主師親の三徳

鳥羽博道(2009年2月 日経新聞文化面)

2009/02/28読了、2009/03/03メモ

権力で人を使ってはいけない

「失われた十年」の1990年代でもドトールコーヒーは成長を遂げ、業界初の株式店頭公開を果たした。ドトールの飛躍は鳥羽氏の猛烈な働きぶりによることが連載を読んで分かるが、同時に氏が極めて人情家であることも伝わってくる。

店がうまくゆかずにノイローゼに陥った店主をよそに、指導したコンサルタントが何も手を打たずにジャガーを乗り回し、愛人に店をやらせていた、そんな義憤から「こういう不幸な人を作らない」ことが喫茶店経営の出発点になり、後々を貫いた。

吉祥寺コーヒー戦争では進出した大企業や外資に負けず、不振店は社長自らが一軒一軒、自分で清掃した。ハワイに作ったコーヒー農園では、奴隷制の名残のような労働者を見たくないと快適な家を敷地内に建てた。

19歳で店長になって若くして会社を設立しても驕らず、謙虚さを失わず、下で働く従業員の視線を大切にしてきたことが随所に読み取れる。

原宿一等地で一杯150円
原宿一等地で一杯150円

そういえば、ドトールには敷居の低さというか、気安さがあるね。

オーナーに「努力が足りない」と責めれば反発を招き「本部の指導が悪い」と泥仕合になる。店の経営を良くするには、相手の心の持ち方を変えねばならない。そのためには率先垂範し「努力や魅力の基準」を高めてもらう事に努めた。

2009/02/23 第22回


私は小学生の頃、柔道を習っていた。ある日、愛犬が近所の悪童らにいじめられ、それが許せず、柔道を始めたのだ。暗い夜道を五十分かけて道場に通い、半年ほど経ち、自信をつけた後、悪童らを呼び出し、相手をした。

2009/02/08 第8回


当時のブラジルはヨーロッパ文化、特にポルトガルやイタリアの影響を強く受け、想像以上に進んだ国だった。


世界各国から人が集まり、まさに人種の坩堝。これだけ多くの人種が集まると、自ずから人種差別は無くなる。外国人には住み易い国だった。


肌の色や歴史、言語が違っていても、人間の本質は変わらない。どの人にも誠実に接すれば、年齢が若い私の言う事でも、聞いてくれ、この体験は、私に、人間を人種や文化で差別すること無く、また特に「権力で人を使ってはいけない」という事を教えてくれた。

2009/02/09 第9回


この頃、私は武者小路実篤の詩が大好きだった。「天に星 地に花 人に愛」「この道より 我を生かす道なし この道を歩く」。実篤はこうした考えに基づいた理想郷を作ろうと情熱を傾け、1918年(大正7年)宮崎県に「新しき村」を作った。私もこうした理想高き会社を作りたいという心が芽生えていた。

2009/02/10 第10回


また、上場しようと準備を進めていた頃の話。それまで大家族主義で経営してきたが、いろいろな面で上場のため組織化が進むにつれ、会社を経営する事がつらくなってきた。ある人に悩みを打ち明けると「鳥羽さん、リーダーは『主師親の三徳』を備えなければならない」と教えてくれた。


主人としての面倒見。師匠の指導力。そして親としての厳しさと温かさ。肩書きや地位で怒るのと違い、親として怒るのは厳しさの中に温かみがある。「そうか、分かった」と胸のつかえが取れ、はらはらと涙が流れた。組織という冷たさの中にも情が通っていなければいけないと思った。

2009/02/26 第25回


 

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 comment
  1. あっき~☆ より:

    まさにその通り!!!
    そんな風に部下や後輩を指導、教育したいなぁ☆
    今の自分には無理かっ!
    己のことで精一杯・・・トホホ
    花粉症になるならないは、たとえで個の持っているコップが満杯になり、あふれるかどうかとよく言われる。
    果たして人の運や幸せは、どうなのか?
    一生の内の運は前述のコップによく例えられる。
    自分は、運の入るコップが小さいのかな・・・・と最近良く思う。
    なぜか、花粉症のコップは洗面器並みにデカい。
    逆になってほしいもんだ・・・
    いやぁ、自虐的なコメントで失敬、失敬。

  2. より:

    いやいや、あっき~☆の明るさや面倒見の良さは、それだけで周囲を力付けて助けているよ。
    その上で「オレ、ついに禁煙したから」って言える日が来たらカンペキ! なんだけれど、完全すぎても面白くないので、タバコくらいはいいよ。
    よくコメントくれるから言う訳じゃないけど、例えば、あっき~☆やみっちーやContinue君といったあたりは本当にね、自分の運や成功やといったこと以上に、周囲に運や幸せをもたらしてくれる、探して、なかなか、そういる訳でない、非常に得難い人徳をもっている、その意味で器の大きいタイプだよ(本人は謙遜するだろうけど、周囲はみんな分かっているはず)。
    常々、救われ、助けられていることに感謝してます!
    ケガ、体調が復帰してきたと思ったら今度は仕事に襲われて走れない日々(>_<)
    津和野も危なくなってきた・・・

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