孤宿の人

孤児の女の子の物語

...といってしまうと不適切なんだろうが、一言でいうとこうなるのかな。

身寄りが無く江戸から讃岐に預けられた、というより放り出された9歳のほうの身辺で起こる数々の出来事、というには恐ろしいドラマ。直接ほうに関係するものでも結び付くものばかりではないのに、登場人物も舞台もたくさん。

あまりにもたくさんなので上巻の最初のうちは、人がすぐに死んでいながら平和な世界のような描かれ方で散漫に感じられる。周囲に阿呆のほうと呼ばれたほうでなくても、数えたわけではないが、20人以上の登場人物それぞれに欠かせない役柄、人柄が与えられていて、それらの関係を整然とは理解できないし覚えきれない。

上巻の終わり、ほうを気遣う姉のような立場の宇佐と、藩の役人渡部一馬の、それぞれに思う相手いながらかなうことのなかった二人の心情がぶつかる辺りから胸を打つようになり、後半、話が収束してくるようになるとスピード感が出て、結末は覚えず涙してしまった。なぜ泣かされるのだろう? というくらいに不意打ちに。

悲しいお話ですが 悲しいだけではない作品にしたいと思って書き上げました。

というのが作者の説明だが、最初から最後まで人が死に過ぎで、やはり20人くらい? それぞれに理由あって、といってもそのほとんど全てが非業の死とでもいうのか、殺されてしまう、人知れず消されてしまうのは時代でもあり小説でもありとはいえ、そこまでに情を込めて書かれていた分、悲しく、そちらの印象が残ってしまうところはある。

★★★★


 

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