhoneの活用と「メディアマーカー」という蔵書管理ツールについて。

ちょうどこの連休から本棚の整理に着手しているのだけれど、僕自身、本は読みっぱなしにせず、できるだけコメントなりメモなりをデジタルに残すように努めてきた。My homepageを開設(後、ブログに移行)して以後の分はweb上にそのデータを置けるようになってリンクも自在、自分の手元を離れたところに時間と場所の制約無しにいつでも振り返れる、参照し直せるようになったのを非常に喜んでいるのだけれど、ついでに以前の分も整理したいと思っている。

今、ブログに記しているこのページのとおり、ただのメモにしてもAmazonの画像が付くだけで視覚的な記憶も愛着も湧くように、今回、今の部屋の本を全部、抜き出して(だいぶ処分して)移し替えたとき、バーコードリーダで読み込んで自分の蔵書リストとメモをどんどん登録できるならば面白そうだなと思えた。ただ、やはり、今見ると、昔読んだ本や古書で集めたものを大事に持ち続ける方なので、バーコードには対応していない本の方がずっと多そう。

メディアマーカー - 初めての方へ

議論のあり方

もう一点、本旨とは全く関係ないことなのだけれど、フリーランスたちがコラボレーションするときの実例として、ネットによるスカイプチャットの活用が紹介されている箇所について感じたところあり。

チャット画面に「いまキーボードから入力してますよ」というエンピツ表示が出る、これは今誰が応答しようとするか分かるためのもので、こうすることでキーボードタイプの速い人と遅い人とが混在してもストレスなくやりとりできるという。その配慮の姿勢がいいなあ、と感心した。

きこえない人間は普段の生活でまず議論に加われない、大事な長い議論からちょっとした取り決め、ほんの確認まで、決まった後でその結果だけを知らされる(かどうかも相手に依存する)の、ほぼゼロな状態。

情報保障として、また周囲の配慮で通訳や支援を受ける機会もあるのだけれど、もちろん有り難い気持ちも大きいと同時に、これはこれでまた新たなストレスを生じるところがある。というのも、訓練された通訳でもリアルタイムに他者の発言を伝えることは難しく、どうしても遅れる、タイムラグが出る。議論なり話し合いなり、もっというと普段のおしゃべりでもコミュニケーションはタイミングが大事。間髪入れずに、という言葉があるように、発言は普通、早い者勝ちである(お喋りな人や頭の回転の速い人を相手にした場合を思えば分かってもらえると思う)。きこえない者には情報は(多少遅れてでも)届けられている、それに対する思いや意見や疑問や提案や・・・その他諸々のことはもちろん皆と同様にあるのに言えずに終わってしまう。言える頃にはもう船はずっと先を流れている・・・ということが多い。あるいは別の誰かが先に云っている。胸の内に火だけは灯されたのに、それが吐き出せずに溜め込んでしまうところがある。

芸能人の討論番組では発言は3~4人分遅れて伝わる。NHKの視聴者による真面目な討論番組で聴覚障害者がスタジオにいても全く発言できないのはそのせい。

このスカイプの機能は、元々は同時の発言、バッティングを避けるためのものかもしれないけれど、タイプ入力の遅い人に配慮する、そうした人にも議論への参画を促そう、保証しようという考えができることに感心させられた。

グループIMで、Skypeでのチャットが簡単に

相手の顔を想像できるような状態で、つねに仲間や同僚、家族とネット経由でつながっている状態──それをパーマネントコネクティビティ(永続的な紐帯)と呼ぶのですが──こそが大切ということが理解できたわけです。

満足度:★★★


 

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