佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和(2007年刊 日本経済新聞出版社)

2007/10/31読了、2007/11/01メモ

秘技というが、満足度は今ひとつ

2007年刊
日本経済新聞出版社

ベストセラーにランキング入りしている評判の本。気鋭のアートディレクターとの組み合わせが意外で興味を引かれた。気になっていたので駅で即、買い。新幹線の中で読了。

まえがきを読み始めて「です・ます」調の当たり障りはいいけれど、するりと通り抜けてゆく内容に「ああ、失敗だったか・・・」とすぐに懸念した通り、期待外れに終わってしまった。ネットでの注文が多くなっているこの頃だが、最低でも本は手にとってみて、まえがきくらい読んで買うべきであるとか、書店に佇む時間も大切に取らねばということを反省させられた。

いわゆる「読書術」「文章術」「整理術」本、雑誌の類は、数千冊はあろうくらいに永遠に繰り返されてきた、今後も続くだろうテーマ。ダイエット本と同じくらいに、誰もの心をくすぐる。

アートディレクター/クリエイティブディレクターというだけあって、本書の白い表紙にすっきりとしたタイトルはさすがなのだが、本書の内容に特に目新しいと思えることはさほどなかった。

むしろ、唖然とするような点もあって、例えば、著者は手ぶらで出かけるようになったメリットを説くのだが、最低限、身に付けるものとして「自宅の鍵」「これがないと家に入れませんから」、「次にお金」「お金があれば電話をかけたりタクシーに乗ったりできます・・・」と説明するくだりなど、一体、どういう読者層を予定して書いているのか・・・と思える箇所が少なくない。

時々、一頁分割かれている図表なども、ファイル名の連番が1桁なら9までしかできないが、2桁にすれば99、3桁なら999までできる、丸と四角と三角を並べて「情報を整理する」・・・ことを図表にする意味があるのかなと疑問に思う。アートディレクターならではの斬新な図解技術を期待したかった。

少々、厳しい評価だけれど、類書の整理本に比べると、至って当然のことが綿々と書かれていて、質は薄いと思う。業界が業界だけに、この本のどの頁を開いてみても、カタカナ言葉の氾濫に気付くと思う。でも、「セレクトに困ったら」「アップデートする」「バージョンアップする」・・・といった用語にはすんなりとなじめない。

整理下手、でも次を期待

内容は著者の手がけてきた作品、プロジェクトの説明が半分以上。カタカナの肩書きが示す業界に疎い僕でも著者の業績はいくつか知っていたから、ユニクロの柳井会長とのやりとりなど、面白く読めたものもあった。

ただ、それでも、まえがきにある「仕事の環境を格段に快適に」とは直接、結び付かないまま、結局のところは「"とりあえず"との闘い」「捨てる勇気」を持つということらしい。「捨てる技術!」を思い出した。

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術
  ・・・『「捨てる」!技術』のナンセンスさ批判に同感/羊の本棚


僕自身が整理の苦手な人間だから、凝りもせずこうした本を求めるのだが、でも僕は「捨てる勇気」より「とりあえず」は取っておいてしまう方だ。それが頭の中や身体の中の無意識化に宙ぶらりんなまま漂っていて、でも、忘れた頃に何かのきっかけで浮上してくるのを気長に待ちたい。

読んだ本はなにがしか自分の視点や思いをきちんと言葉(メモ)にしてから書棚行き(あるいは捨てる)が僕の何とか努力している整理術のひとつかな。

(ファーストリテイリングのCIを手がけたやりとりの章で)


(柳井会長から)「このマークは、たぶん簡単にできたと思います」。これは最上級の褒め言葉だと感じました。会社のシンボルとなるマークは、いじくりまわした感じがあると絶対ダメだと思っているからです。それはつまり、整理し切れていないということなのです。シンボルマークは崇高なものですから、スパッと明快な方向を指し示していないといけません。

僕もこのブログのファビコンその他、もっとデザイン力を身に付けたい。

満足度:★


 

  Related Entries


Message

メールアドレスが公開されることはありません。