監督-挫折と栄光の箱根駅伝-

川嶋伸次(2009年刊 バジリコ)

2010/01/03読了、2010/01/03メモ

読み応えあり

監督-挫折と栄光の箱根駅伝-
監督-挫折と栄光の箱根駅伝-(バジリコ)

「ランニングマガジン・クリール」昨年10月号の読者プレゼント賞品。そういえば昨年は「ランナーズ」にも掲載してもらえたし、両方にいいことがあった。あらためてお礼申し上げます。9月末に届いていたものの読めずにいたけれど、正月休み、駅伝観戦とパラレルに2日間で読了。

最初に評点を述べると、5つ星の満点(以上)の非常に読み応えある内容。ここ3年のマラソン本でいうと「中国電力陸上部は、なぜ強くなったのか」(坂口泰)、「マラソンの真髄」(瀬古利彦)、「自ら育つ力」(渡辺康幸)、「冬の喝采」(黒木亮)を読んできたけれど、それら以前のも含めて個人的には最高に位置する部類といえる。

「挫折と栄光」に「箱根駅伝」という、購買意欲をそそる、おそらく出版者側の付けたサブタイトルが付いているけれど、内容的には一般的な「監督論」として優秀な正攻法的構成。

言葉の力

読み出してしばらくすると著者の筆力に深く感心させられる。読書が好きだ、と本書中でも2箇所にある通り、よくものを読んでいる、ゆえに考えの深い人だということが分かる。

最後のエピローグにも「言葉の力」という節があって、走ることと言葉の関係、そして人間としての成長をいつも見据えている、そのことを著者自身で実証されている。

僕自身も3年前の福岡国際マラソンの完走記でゲブレセラシエの「折れない心」を引用して「言葉の力」という一ページを書いたことがある。昨年末に新聞に連載したコラムでも考えていたテーマの内、分量が足りずに書けなかったテーマがあるのだけれど、その一つが「言葉の力」でもあった。

言葉の力 皇帝ゲブレセラシエの「折れない心」

部員の不祥事の責任を取って辞任する迄の東洋大学監督としてのメインテーマはもちろん、自身の競技生活、社会人生活、補欠と正選手の二度のオリンピックの経験、視覚障害者の伴走、人間論・・・と、一冊にとどめるのは惜しいくらいの魅力が詰まっている。著者の人間性の深さ、広さが伝わってくる。

野村監督の言葉に影響を受けていることにも同感だなあ、と思うし、何より(よく書いているけれど)同い年ということもあり非常に共感を覚える。今回は総括論としてのみだけれど、また続編を書ければと思っている。

満足度:★★★★★


 

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