尽きない文学の天空

丸山健二(2008年4月20日付け日経新聞文化面)

2008/04/20読了、2008/05/07メモ

何十年費やしても、いつの日かきっと飛んでやる

生きる命
生きる命

5月4日付け高橋睦郎氏を紹介したついでに、こちらはさらに一層素晴らしい丸山健二氏の稿。

この人の文学に対峙する姿勢というのは時々、伝わってきていたのだけれど、あらためて本人が宣言しているのを読むと違う。一言一句を疎かにしないことばの重みに心を震わせられる。


才能を磨かず、才能を育てずして、注文のままに書きつづけていると、けっして卵や雛以上には成長せず、時間の問題で朽ち果ててしまうのは自明の理である。

・・・(中略)・・・

羽ばたける成鳥になるまで才能を育て得るのは、編集者でもなくましてや評論家でもない。むしろ、かれらこそがその真っ当な道を妨げている張本人である場合が多いのだ。書き手自身が目覚め、没頭と継続というひたむきな歳月を本気で送ろうとしない限りは、まずもって不可能だろう。そうするには、おのれの実力を他人の評価によって判断するのではなく、あくまで当人の眼力によって正確に冷静に把握することが肝心。その上で、少し無理をすれば手が届きそうな高さに次の作品の目標を設定し、そこへ肉薄するためのより具体的な計画を立て、果敢に挑んでゆく習慣をしっかりと身に付けなくてはならない。

全編を通して、不健康な生活、毒をまとってこそ小説家、という誤った固定観念の元では書けない、という村上春樹氏のスタイルにも通じるところがある。ともに意志が強く、ために長編小説に息切れしない力を注ぎ続けられる。

ペンを握ったときから、翼を育てなければ飛べない世界が無尽蔵に存在することに気づいていた。それこそが文学の世界に違いない、本物の魅力を秘めた高みを滑空してみたいという一心から、何十年費やしても、いつの日かきっと飛んでやると意を決し、挑みつづけてきた。少しずつではあっても確実に力がつき、以前なら絶対に不可能だった世界に手が届くようになってゆく喜びは何物にも代えがたく、その醍醐味と達成感に酔い痴れることが書く動機として固まっていった。

生きることを力付けてくれる言葉は、

パソコンのない頃・・・スクラップ&抜き書き、ワープロを持つようになって・・・テキストデータとしてタイピング、ホームページ(ブログ)を持つようになって・・・エントリとしてもアップロード。

満足度:★★★★★


 

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