袋小路の男

絲山秋子(2004年刊 講談社)

2007/06/01読了、2007/06/01メモ

男あれこれ

2004年刊講談社

作者の描く男というのは、下司な男として嫌悪感を持って徹底的に懲らしめられる対象としてのものか、あるいは「沖で待つ」の太っちゃんのように男性的側面は後回しにして、いい友人的に設定されるかが多い。

では作者の好む男とは、タイプとは一体、どんな男なのだろう? その答えではなかろうけれど、ヒントにはなりそうなのが本作の「袋小路の男」そして、収録中、次編の「小田切孝の言い分」なんだろう。

友人以上恋人未満の、手さえ触れあわないで十年以上も思い続ける女が主人公なのもいつもの作者的には大いに意外だし、その相手の男が同性から見ると、「そんなものかねえ」と思わせるようなものでもある。

味があるのは、もう一遍の「アーリオ オーリオ」の方。38歳の叔父さんと、14歳の姪っ子の、男女関係はあるはずもない、でも強い信頼の絆で結ばれた仲。

難しい年頃の女の子が心を開いて打ち解けて、生き生きときとしてゆく、生気を帯びてゆく。「自分だけの新しい世界を作り始め」、「価値観をどんどん変えていく」過程が読んでいても面白い。

このあたりの女の子の描き方は、さすが女性作家ならではと思わせるのだが、それと同時に、今度は小田切孝とは全く異なるタイプの、38歳独身男の寡黙で、でも、必ずいるタイプの哲の心理や内面が、どうして女性にここまで書けるのだろうと驚く。

作者の作品は必ず、作者自身と同学年の男女が登場して、それが僕のファンである理由なのだが、本当に、登場する男の描写がいちいちもっとも、とうなずけるのである。面白い小説のためには、このくらいの観察力がないとダメなんだろう。

満足度:★★★★

こんばんは。

今日、私は新しい星を作りました。私だけにしか見えない星です。たったの3光日の距離にあります。名前はアーリオ オーリオ。

私は、哲おじさんに手紙を書くときカーテンをそっと開けて、星を見ます。手紙を書いて、ポストに出して、おじさんに届いて、おじさんが読むまで3日かかります。そのとき、アーリオ オーリオの光が届くのです。

なんと! 私の手紙は光の速さと競争しているのだ!



 

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